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つながり活動 〜本日誕生日のおかんとつながる〜

今日は、私のおかん(母親)の誕生日。

現在、おかんは一人暮らしをしている。

今年の2月頃から、認知症がどんどん進行し、

生活する上で自分で出来ないことが増えてきている。

今はまだ、自宅で暮らす方向で話し合っていて、

仕事前と仕事後に、

私が毎日、実家で食事や家事の手伝いをしている。

日中は独居状態だが、なんとか暮らせている。

今日はおかんの誕生日なので、

ケーキを買って実家に戻った。

「 おか〜ん、ケーキ買ってきたで〜 」。

今日は誕生日の穏やかな内容の投稿になると思っていた。

しかし、

家に入ると、

居るはずのおかんの姿がない。

使用している押し車もない。

「 ま、まさか 」。

最近は歩行に自信がなくなっているのか、あまり外に出ていかなくなっていた母親。

認知症が進み、自分でも「外に出るのが怖くなった」と漏らしていた。

今までに2回ほど、一人歩きして自宅に戻れず、地域の方に助けられたことがある。

雨の中、おそらく傘もささず、

1人で出ていってしまっていた。

とにかく、思いつくルートを片っ端からあたる。

昔に散歩していたルート、友達の家、近所のスーパー、

いくつか探したが、見つからない。

日が長くなっているものの、

暗くなる前に、警察に届けないといけないと考えたが、

最近の会話の中で、

よく出るワードを思い出した。

「 駅の近くのダイエーに買い物に行かなあかんな・・・」。

今はダイエーではなく、違う店舗になっているが、

そこは昔からずっとスーパーである。

急いだ。

スーパーに着き、

店内を探そうと入り口に向かった瞬間、

なんと、

入り口から、

丁度、髪が濡れたままのおかんが押し車を押しながら出てきた。

「 おかん!!」。

奇跡的に入り口で出会ったのだ。

先程の出来事なので、自分の中でまだ気持ちの高ぶりが残っている。

「 よかった〜〜 」

と思わず大きな声を出してしまったが、

おかんは、

「 ん、何か食べたいものでもあったん??」

と、驚いたように言う。

なんだこの温度差は。

私も落ち着きを取り戻し、言う。

「 いやいや、今日はおかんの誕生日やから祝おうと思ったんやけど、

  おかんが家にいなかったから呼びにきてん ! 」

と伝える。

「 ごめんごめん、今日たくさんの人が家にくると思って、

  ちょっとしたお菓子でも出そうと思って買いに来たんや

  けど、財布もないし、どうしようか困ってたんや〜 」

と、少し疲れた顔を見せた。

おかんは、自分の誕生日パーティーがあると思っていた様子。

「 大女優かいっ!! 」

心の中でツッコみ、

そして笑った。



今日の朝、

私は、

「 今日はおかんの誕生日やで!お祝いしような! 」

と言って、仕事に向かった。

おそらく、

その言葉に刺激され、

「 買い物に行かないと!!」

と思ったのだと思う。

最近、1人では買い物には行っていなかった。

行くのであれば、私か兄かどちらかと行っていた。

すごく勇気がいったと思う。

押し車の前カゴには、

自宅から持ってきたであろうペットボトルのお茶2本と着替えの服、

テレビとクーラーのリモコンが入っていた。

相当な心構えに見えた。


私の言葉に、

「 ちゃんと用意しないと 」

と、昔から世話好きだった母の力が発揮されたのだと思う。

その母親の話を聞いてハッとした。



私は、「また出ていってしまった」

とその瞬間、

おかんが問題を起こしたかのように捉えてしまっていたのだ。

介護の仕事をしていながら、

自分が情けなくなった。

母親は、

「 誕生日の準備をしよう」と

ちゃんと目的を持って出かけていたのだ。


家に戻り、

母親に謝った。

「 せっかくの誕生日やのに、疲れさせてごめんな 」。

母親はいう。

「 気にせんでいい、早くケーキ食べようや 」。

母親は甘い物が大好きだ。

私の気持ちとは裏腹に、

ケーキを頬張る。

「 うん、うまい、これにしてよかった!!」

買ってきたのは私だけれど。

とにかく無事でよかった。


今日で81歳になったおかん。

私が小学校1年生の時に、父が他界してからは、

女手一つで、兄と私を育ててくれた。

おかんの誕生日なのに、

こちらがサプライズを受けてしまったが、

これからも、おかんが穏やかに暮らしていけるように、

全力で親孝行していきたいと思う。


なぜか突然、クーラーのリモコンを私に向けて押すおかん(俺、クーラーのモノマネはできませんから!!)










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