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2024年7月15日 出会ってしまった本


大変好きなタイプの小説に出会ってしまいました。
誰の小説でどういうお話かというのは
そのうち感想を書くと思うので、
ひとまず、置いておきます。

今回書きたいことは、好みの小説や漫画に出会ってしまった時の、自分の状態です。
結構面白い状態になるので記録しておきたいと思いました。

ここ数年でそうなった作品のひとつは、、マーガレット・アトウッドの「侍女の物語」です。
「侍女の物語」はざっくり言えば、生殖がテーマのディストピアSF小説です。
寝ても覚めても仕事をしても家事をしてもひたすら、ギレアド(小説の舞台となる国、元ははアメリカ合衆国と推測される)のことを考え、
登場人物の人生を考え、
ギレアドの法律や産業を考え、
小説に書かれていない、あの世界について考え、
どうすればあの物語の世界で、破滅に至らずに済むのか?、あの世界を自由に変えていくには?を真剣に考えていました。
ひとりで、何通りもの展開を考えては、「これではダメだ…」とやり直し、
何を見てもそれと関連づけてしまい、
吐きそうになるほどでした。
久しぶりに連絡があった友だちに、「こういう内容で、現実にもつながる物語だから是非読んでほしい」と迫ったのですが、
長い付き合いがあるのに「ちょっと、あなた変になってるよ」というような返信をされてしまったくらいです。

これは漫画でもそうです。
以前、ガラスの仮面という漫画を身内から借りて読みまして、
しばらく月影先生みたいな台詞回しと態度になっていたらしく、かなり嫌がられました。
考えてみれば、家の中に、月影先生がいるのは、気持ちの良いものではありません。
というより、自分が月影先生になりきっていることには指摘されるまで、全く自覚がありませんでした。

俳優の中には、憑依型俳優と呼ばれる人がいるらしいですが、
私は言うなれば、
憑依型読者ということでしょう。
ハマってしまうと、読んでいる漫画や本のキャラクターや世界観にどっぷり浸かってしまいます。
ただ、酩酊したような状態になるだけでなく、
1番気に入ったキャラクターのセリフ回しや思考、行動が、頭に叩き込まれ、その上で、再生されるのです。

現在、気に入ってしまった作品の主人公は
なかなかクセのあるキャラクターですから、
このキャラクターのセリフ回しや思考、行動が、自動再生されると、
大人としての社会生活は終わりを迎えてしまいます…。
ですから、現在、かなり意識して外に出さないようにしています。

昨日記事にした、スペースに飛んで参加しなかったのも、
この本にハマっていて、
この本のことを1人でずっと考えていたかったからでもあります。
しかし、今となってはスペースに参加しておいてよかった…と思っています。
スペースで全く別のことを喋ったり、考えたりしたからこそ、
一度間を置いて、冷静になり、
キャラクターを憑依させたような言動にならずに
済んだからです。
それでもその作品への興味や没頭は
まだ完全には消えていません。

今日は、再度その物語を楽しみながら、メモをとっていました。
有名な本なので感想は古い本の割には、
沢山出ています。
ただちゃんと考察されたブログ(例えばWikipediaのように登場人物一覧が、しっかりあるような)は少ないようです。
自分の中で気になっていることを明らかにするため、
小説の中で語られる大事な情報をメモにして整理しています。
前回、登場人物を整理したのは、小野不由美先生の「十二国記 白銀の墟 玄の月」でした。
膨大な登場人物を整理して、ストーリーを理解したかったのです。
今回はあれほどに長大な物語ではありません。
ただし、信頼できない語り手ばかりの物語なので、
どれが一体現実で、どれが一体幻想なのか、
そして真実、何が起こったのかを捉えるには
メモを取るしかないようです。

一方で、何より嬉しかったのは、
この作品について色々も調べた結果、
この作品の作家はずいぶん以前にに亡くなっているものの、沢山作品を出しており、
しかもそれが国内、日本語で入手できるということです!
他の作品も、是非読んでみたいと思い、大人買いすることにしました。
しかし、いざ買おうとすると、結構な本が廃版になっています…!!
最近の出版事情、それに伴って、読書事情は、10年前よりずっと厳しくなっているのです。
オンラインの古本屋をいくつか検索し、目についたもので手に入るものはできるだけ、購入することにしました。
あの作品を書いた人が、他にどんな作品を書くのか、どうしても知りたいからです。

本当に沢山作品を世に出してくれていてよかったし、
人気がそれなりにあってよかった、と思います。
海外の小説というのはそれなりに流行らないとそもそも翻訳されないものですから…。
そのうち、10冊近い本が届くことになります。「全部読むのか?」と自分でもつっこんでしまいますが、
人生が終わるまでには必ず、と答えてしまいそうです。
10代の頃に出会わなくてよかった、本です。
その頃に出会っていたら、今の人生を選ぶことはなかったのではないか、と思います。
歳を重ねた、今、出会ってしまったのが運命と言っても良いかもしれません。
しかも今回はAudibleで見つけたのです。
いつでも、好きな時に、音読してもらえる素晴らしさ、目を閉じて本を読める素晴らしさを噛み締めています。
(音声化されているのはこの作品だけのようです。)
この出会いを大切にするために、
この作家の本を積みます。


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千歳緑/code
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