『平和の追求 18世紀フランスのコスモポリタニズム』川出良枝
戦争のない世界の実現は人類の長期にわたる夢である。だが、それは、何度も裏切られ続けてきた夢であったと言えよう。東西冷戦の終結により、平和と安定の未来を約束されたかに思われた国際秩序は、またたく間に、戦争や内戦や軍事介入、テロリズムを含む様々な暴力の脅威にさらされることになった。ついには、力による一方的な現状変更を試みる陰惨な侵略戦争がウクライナの地で勃発し、第二次世界大戦後の安全保障の枠組みが揺るがされる事態ともなった。その一方で、市場秩序のグローバル化、国境を越える人や情報