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誠実とは

私の祖母は、世にいうところの全然可愛くないおばあちゃん。

歳のせいなのか、それとも本来の性格がそうなのか、線引きがかなり難しいけど、ざっくり言って、わがまま of わがままだ。

そして、おばあちゃんを相手する時に、なにより問題になるのは、おばあちゃんは自分はものすごく不幸だと思っているということだ。

この前まで老健にいて、今は老人介護施設にいる。

膝が悪いところに、転んで手首を複雑骨折した。骨粗鬆症で骨がもろくなっていて、手首にプレートを入れて、辛うじてそろそろ動かせる。重いものは持てないし、次転んだら、今できている歩くことも、トイレに自分で行くこともできなくなる、だろうと医者にも言われている。

そんなおばあちゃんは、今後の人生をもっと自由に生きたいんだそうだ。

おばあちゃんは、祖父がなくなってから独居をしていたけど、伯父や伯母を(言い方は悪いが)こき使って生活することで、独居を成り立たせていた。

おばあちゃん自身には、こき使うという考えはなくて、日々(老人である自分の)顔を見させてあげている、病院への送り迎えも、伯父や伯母が暇(?)だろうから、ついでにあちこち連れ回してあげられて、いいことをしている。

といった調子で、おばあちゃんの世界はおばあちゃん中心に回っていた。

そこでもって、もっと自由に生きたい。

親族揃って、

あなた今までの生活はどうだったの? 自由じゃなかったんかい!

という思いだ。

でも、おばあちゃんは不幸なのだ。

冥土の土産という、高級旅行をあっちこっち(何回も)行ったけど、それは自分のお金で行った、自由じゃない、不満の残るもので、老い先短い自分はもっともっと自由でいいはずだ、と。人間の自由への権利を、制限するつもりはないけど、どうなんだろうか。みんなで首をかしげる。

今いる老人介護施設なんて(実は)もってのほかで、老健を出たら、そのまま独居生活に戻る! と宣言していた。

老人介護施設にいるのは、手首がそんな状態だから、誰もフォローしきれないし、リハビリがてらちょっと施設にいてくださいと母と伯母が頼み込んだから。

おばあちゃんは、こちんこちんの昭和の女だ。

子供は親に従うもの。

子供は親の言うことに従うもの。

子供は親の老後を看るもの。

そうでない子供は親不孝だ。

今で言うところの「毒親」っぷりは、お年を召してからも健在で、子供に向かって「こんな不幸な目に合わせて、呪ってやる!」とか言っている。
(ちなみに、認知症の薬を飲んでいるらしいけど、年相応の忘れっぽさはあっても、全く病的ではない。よって、これは素であり、本気だ。)(また認知症の薬を認知症予防に飲むという、変なことになっている)(薬を出す医者がおばあちゃんの袖の下の額の言うがままという、倫理観の怪しすぎる人のため、そういうことが起きる)(不必要だからと、認知症の薬を施設が出さないと、おばあちゃんは怒り狂ったメールを母の所へ何通も送り付ける。私が認知症になったら、みんなお前のせいだ! 的な)(そんなに元気なら、薬なんていらないんでは? と思うけど、おばあちゃんの中では、自分は認知症のかわいそうな老人。)(つまり、色々変なんである)。

さて、母は、仕方ないねとか、困った困ったとか言い、そして、時々逆襲するかのように、おばあちゃんに不誠実な嘘をつく。

おばあちゃんに、母が住んでいる所へ来るか?

と聞くのだ。

独居しか頭にないおばあちゃんだから、「嫌だ」というのを見越しての発言。

私が不誠実だと思うのは、母はおばあちゃんとの同居をまったく、全然考えてもいないのに、そういう提案をしていること。

断ることが分かっているから、自分でも毛ほども望みもしない、実現不可能な提案をする。

おばあちゃんの足元を見て、「独居は無理でしょ。私(母)の所も嫌。それなら、行くところがないよね。施設だよね」と持っていく論法だ。

私はおばあちゃんの味方ではない。どちらかと言うと、振り回される親族一同の様子を見て、おばあちゃんに批判的な立場だ。

持ちきれないほどの冥土の土産経験をしたのに、まだ足りない。満たされてないのは、私は不幸だ! と言ってはばからないおばあちゃんが、気の毒であり、かわいそうだと思う。でも、おばあちゃんの言う通りにしてあげるのがいいとは思っていない。娘に「呪ってやる」と言う母親ってどうなのと思う。

でも母の論法や、不誠実な嘘にも、同じか、それ以上に腹が立つ。

できもしないことを、約束し、期待させる。足元を見ていて、断るだろうと、人を品定めしている。

いくら相手がおばあちゃんでも、そういうことはするべきじゃない。してはいけないと私は思う。

正攻法が通じないおばあちゃん相手だから、何をしてもいいのか。どんな不誠実な嘘でもOKなのか。

母のやっていることは、誠実じゃない。卑怯だ、と私は母に言った。

だったら、誠実なやり方で、どうやっておばあちゃんを説得するの?

と聞かれた。

答えはない。

でも、誠実さって、相手の身になって考えることから始まるのではないかと私は思う。誠実さ云々よりも、お互いに気持ちのいい関係でいることは、相手が誰であれ大事なことだと思う。

例えば、おばあちゃんが不幸だと言うなら、どう不幸なのか。おばあちゃんの幸福って何か。これからはもっと自由に生きたいというけど、自由ってどんなふうに生活することなのか。

その理解から始めても遅くないと思う。

いい関係なんて、今日明日に成り立つものじゃないけど、人として生きていくには、欠かせないと思う。

孫の私はほぼノータッチだから、こんなことが言えるのだと思われるかも。

その通り。

間違いない。

でも、全く赤の他人でもないから、色々思うこともあるのです。

【今日の英作文】
「なにかに腹を立てた後、私はすぐ諦めてしまいがちです。全てが嫌になるのです。そんな自分を変えたいです。まず、腹が立った事実を相手に伝えようと思います。」

"After getting angry, I'm likely to get it out of my mind easily. I'm fed up with everything. I want to change myself. First of all, I'm going to try to tell them about the fact I got angry.''

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