忘傘記
信号待ちの車の中で
傘が無いことに気が付いた
何処に忘れたんだろう
昼食のラーメン店では
入り口のすぐ傍に車を停めて
傘を差さずにさっと入った
本屋に着いた時は雨は止んでいた
コーヒーショップの駐車場でも
傘は使っていない
首を傾げながら
青信号でアクセルを踏む
失くしたと思ったら現れる
紺色系チェック柄の長傘
あいつは以前から風来坊だった
私に似ているような気がして
愛着も湧いてくる
帰宅すると
玄関の傘立てに
傘はしれっと収まっていた
「お先でした」
嘘をつけ 濡れてないし
でも 挨拶ぐらいは
出来るようになったんだ
空耳か
*忘傘記
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