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安全性を追求した電動キックボードが、東京都の〝新〟公共交通に名乗りを挙げる(第17回優勝社 BRJ株式会社)

電動キックボードのスタートアップ、BRJ(東京都港区)との連携

新たな交通手段として、電動キックボードの利用が広がっています。残念ながら、事故や飲酒運転や信号無視といった違反も頻発していますが、事故がまったく発生していない地域があるのも事実です。それは東京都立川市を中心とする北多摩エリア。安全性を追求したマネジメントによって現地で事業を展開しているスタートアップがBRJ株式会社(東京都港区)です。その〝手腕〟が評価され、東京都と八王子市の南大沢地区で新たな実証実験に着手することになりました。

電動キックボードシェアリングサービス

立川市近辺で300台を運用

電動キックボードのシェアリングサービスは欧米で普及しています。最大手の1社が、スマートフォンアプリ「BIRD」を提供する米Bird Rides。同社から日本での事業展開を託されたのがBRJで、昨年10月から実証実験を行っています。
実験の場は立川市で、国立市や国分寺市といった周辺の自治体も走行できます。エリア内の170カ所には拠点となるポートがあり300台を運用、アプリに登録すれば実証実験期間中はライド開始時100円 (税込)ライド1分につき10円 (税込)で利用できます。実証実験下の最高速度制限は時速15キロで自転車と同程度です。

GPSで管理されている指定エリアから外れると、走行が自動的に停止。事故ゼロを継続

事業展開に当たっては米国で培ったノウハウを反映させ、徹底的に安全性にこだわりました。そのひとつがジオフェンシング機能。GPS によって管理されている⾛⾏指定エリアから外れると、いくらアクセルを踏んでも⾛⾏が⾃動的に停⽌される仕組みです。この機能によって一定以上の交通量がある道路は走れないようにしたほか、「歩行者が多いので、この場所は通行できないようにしてほしい」といった地元住民の声にも応えています。
また、終電を逃した人が酔い覚ましを目的として利用するのを回避するため、営業時間は朝6時から夜10時までに限定しています。
電動キックボードをめぐる事故や違反が多発する中、事故ゼロを継続しているBRJの戦略は本格導入を目指す自治体の信頼感を高め、最先端技術を活用した南大沢のまちの活性化と移動利便性の向上をテーマとした東京都主催の「第17回UPGRADE with TOKYOピッチイベント」で優勝を果たしました。これを踏まえ東京都と連携し、南大沢で新たな実証実験を行います。

https://www.brj.jp/

八王子・南大沢地区での実証実験を通じ、電動キックボードの新たな魅力を引き出す

南大沢は三井アウトレットパークや東京都立大学などがあり、多種多様な層の人が訪れる街です。一方で坂道が多く、自転車での移動が難しいといった理由で、住民にとっての利便性は決して良くないという側面も持ち合わせており、さまざまな検証を行えることでしょう。
電動キックボードは渋谷や原宿といったおしゃれな街をさっそうと駆け抜けるといったイメージがありますが、既存の公共交通インフラの間隙を埋めるピースとして重要な役割を果たします。また、場所的に足を運べなかった店舗も利用しやすくなるなど経済面での効果も大です。新たな公共交通として名乗りを挙げるためにも、南大沢での実証実験に対する期待感は高まります。

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