記事一覧
拝啓、カムパネルラ様
2019年も間もなく終わりますが、いかがお過ごしですか。最後にあなたを見かけたのは、放課後の教室でしたね。
一心不乱に解いていた計算ドリルからふと顔を上げて、「これが終わったら天王星に行くんだ」といつもの調子でへらりと笑うから、それは遠いわ元気でなと、缶入りのメンソレータムを餞別に投げつけましたっけ。あれ、さすがにもう使い切りました?
ああ。違う、本当に最後に会ったときは、言葉は交わさなかった
だれかのわらうきみのうた(『プッシー・ライオットの革命 自由のための闘い』販促)
首相が皇帝になるなんて、望んだことではない。嘘にはもう、うんざりしていた。テレビで放映される、あいかわらずの聞くに堪えない戯言と、くり返される根拠のない「ハッピー・ライフ」の約束には。(p.24)
極東の小国の話だと思った?残念!ロシアでした!!
ロシアW杯乱入事件で注目を集めた「プッシー・ライオット」。
本書は、その結成メンバーであるマリヤ・アリョーヒナ(マーシャ)がロシア正教会で反プーチン
さらば、短き夏の光よ
ルイージおじさんはおとうさんのおとうとです。
はじめてひげをはやしている男のひとを見て、マリオみたいだな、とおもった。でも、赤い服はに合わないともおもった。おとうさんにはひげはないし、はげているけど、マリオはおとうさんだとおもう。
だから、いつもちょっと困ったようなかおで笑うおじさんのことは、ルイージおじさんとよぶことにした。
ルイージおじさんの部屋はたばこのにおいがした。
ほかの部屋はぜんぜ
サウイフモノニ ワタシハナリタイ(映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』感想)
子どものころ、わたしは今よりずっとひねくれていて、人間の善性なんぞ欠片も信頼していなくって、賞賛もされないのに他人のために駆けずりまわる奴なんざよっぽどの聖人(と書いて「ヘンタイ」と読む)か馬鹿だろうと思っていた。
年くっていろいろな人や出来事に出くわすにつれ、善良な人は確かにそこらじゅうに存在するということに、より正確には、すべての人の内に善性のグラデーションが存在するということに気づくように
おまえがヒーローになるんだよ!(映画『15時17分、パリ行き』感想)
最初に謝っておきます。
学校にテロリストが攻め込んでくる空想が好きなキッズ向けの再現ドラマかよ。アメリカ人は相変わらずマッチョなスーパーマン好きだねぇ、とあらすじを聞いたときにナマいってすいませんでした。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
(事件後、どこかの通話記録にて)
あ~、もしもし、俺だよ俺。
あ?詐欺じゃねぇし。だいたいおまえ、金なんて持ってねぇだろ。
よう、久しぶりだな。
映画『あなたの旅立ち、綴ります』のススメ
異質な取り合わせの人間たちが出会い、互いに影響を与え、そして別れていく—そんな物語が好きです。
ハナっから意気投合した人と長く付き合えるのはもちろんサイコーですが、「何考えてるんじゃコイツ…」から始まったただひとたびの邂逅が、いつかどこかで互いの支えになる。そんな関係、プライスレス。
さて、本作の台風の目は、元やり手の広告代理店経営者ハリエット。
昨今、本邦でも"終活"が流行っていますが、こ