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西村邸のこと

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2019年、奈良町にオープンした【西村邸】にまつわる、主宰 杉本雄太のエッセイです。
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2019年1月の記事一覧

心の波のパラダイムシフト―『西村邸』のこと

こんばんは。今日も遅くなってしまったので、前置きは抜きにして、さっそく始めましょう。フリーテーマ。 なんというか、先週くらいからちょっとふっきれんな~とは思っていました。今週の最初に書いたモヤモヤなどです。 ぼくはもともと「ずーん…」てなりやすいたちです。最初の頃「私の履歴書」に書いた東京から奈良に戻ってくるタイミングとかまさしくそうだし、奈良で仕事初めてから、心療内科にかかったこともありました。 今回は全然そこまでではないので…。ただ、なんかな~ちょっとふっきれんな~とい

止まらない時間と揺るがない決意―『西村邸』のこと

こんにちは。今日はちょっとすっきりめで。 4日連続で湯船につかってません。トイレだったところに新設した、シャワーですませています。 土曜は、奈良全体で若草山焼きというイベントがあったからか、いつもお世話になっている花園新温泉さんもお休み。日曜は東京に行って夜行バス。おととい、昨日と遅くまでこれを書いていて、タイミングを逸してしまった。 毎日決まった時間割をつくってスケジュールをルーティン化したい人間なので、ちょっとバタバタした4日間はつかれました。 もうずっと、ユニットバ

暮らしという器をつくる―『西村邸』のこと

こんばんは。さっきまで仕事のメンバーと飲んでいた酔いが、少しずつ覚めてきました。今日は、いいデザイン、いい工芸品を迎えられる、環境づくりのお手伝いがしたいなという話です。 日曜に東京に行ったとき、赤坂にある【伝統工芸 青山スクエア】に寄りました。「 一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会」というところがやっている、全国各地の伝統的工芸品を集めたギャラリー&ショップ、とのことです。本当にいろいろなジャンルの伝統工芸品がありました。 ちょっと余談ですが、数ある工芸品の中で、一

起業家はスティーブ・ジョブズの夢を見るか―『西村邸』のこと

こんばんは。日付変わるギリギリになってしまいました。 先週末は整理収納アドバイザーの試験を受けたり、東京へ行ったりと、いろいろありました。ここまで4週間は、土日に次の週のテーマを決めて、おおまかに下書きを作っておく、という流れで書いてきました。 ですが先週末は、日曜の夜にとても影響を受けそうなイベントに参加する予定だったので、それまで書くことを固めたくなかった。期待通り、とても楽しいイベントでしたが、夜行バスで帰ってきて、今日はそのまま仕事に。当然というかなんというか…テー

日常の重なりが、町になる―『西村邸』のこと|町のこと⑤

こんにちは。「町のこと」最終回。今週は結構やわらかいテンションで書けてたかな、と思いますが、最後はちょっとカタくなりそう…。気軽な気持ちでお付き合いいただけると嬉しいです。 以前の「ドラマを日常にする」という文のなかに、「日常の重なりが、町になる。」と書きました。 町はつまるところ、日常の積み重ね以上にも以下にもならないと思います。そこに生活する人の日常を映すのが町。東京には東京の日常、奈良には奈良の日常があり、その空気を左右するのは、住む人のライフスタイル、そういうこと

夫婦饅頭の記憶―『西村邸』のこと|町のこと④

こんにちは。 昨日、町の環境を受け継ぐ、という話の中で、子どものことに触れました。 子どもの記憶に残る、っていうのは大事だと思います。それこそぼくも、小さい頃の奈良町の記憶ありきで、西村邸のことを考えていますし。 奈良町の隠れグルメに、【夫婦饅頭】というのがあります。お店は「浪花屋」という屋号のようなのですが、地元の人がそう呼んでるのは聞いたことありません。みんな夫婦饅頭で覚えてると思います。 モノとしてはそう…「回転焼き」とか「今川焼き」とか呼ばれる、中にあんこの入った丸

映画『オリヲン座からの招待状』に見る、町を受け継ぐ信念―『西村邸』のこと|町のこと③

こんばんは。遅くなりました~。「町のこと」の3回目。今日もよければおつきあいください。 去年の11月、近くにある静観荘という旅館に挨拶に行きました。 近くも近く。西村邸から徒歩1分。奥庭から間近に見える距離です。ここは本当に昔からある旅館で、ぼくの小さい頃も既に、ひなびた感じのたたずまいでした。西村邸と同じく、大正初期の建物だそうです。 「近くで宿をやる予定なんです。」と。 祖父も祖母も小学校の教師をしていたので、奈良町のいまの上の世代には、「西村先生の~」と言ってくだ

