金平糖の記念日

いつだって君がどうしているか、小鳥に尋ねてしまうけど
君と僕が同じものでなくたって、僕はかまわないと思ってる
だから君と同じセーターなんて買わないし
君の口癖を真似たりもしない
それがどんなに素敵でも

君がその綺麗な透明の箱にいっぱい詰め込んだ金平糖は
僕が硝子の箱にいっぱい詰め込んでいる金平糖とはやっぱり違う
色も、形も、香りも、味も
光の加減で真っ青に見えることもあるし
七色に光って見えることもある

でも僕は、その真っ青に見える金平糖も素敵だと思う
僕の金平糖とは違うけど
それが楽しいんだと思う
僕の持っていない色の金平糖をいっぱい持っている君だから、僕は君の足跡を小鳥に尋ねたくなるんだ

だけど、
君が僕の硝子の箱をそっと覗いて、
僕と同じ色の金平糖を指先にそっと乗せているように見えたのは、僕の見間違いかな
君の空想のランチタイムが僕の記憶の断片にそっくりだったときや
僕の好きな歌が君の唇からこぼれてきたとき
君の黒髪に鋏を入れるタイミング
君が作るパズルはとても素直でとてもややこしい
僕の囁き声を君がこっそり聞いているみたいで
きっと神様のいたずらなのに
僕は君の中に僕と同じ色の金平糖を探してしまう

同じ色の金平糖を見つけることが
見つけたかもしれないと思ってしまうことが、こんなに嬉しいなんて
僕ももっと、君と同じ色の金平糖を拾い集めて、君に見せれば良かったのかな
君は嬉しいと思ったかな
それとも、ちっとも喜ばなかったかな
ちっとも喜ばないんじゃないかと思うと
僕は同じ色の金平糖を隠してしまわずにはいられなかった

ねえ、知ってる?
夜空の星は誰かが散りばめた金平糖なんだよ
僕が毎晩見ている空は真っ暗で
星なんてたったのひとつきり
君がどうしているかだけが気になって
元気でいるかだけが気になって
壊れてしまった僕の左の眼にも
ひとりぼっちの真っ暗闇の世界でも
君の星だけが見えるみたいだ

僕の夜空では、僕の金平糖は星になってくれない
星空を作るには、僕のものでない金平糖を使わなくちゃならない
それは僕が、それでなくちゃいけないと思っている金平糖
どんなに僕と違っていても、だけどどこか似ているような気がする、世界でいちばん綺麗な色や形や香りや味の
きっと、宇宙でいちばん美しい星空が生まれる

僕と一緒に星空を作るのは、君であってほしい

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主にフィギュアスケートの話題を熱く語り続けるブログ「うさぎパイナップル」をはてなブログにて更新しております。2016年9月より1000日間毎日更新しておりましたが、現在は週3、4回ペースで更新中。体験記やイベントレポート、マニアな趣味の話などは基本的にこちらに掲載する予定です。お気軽に遊びに来てくださいね。

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