2024年9月6日 名もなき家事はバフ
「名もなき家事」と呼ばれるものがあります。
「取り立てて名前をつけるまでもない」とされる家事の代名詞です。
例を上げると、
・ウェットティッシュが空になったら、ストックから詰め替えを取り出し、中へ入れる
・手洗い石鹸・シャンプー・コンディショナー・ボディーソープが空になったら、ストックを入れる。
・トイレットペーパーがなくなったらストックから新しいものを出し、設置する。
・お茶がなくなったら、お茶を沸かして、冷まし、容器に入れる、もしくは、新しいペットボトルを入手して、冷蔵庫で冷やす。
・氷を作る。
・濡れた折り畳み傘を開いて、干して、畳む。
・洗濯物を取り込んで畳む。
・ゴミを出せるようにまとめる。
・ゴミ箱の中を清掃する。
・掃除機の中のゴミを捨てる。
などです。
家事全般、さほど好きではないのですが、特に「名もなき家事」に対しては、
特に意欲が低くなります。
結局、やるにはやるのですが、やる時に、頭の中に、「面倒臭い」とか「なんでこんなことを…」という愚痴が、
ぐるぐると回っています。
どうしてあれほど面倒、と感じるのかについて、考えてみたいと思います。
①「名もなき家事」なのに下準備が必要
名もなき家事のくせに、
「前もって必要量を確認して、ストックを購入しておく」という下準備が必要なものが多いのです。
一言で、下準備と言っても、
無くなりそうになっているのを、確認すること、
購入することで
2つもやることがあります。
「準備段階で2つもやることがあるのがもういけない!」と、思いませんか。
「無くなりそうになっているものを、確認すること」って、大した行動ではないのでは?と思う人もいるのでしょうが、
やってみると、案外脳の使用量を削るタスクなのです。
仕事をしていても、趣味をしていても、頭のごく一部は何かのストックの管理で使われている感じがあります。
どれほど読書の世界に浸っていても、頭のどこかにはある「名もなき家事」の運用のためのデータが蓄えられています。
大人になってから子どもの頃の読書ほど、没頭できないのはこういった理由からかもしれません。
ゴミ袋のストックの量と冒険活劇の相性は、いいはずがありませんから。
②やる必要があるけどやりがいはない
「名もなき家事」の恐ろしいところは、生活していく上で、やる必要がかなり高い癖に、やりがいがない、という点です。
トイレットペーパーの買い置きをしておいて、無くなる寸前にはトイレに持って入るということは、
やらないと自分が困るわけですが、
やったからと言って輝くような結果や満足がついてくるものではありません。
「自分らしい生活!」とか「好きなことだけで生きていく!」のような、令和的生活においても、なお、
「名もなき家事」は存在していて、その時代感覚と現実の温度差に風邪をひきそうになります。
意味があったり、楽しかったり、自分らしかったり、そういう価値観と「名もなき家事」は相性が悪いのだと思います。
やっている自分だけが、損をしているような、そんな気持ちになってしまうのです。
③やっても当たり前とされる
「名もなき家事」をやってもやっても、それは「当たり前」であって、
ことさら褒められるようなものではないような空気が世の中に浸透しています。
やってないとやってないことはあげつらわれるのに、やってみてもそれは「普通の人なら当たり前」の箱に投げ込まれてしまいます。
そして、SNSには、「名もなき家事」を免除されている世代(子どもや若者)やお金で外注できる人々が溢れています。
本当は、ほとんどの人が「名もなき家事」をしながら生きているのに、そういう部分は見えないものですね。
面倒だなぁと思っている人たちが見えなくなってるから、「当たり前」な風潮である気がするのかもしれません。
結論:「名もなき家事」はバフと考える、やった自分をすごく褒めよう
最近、生きていることって、やることが山ほどあるゲームだな、と思っています。
何かが壊れたり、体調を崩したり、買ったり、捨てたり、作ったり、
本当にタスクが沢山ある作業ゲーム、それが人生です。
人生ゲームはルーレット回してコマを進めるだけでいいけれど、
リアル人生ゲーム、「現実」は、そんなふうに、やることが厳選されていません。
各種パラメータをあげるイベントをこなしながら、日常のタスクもこなさないといけないのです。
ものすごくたくさんあるイベントやタスクのなかでは、「名もなき家事」は、楽しいイベントではないし、タスクとしても結果が見えにくいし、そのわりに、多く発生し、無駄な印象です。
それゆえに、億劫に感じるのです。
料理はクリエイティブだから好きだけど、洗い物は作業ゲーなので、苦手と感じている人間としては、せめて、楽しさか、結果が欲しいのです。
私は、日常を維持するためのちょっとした家事、「名もなき家事」のことを、かなり低く見ているのかもしれません。
そして、もしかするとその効力を甘く見ているのかも…。
こうして、つらつら考えていると、
「名もなき家事」は、ゲームのバフのようなものなのかも…という気づきがありました。
バフというのは、ゲームで自分の使用するキャラや味方に、一定期間、プラス効果(攻撃力や防御力を上げる、回復率を上げる)を与えるものです。
「名もなき家事」というと嫌気がさし、下に見てしまうので、「家事のバフ」とよぼうかな…と思います。
「「家事のバフ」をかけているんだ、これで、ステータスを一時上昇させるのだ…」と思った方がまだ耐えられます…。
そして、「家事のバフ」を行って、自分のステータスを高めている自分をもっもっと褒めるべきなのかもしれません。
さて、洗濯機の予約をして、ゴミをまとめておこうと思います。
これは家事のバフです。
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