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記事一覧
星たちの面影へ 【詩】
ぼくの生まれる前
夕日はそれは眩しかったけれど
嵐はそれは激しかった
だからもう戻るつもりはない
ここは安全地帯だ
跪いている限り
押し合いへし合いを忍ぶ限り
ときどき星たちの面影を宿す
君たちを見かけると
背中の羽根の痕跡が疼く
これでよかったのか?
答えはぼくがみつけるさ
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空からくだった金色の涙は枝にたまるとしずくになって卵に変わりました。その卵から生まれた元気な命はもうサナギになりました。サナギから出てくる蝶に名前をつけてあげましょう。ぼくならきぼうと名付けます。あしたにはきっと飛び立ちます。
ひらりはがれる 【詩】
写真とは時の遺影だ
時の遺影は壁に貼ると窓になる
連絡船の窓になる
船が音もなく出航すると
窓の風景は後方へと流れて
わたしの方が写真になる
写真は壁からひらりはがれる
そして誰の時でもなくなる
写真とは時の遺影だ
bicology 【詩】
ブレーキのこわれた自転車だけど
このまま漕ぎ続けるんだ
だって青信号だもの
行き先はわからないけど
このまま漕ぎ続けるんだ
だってさびしいんだもの
遠くのまぶしい光の方へ
このまま漕ぎ続けるんだ
だってずっと漕いでいたいんだもの
あちら・こちら 【詩】
あちらとこちらとの境界線なんてやっぱりなさそうね
.....ああ、こちらとあちらとの境界線のことだね
どっちがこちらかわかんなくなっちゃいそう
......境界線がないならわかんないはずさ
さっきの古いビルを過ぎたところから急に林になったわ
......霧が籠めてもう後ろは見えないよ