クリエイターの顔が見える町―『西村邸』のこと|町のこと②

こんにちは。火曜日、今週2回目ですが、さっそく「町のこと」から若干外れます…笑 昨日参加したミーティングが面白かったので、それにまつわる話をしようと思います。 大阪でコワーキングスペースをやっている方のお誘いで、大阪市の産業振興センターがやっている、MEBIC(メビック)という施設の方にお会いできる集まりに参加してきました。 MEBICは―ぼくも今回初めて知ったのですが―平たく言うと、クリエイターと企業をマッチングさせる施設です。コーディネーターと、フリーランスのクリエイ

「この町が好きだよね」という人が集まる町―『西村邸』のこと|町のこと①

こんにちは。タイトルのしつらえを少し変えてみたりしながら、今週もはじまりました。 今週は予定を変えて「町のこと」にします。数週間は、ざくっとしたテーマが続くかなぁと思っています。が、いつもみたいにカタくなるかも…笑 あたたかく見守っていただけると嬉しいです。 前に少し触れましたが、3年前、奈良に帰ってくる直前は、神奈川県の逗子というところに住んでいました。 当時の東京の知人には、ほぼ必ず「伊豆」と混同され「遠くね!?」とつっこまれていたのですが、鎌倉の隣です。遠いと言えば

『西村邸』のこと―デザインのこと④ブランディング

ニュースに出ていた、大阪メトロのひげの話。いろいろすっとばして、企業が従業員の評価をひげで下げることに関しては、ぼくはアリだと思っています。(事前のコンセンサスは大前提ですよ。) ただ、それを語る文脈は「文句つける客がおんねんからからしゃーないやんけ。」よりも、「自分たちの組織を、こういうふうにお客様に見せたいので。」とする方がかっこいいんじゃない?今日はそんな、ブランド―ブランディングの話です。 もうかなり「ブランディング」という言葉は身近になってきましたよね。組織や商

『西村邸』のこと―デザインのこと③機能美

西村邸の目標は、「使うもの永く愛する。永く愛せるものを使う。」その喜びを届けることです。今週はデザインの話なので、じゃあどういうデザインが永く続くんだろうね、ということを考えてみたい。 まず今日は、客体―使用者側寄りの観点で「機能美」というものについてお話しします。 今週もなんやかんやカタい感じが続きますね笑 よければお付き合いください。 辞典にあらわされている、機能美の定義はこんな感じです。 ―建築・工業製品などで、余分な装飾を排してむだのない形態・構造を追求した結果、

『西村邸』のこと―デザインのこと②デザインとアート

こんにちは。今日は、ぼくの考える「アート」と「デザイン」の違いについて、です。これももう本当に、いままで飽きるほど繰り返されてきた話です。 こんな話題を選んでおきながら、最初から逃げを打つようで恐縮なのですが、美術や芸術に関しては門外漢もいいところです。 どちらかというとデザイン側からの視点で、「なぜこの違いを考える必要があるのか」という話ができればいいかなと思います。話半分にでも、聞いていただけたら嬉しいです。 「デザイン」と比較したとき「アート」は、客体にとって適正であ

『西村邸』のこと―デザインのこと①デザインとはなにか

こんにちは、3連休はどのように過ごされたでしょうか。 新成人のみなさん、おめでとうございます。ぼくは、前職のアルバイトに来てくれていた学生さんが、振り袖姿をInstagramに上げているのを見て、しみじみしていました。彼女たちとは同じ寅年なんですよね。もう12年かぁ~。 さて、今週は『デザインのはなし』。経歴の回で話したとおり、いちばん最初に働いた会社は、商品パッケージや広告のデザインプロダクションでした。そこで教わったり、そのあと考えた、デザインにまつわるいろいろを少しず

『西村邸』のこと―暮らしのこと⑤これからの豊かな暮らし

「富とは、持っているお金の多寡ではなく、持ちうる可能性の豊富さです。」 これは以前、佐々木大輔 @sasakill さんという方の文章で読み、気に入ってる言葉です。 諸説あるとはおもいますが、今日はひとまず、これに乗っかって「豊かな暮らし」について話してみます。 車を持ちたくない、家を持ちたくない、そういう人が増えている。自家用車や持ち家は、かつて富―豊かな暮らしの象徴だったと聞いています。ではそれを持ちたくない人は、豊かさを放棄しているのか? そうとも言えないと思いま