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だれかのわらうきみのうた(『プッシー・ライオットの革命 自由のための闘い』販促)

首相が皇帝になるなんて、望んだことではない。嘘にはもう、うんざりしていた。テレビで放映される、あいかわらずの聞くに堪えない戯言と、くり返される根拠のない「ハッピー・ライフ」の約束には。(p.24)

極東の小国の話だと思った?残念!ロシアでした!!

ロシアW杯乱入事件で注目を集めた「プッシー・ライオット」。
本書は、その結成メンバーであるマリヤ・アリョーヒナ(マーシャ)がロシア正教会で反プーチン・パフォーマンスをして逮捕され、服役、やがて釈放されるまでを描いた手記である。

そして、すべての「ライオット」たちへの応援歌だ。

うんざりだろ。うんざりだよな。
常々この国の、声をあげる人への視線にはイライラさせられる。
まるで、権利主張や体制批判をする者こそが社会をおかしくしていると言わんばかりの冷たい視線には。

順序が違うだろ。
社会が、現行の秩序とやらがおかしいから是正を主張するんだろうが。

おまえさえ黙っていれば、問題なんてなにも起こらないのに。
みんな「いまのまま」幸せに暮らしていけるのに。
なんで声をあげるのかって?

不正義や不平等に吠えるのは「いまの自分に満足できない理由を外に求めるしかないかわいそうな奴だから」だって?

あほか。
「いまのまま」の状態、「いまの自分」に満足なんて死んでもするかよ。
それが人間だろ。
昨日より今日が、今日より明日が良くなるように。
自分が這い上がったら、周りの人が這い上がるために手を貸して。
それが済んだら、まだ見ぬ誰かが這い上がれるように。
人間は闘いつづける生き物だろうが。

かわいそうな奴だと嗤わば嗤え。
五月蝿い奴だと耳を塞ぎたければそうすればいい。
だが、マーシャは、わたしは、ライオットは決して黙らない。

このままでいいわけあるかよ。
彼らにノーということや、リスクを取ることを怖れないこと。リスクを取るのがひとりきりであっても、怖れないこと。(p.249)

このままでいいわけあるかよ。
黙っていたらなにひとつ変わるわけないだろ。

この国より段違いでヤバいトップの居座るロシアで闘うマーシャの姿は、ある歌のフレーズと重なってみえる。

―――諦めという名の鎖を身をよじってほどいていけ。

自由は、あなたがそのために日々闘わない限り、決して存在しえない。(p.286)

マーシャの信念が願わくば、闘う誰かの心に届きますように。

#NowPlayng ファイト! - 中島みゆき

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