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君は僕の顔を覚えていなかったし 僕の大切な宝物も捨ててしまったし 僕の声だけに耳を塞いだこ…
いつだって君がどうしているか、小鳥に尋ねてしまうけど 君と僕が同じものでなくたって、僕は…
君はもう忘れてしまったかもしれない そもそも君の記憶の中に最初からそれは居場所を作らなか…
「意外と距離があったね…」 車社会で生きているらしい神崎が音を上げそうになったが、ふたり…
水上バスが桟橋に近付いていく。東京を象徴する赤と白の塔に、地方出身のふたりは歓声を上げる…
「神崎…さん?」 思わず、半疑問形で尋ねていた。 研修期間中ずっと見せていたクールな雰囲…
揺れる水面を足元に感じると、子供のように心が弾む。 研修最終日の移動手段は、水上バスだと決めていた。切符を眺めていると、自然に頬が緩んでくる。ほかの日程は時間のかからない移動手段を使ったけど、長丁場の研修から解放された今なら、のんびりと移動しても差し支えない。 そうだ、今日が最終日だから、研修室の隅にトランクを置いてる人もいたっけ。可愛らしいキャラクターが散りばめられたデザインだったから、誰か女の子のものだろう。きっと直接地元に帰るのだ。 水上バスの出発を待ちながら、真
A面 とても綺麗だと思ったの。 純白の花びらにこぼれる朝露がまるで宝石。 もう決して、これ…
「__さん」 彼の名を呟く。切なさが、どうしようもなくて。 枕に頭を預けて、いつものよう…
大都会の駅は広過ぎて、小さな街の片隅に息を潜めて暮らす自分には、英雄の脱出を拒むダンジョ…
君はその道を行くんだね 誰も待っていないその道を 君は少しだけ開いた未来の地図に気が付かず…
僕の両の手のひらに、突然飛び込んできた星の欠片。 僕の大切な、星の欠片。 ガラスの箱の底に…
夜の闇の黒がどんな黒だったか、赤く輝く星の色がどんな赤だったか、思い出せなくなっていた。…
青空にもたれかかる君の、黒く輝く眼差しが僕を捉える でも本当は、君の前に居るのは僕じゃない 僕でなければ、貴方でもないけど、僕でも貴方でもあるもの 僕だと思いたい 僕であったらいいのに ねえ、僕は君のことを何も知らない こんなにたくさん君が溢れているのに、何も知らないんだよ 僕に見えるのはか細い糸 たった一本だけの、細い糸 あまりにもか細くて、今にも見失ってしまいそうな 信じることなんて出来なかった この糸に気付いたあの秋の日には 僕がどうしようもないほど見つけたこ