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MBAの価値と実情:アメリカ現地採用、現役の戦略コンサルの視点

まずはじめに、注意事項を数点

  1. これはアメリカでの話です。日本の雇用市場や転職にどれほど通じるかは不明

  2. 本記事でのMBA取得の目的は、キャリアアップと年収アップの2つと仮定

  3. MBA後の就職先は、キャリアと年収が一番上がるところに行くと仮定

  4. 僕はMBAを持っていません。でも、今までいろんなMBA取得者と仕事し、ポストMBAの採用面接してきました。

MBAって必要?

いきなりですが、本題。

MBAが必要かどうかは、端的に言うとit dependsだと思います。必要もしくは手助けになる人や場合もあれば、完全に時間とお金の無駄の場合もあります。

個人的には、MBAの価値は以下のパラメターに依存すると思います(優先・重要度順)

  1. 現在の年収とキャリア

  2. 学校・プログラム

  3. 現在のビザステータス

  4. 現在の会社、もしくは転職を考えている会社がどれだけMBAに価値を置いているか

現在の年収とキャリア

まず、当然だけどとても大事なことから。もしあなたが既にアメリカ企業の役員を勤めていたり、多くの収入を得ていたり、MBA卒業後キャリアをリスタートしたくないのであれば、MBAはおすすめしません。

MBA.comによると、2021年のMBA卒業生の卒業直後の平均ベース年収は$110,000($1 = 100円換算で1100万円)です

大手コンサルファームの場合、2021年のMBA卒業生の卒業直後の平均ベース年収は$150,000 - $165,000です

つまり、もうベース年収(ボーナスなどを含まない)でこれだけもらっている、もしくは2年のフルタイムプログラムを経てこれをもらいたくないと思っているのであれば、MBAは時間とお金の無駄になります。

学校・プログラム

MBAプログラムに関するニュースサイト・ブログで一番有名なPoets & Quantsによると、アメリカのトップ25のMBAプログラムの2年間の平均費用は約$200,000($1 = 100円換算で2000万円)です。とても大きな投資で、気軽にアテンドするものではありません。もちろん世界中から、志の高い人達が沢山あつまって切磋琢磨します。

この投資をキャリアアップの無駄にしないためには、トップ25のMBAプログラムに通うのが一番安全です。なぜトップ25かはよくわかりませんが、これより上のプログラムがレジュメに箔が付く「有名ブランド」と認知されています。

また、トップ25の中でもM7と呼ばれる上位7つのプログラムは特に別格とされ、ここのMBAを取得できれば投資銀行、テック、コンサルなど、数多くのドアが在学中(インターン)から開かれます。ちなみにM7は以下です:

  1. Harvard Business School

  2. Stanford Graduate School of Business

  3. MIT Sloan School of Management

  4. Northwestern University’s Kellogg School of Management

  5. University of Chicago’s Booth School of Business

  6. Wharton School at the University of Pennsylvania

  7. Columbia Business School

もし投資銀行、テック、コンサル、一部大企業の事業戦略が狙いなのであれば、ぶっちゃけ、トップ25じゃないと卒業直後の年収やキャリアには対してブーストや箔はつかないと思います。

現在のビザステータス

もし長期的にアメリカに滞在したいと思っていて、かつ今のビザステータスに不安を持っているのであれば、MBAで一発逆転を狙うのはありだと思います。

トッププログラムからMBAを取得できれば、その分有用な人材を確保するために会社も頑張ってH1-Bなどを手配するようにします。あなたが独身の場合、もしかしたらMBA在学中にアメリカ国籍を持っている人と素敵な出会いがあるかもしれません。

ただ、既にグリーンカードなどの長期ビザを持っている場合、ビザステータス変更のためにMBAに通う意味はないです。

現在の会社、もしくは転職を考えている会社がどれだけMBAに価値を置いているか

繰り返しますが、この記事におけるMBA取得の目的はキャリアアップと年収アップを大目的と仮定しています。

また、こちらの記事にも書きましたが、あなたの年収とキャリアは完全にあなたの身を置く環境が左右します

ですので、もしあなたがMBAを取得後に現在の就職先に留まることを考えている場合、あなたの現在の職場がMBAが価値あるものと思わなければ、MBAは大きな無駄になります。お給料も地位も大きくは上がらないでしょう。

同じように、将来就職を考えている会社がMBAに価値を置いていなければ、オファーレターを見たあなたはがっかりすることでしょう。MBAのROIを成立させるためには、自然にMBA後の就職先のオプションも狭まります。もしあなたのキャリアのネクストステップがMBAホルダーに高いお給料を払ってもいい(払うことができる)職場であれば、MBAはとてもいい投資になります。

ここにネットワーキングの重要性があります。基本的に調査方法は3つあり:

  1. Glassdoorなどの給与検索サイトサイトやグーグルで、現在の職場(もしくは将来狙っている職場)がMBA取得者に対して別の待遇を設けているか調べる

  2. 人事担当に、MBA採用者の待遇やキャリアパスについて聞いてみる

  3. 身の回りのMBA取得者に、取得前後で待遇がどのように変わったかなどを聞いてみる

その他の道+お金の工面は?

僕が個人的におすすめしているのは、アカデミックプログラムの修士や博士です。特にコンサル、エンジニアリング、医療系の会社だと、MBAよりも修士や博士のほうが重宝される場合があります。

例えば、一部トップコンサル(マッキンゼー、ボスコン、ベイン)などは、Ph.D.取得者用の枠があり、ポストMBAと引けを取らないパッケージがオファーされます。また、一部エンジニアリング(人工知能、宇宙工学、など)も、テック企業やメーカーがいい待遇で欲しがるバックグラウンドです。

また、アカデミックなプログラムは、アメリカの場合フェローシップや奨学金(ローンではない)がある場合が多く、MBAよりもはるかには払いコストで通うことが可能です。僕も生活費をもらいながら学費無料で修士号を取得しました。

MBAにも奨学金制度はあるので、2000万という数字はショッキングですが、ローンを含めれば資金調達源はたくさんあるので、希望を捨てないでください。

以上です!参考になったら嬉しいです!質問やリクエストは、ツイッターのDMかリプまでお願いしまーす。

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