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「仕事は楽しみですか?」が炎上した件から俺たちが学べること

はじめに

先日、とある広告が炎上していた。品川駅の通路であろうことか「今日の仕事は楽しみですか。」などという、会社員を煽ってるとしか思えない広告が堂々と映されていたのである。この通路、社畜回廊とネットでは言われるぐらい通勤者が多いのだが、それを狙ってのことだと思う。


この広告を打ったのは株式会社アルファドライブで、NewsPicksと事業統合しているようだ。その上で「ビジネスに鼓動を。」をタグラインに掲げ、人材育成・組織活性化・新規事業開発に特化した「企業変革ドライブカンパニー」として本格始動すると宣言していた。


しかし、その本格始動の前に、思いっきり広告でコケてしまい、ニュースにも取り上げられた結果、日本中の人々に「嫌な広告を打ってくる会社」と認知されてしまったことだろう。われわれは今回の社畜回廊煽り広告事件から何かを学ばねばならないのではないか。

この広告、何が目的だったの?

そもそも、広告の目的は「商品やサービスを売ること」にある。そして、目的に応じて広告の種類は下記の3つに分けられる。

レスポンス広告:
文字通り、反響(レスポンス)を獲得するための広告
イメージ広告:
商品・企業の認知を広めて、ブランド名を浸透させることを目的とした広告
ブランド広告:
既にブランドが構築されている企業による広告

今回は、イメージ広告だったと言えるだろう。つまり「人材育成・組織活性化・新規事業開発に特化した企業変革ドライブカンパニーとして本格始動する」会社であるところの株式会社アルファドライブの存在を人々に知ってもらうことがゴールだったのではないか。


実は、目的は達成されていた

この意味でいうと、広告の目的は十分達成されたのではないか。なぜなら、この会社のCEOが「法人向け事業」と題して広告についてツイートしていたからだ。つまり、この広告を売った後に本格始動する事業は個人ではなく企業向けである。よって、今回の広告は「あえて炎上させることで認知度を獲得して、それを手土産に企業に営業しよう」という炎上マーケティングなのではないか、と考えている。

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要するに「社畜回廊で煽り広告を打って、どれだけ会社員が騒ぎ立てようが、それで有名になれてお客さんである企業に『この前話題になってた広告を打ったのはウチなんですけど~~~~』と言えればOK」なのである。

強制的に「いやな広告」を見せられる私達

とはいえ、広告を見せられる側としては溜まったものではない。朝から出勤して『今日も憂鬱な日々が始まるのか....』という気分の中で『今日の仕事は楽しみですか。』と煽られては意気消沈してしまう。少しは楽しみだった仕事も、この広告のせいで楽しみではなくなる。

広告は、ある意味で、見る側の自由を奪って成り立っている。

私自身、広告がすごく嫌いだ。特に、自分の主義主張に反する趣旨の広告を強制的に見せられたときに怒りがピークに達する。

反逆としての広告排除ムーブメント

今回の炎上は、いわば広告の犠牲者たちの反逆なのである。今回のような企業向けブランド広告は、強制的にいやな広告を見せられる我々犠牲者の上で成り立っている。だからこそ、その怒りに基づいてムーブメントが起き、いなや広告を排除する動きが起きる。

今後は、こういった一般消費者の大半が嫌だと感じる広告は、より一層きびしく淘汰されるだろう。それは、何らかの協会や委員会が行うのではなく、われわれ消費者が行うのだ。

【参考】放送禁止になったテレビCMの墓場

ここで、箸休めとして放送禁止になったテレビCM集をおいておく。

広告をうつことを仕事にしている人は、普段からこういったNG例を見て、感性を磨くべきだろう。くれぐれも過度に消費者感情を逆撫でする広告を打つのは、やめてほしい。


楽しくなくても、生きるために働く

そもそも、仕事は楽しくないといけないのか。楽しくないけど生きるために働く。そういう人もいる。というか、そういう人のほうが多いだろう。

仕事が楽しくあるべきだから、もっと楽しく出来るように働きかけよう!という趣旨はわかるが、しかし今回の広告センスからは、この会社が言うところの「楽しく働こう!」という世界観はとうてい万人に受け入れがたいものになりそうな予感がする。

なぜなら、今回の記事に書いたようなことが、事前に予測できない程度の想像力ならば、ただ1回広告を打つ行為よりもより複雑かつ難易度の高い「楽しく働こう!」を実践できるとは思えないからだ。

企業主導の働き方改革はクソだ

思うに、「こういった企業主導の働き方改革めいた事業は、働き手を無視して、むしろ金を出してくれる企業の方ばかり向いて、結局は頓挫する場合が多い」ように思う。

結果、挨拶活動だとか、朝礼だとか、社内イベントだとか、会社で働くことに前向きな人達が作った「楽しく働くためにできること」が押し付けられる。

本当に必要なのは、雇用環境の改善、転勤しなくて済む、意見を言っても怒られない雰囲気、希望者にはリモートワークが許可される、いやな飲み会を断っても排除されない雰囲気、パワハラやセクハラをされない、といった人として当たり前のものなのだが、大半の会社ではこれらが与えられていない。

こういった足元の現実的な課題に目を向けず何が楽しく働こう!だ」と思う。繰り返しになるが、企業主導の働き方改革なんて全部クソだと思っている。殆どの場合、ズレてるからだ。

「働くのは楽しくない」から始めよう

もし仮に、楽しく働く!を真剣に実現したい会社が存在するなら、

大半の人にとって仕事は楽しくない。

という大前提を認めるところから始めてほしいものだ。

まとめ

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