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夫婦饅頭の記憶―『西村邸』のこと|町のこと④

こんにちは。
昨日、町の環境を受け継ぐ、という話の中で、子どものことに触れました。
子どもの記憶に残る、っていうのは大事だと思います。それこそぼくも、小さい頃の奈良町の記憶ありきで、西村邸のことを考えていますし。


奈良町の隠れグルメに、【夫婦饅頭】というのがあります。お店は「浪花屋」という屋号のようなのですが、地元の人がそう呼んでるのは聞いたことありません。みんな夫婦饅頭で覚えてると思います。
モノとしてはそう…「回転焼き」とか「今川焼き」とか呼ばれる、中にあんこの入った丸いアレです。余談ですが、西村のおばあちゃんは、ぜんぶ「御座候」と呼んでました。これは商標ですかね笑

いまは、椿井市場という駅から少し離れたちいさな商店街にお店をかまえていらっしゃいますが、ぼくが中学生のころまでは、近鉄奈良の駅前にありました。いまも昔も1個100円以下。そんな立地や値段のおかげで、学校の帰りや習い事の前によく寄りました。

いろんなレビューサイトにも書いてありますが、ご主人は愛想がいい…感じではどちらかというとなく…どちらかというとね笑 頑固職人!という感じです。駅前の立地は混雑するのが嫌だから離れていかれたのかな、と妄想してしまう雰囲気を、店構えとご主人から感じとれます。ぼくも、お金の出し方でちょっと怒られたりしました笑

中身のあんこが他のものよりトロッとしていて、こだわりを感じます。
しかしまぁ客観的にモノだけ見て、他の回転焼きより圧倒的に美味いか!?と言われると…ぶっちゃけ普通は普通です。おっちゃんごめんなさい!

でもやっぱり、特別な感じがするんですよね。いわゆる「思い出補正」です。


こういうものが町の中に残っていることは、町を永く愛してもらう上で、とても強いと思います。
大人になってから好きになったものって、周りに影響されたことでもあったりして、なんだかんだ流れて行ってしまう。
ですが、子どものころ好きでいまも思い出せるものは、歳月のふるいにかけられて勝ち残った記憶です。そういうものは、いつ戻ってきてもなんかいいなぁ、特別だなぁと思わせる。いま見るとぶっちゃけ普通でも、おっちゃんがこわくても、許せてしまう。そういう記憶を作れた町って、何度でも来てもらえる町になるんじゃないかと思う。

町の中に、どれだけ子どもの記憶に残るスポットをつくれるか。ここに、まちづくりをする大人の本気度が試されているようにも感じます。
金持ってるやつが、きまぐれで落としていってくれればいいや、という商売は記憶に残りません。それに、子どもの接するものには、自分のこと以上に気を遣うのが親だそうです。手抜きしていると見抜かれてしまいます。
なんとなく、人だかりのできる店には、そういう記憶は生まれにくい感じがする…親が子どもを連れて行かないんでしょうかね。

地元の子供もそうだし、奈良であれば修学旅行生とかも。
修学旅行の後に、もう一度来てやっぱりいいなと思ってもらえるもの。なんなら、それを目指してもう一度来てもらえるもの。少なくとも、ス〇ャータのソフトクリームではないでしょう。

西村邸も、あくまでターゲットは大人ですが、地元に住んでる子どもが学校帰りに立ち寄りたくなる何かは、用意したいなと思います。
ぼくがそうだったように、こたつでミカン食べながら宿題して、親御さんの帰りを待ってもらう。そんな雰囲気、あってもいいでしょ??おばあちゃんちですから。


書いてたら、夫婦饅頭食べたくなってきました。夕方、スーパーのついでに寄ってみよう。
今日も読んでくださってありがとうございました。早いですね、1週間。「町のこと」も明日で最後です。またよければ覗きに来てください。

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