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【海士町】海士町の司書の人

むかしむかし、日本海に浮かぶ小さな島、海士町に一人の若い司書がいました。名を波留(はる)といいました。波留は都会の大学で学び、故郷の海士町に戻って来たばかりでした。
海士町の図書館は小さく、蔵書も少なかったのですが、波留は「この図書館を島の宝物にしたい」と強く思っていました。
ある日、波留は島に古くから伝わる伝説や民話を集めようと思い立ちました。島のお年寄りたちを訪ね歩き、話を聞いては丁寧に記録していきました。
最初、島民たちは「本なんて、都会のもんさ」と冷ややかでした。しかし、波留の熱意に触れ、少しずつ協力的になっていきました。
月日が流れ、波留の努力で図書館には島の歴史や文化が詰まった本がずらりと並ぶようになりました。子どもたちは目を輝かせてそれらの本を読み、お年寄りたちは昔を懐かしんで図書館に足を運ぶようになりました。
ある日、都会から来た観光客が島の歴史に興味を持ち、波留が作った本を見つけました。その観光客は作家で、海士町の魅力を全国に発信する本を書くことにしたのです。
その本がきっかけで、海士町は「文化の島」として有名になりました。観光客が増え、島は活気づきました。しかし、波留はただ淡々と司書の仕事を続けました。
「本は、過去と未来をつなぐ架け橋。島の宝物は、ここにある」と波留はよく言っていたそうです。
そして今も、海士町の小さな図書館には、波留の精神を受け継ぐ司書たちが、島の物語を紡ぎ続けているとか。
めでたし、めでたし。
と思う2024年8月24日17時55分に書く無名人インタビュー872回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】

今回ご参加いただいたのは チバ さんです!

年齢:20代後半
性別:女
職業:図書館司書


現在:図書館で働いてみて、改めて変な場所だなって思うんですよ。

ナカザワアヤミ:
チバさんは今何をされてる方ですか?

チバ:
今、海士町の図書館の司書をしてます。

https://ama-library.note.jp

ナカザワアヤミ:
普段お仕事ではどんなことをされてますか?

チバ:
普段図書館に行かれるかどうかわからないですけど、カウンターにいて貸し出し・返却や、新しい本が届いたら登録して、図書館の本ってビニールみたいなのかかってるのわかりますか?

ナカザワアヤミ:
あ、カバーというか、フィルムみたいな…

チバ:
そうです。あれをかけて、図書館で利用できるように整えたりだとか、そういうことをやってます。

ナカザワアヤミ:
なるほど。仕事でも趣味みたいなことでも何でもいいんですけど、今生活の中心になってることってどんなことですか?

チバ:
生活の中心になっていること…よく食べてよく寝ることですかね(笑)

ナカザワアヤミ:
うんうん。
ちなみにお仕事以外で普段されてることってありますか?

チバ:
仕事以外だと、大学生の頃から短歌を作るサークルにいて、それがずっと今も続いているので、趣味といえば趣味って感じですかね。

ナカザワアヤミ:
今もサークルに行ってるんですか?

チバ:
もうメンバーが全員社会人になって、拠点がバラバラになったので、コロナのタイミングもあって、今、3ヶ月に1回ぐらいリモートで集まって、歌会っていうものをやってます。みんなで歌を持ち寄って得点を入れ合って、優勝者を決めるみたいな。

ナカザワアヤミ:
短歌はどういうところが楽しいですか?

チバ:
中学生ぐらいまでは散文っていうか、型にはまらない、小説みたいなものを書いてた時期もあったんですけど、設定とか考えてる時点で飽きてきちゃって。
当時は手書きでしか文字に起こすことができなかったので、自分の字の汚さにぐったりしちゃったこともあって高校生ぐらいのタイミングで辞めちゃってたんですけど、短歌は文字数がパチッと決まってて、同じ31文字なんですけど、受け取り方によって、私はこう思って作ったけど、読んだ人は全然別の捉え方をするみたいなのが面白くて。一つの歌でも何百通り何万通りの捉え方があるっていうのが面白いところだなと思います。

ナカザワアヤミ:
なるほど。大学生のとき短歌を始めたのは何でですか?

チバ:
誘われて、人が足りないからって言われて。できないって言ったんですけど、いや、できる!って言われて、それで入りました。

ナカザワアヤミ:
そこから続けられてるんですね。

チバ:
そうですね。だからその友人にはとても感謝ですね。

ナカザワアヤミ:
ちょっと話変わるんですけど、最近楽しかったことは何かありますか?

チバ:
それこそ歌会を一緒にやっているメンバーのうち、2人がこっちに遊びに来てくれて、それで、いろいろな話をしたのが面白かったですね。

ナカザワアヤミ:
どんなお話をされたんですか。

チバ:
2人とも教育関連の仕事に就いているので、2人がずっと教育について熱く語っているのを、私が、うんうん、ってご飯食べながら聞いてるみたいな感じでした。
会話に入れなくても、熱く何かを語っているのを聞いてるのが好きで。全然わかんないし、すごく共感できる部分があるわけでもないんですけど、何かについて熱心に喋っている旧友は面白いなと思って見てました。

ナカザワアヤミ:
その2人は島にいらっしゃるのは初めてだったんですか?

チバ:
1人は数年前に一度だけ来たことがあって、もう1人は完全に初めてでしたね。

ナカザワアヤミ:
結構遠くからいらっしゃったんですか?

チバ:
そうですね遠くからでした本当に丸一日かかるぐらい、遠くでしたね。

ナカザワアヤミ:
チバさんはそういう話を聞いてるときは、どんな気持ちで聞いてるんですか?

チバ:
おもろいなと思って聞いてますね。
なんかやっぱり自分が入り込めない話で。もちろん入り込むと面白い話もありますけど、入り込めなくて、おもろいなっていう。
それはまた別の角度からおもろいので、fanny の方の面白いじゃなくて興味深いの方、interesting の面白さがあります。

あと、大学のときの友達なので、同じ教室で同じことを学んでたのに、ここまで別の道を歩んで、でもこうやって交わるときがあってっていう不思議さがあったりとかしますね。

ナカザワアヤミ:
なるほど。
チバさんは、ご自身の性格について人からどう言われますか?

チバ:
うーん、人からですよね。

ナカザワアヤミ:
そうですね、あんまり言われたことなければ、ご自身ではこう思ってるでもいいんですけど。

チバ:
自分がすごく自己肯定感が低い方なので、ほめ言葉を受け取るとずっとそわそわして、逃げ回って穴に入りたくなるんですけど。最近一緒に働いている人から教えるのがうまいと言われて、何か、逃げたくなりました(笑)
でもこの間、別の一緒に働いている人に、陽キャの皮をかぶった陰キャって言われました。自分だと完全に陰だと思ってるんですけど、陽の皮をうまくかぶれているらしいですね。

ナカザワアヤミ:
ご自身としては言われてどうでした?

チバ:
まあそうかもしれない、とも思いましたし、陽の皮をかぶれているのであれば、いいんじゃないでしょうか、っていう感じですね。なんか完全に陰だと思われきってるのも話しかけづらいのかもと思ったりするので。
陽な部分もあるということなのであれば、接してて、害はないのかなみたいな。両方あると思いますけど。

ナカザワアヤミ:
ご自身の評価とはその辺は違う部分はあったんですか?

チバ:
そこまでずれてはないですね。完璧な陽だねって言われたら完璧に違うなって思うんですけど、本質的なところが陰だっていうのは、そうなので。そこは合ってるなって思います。
見抜かれてるぞって思いますね。

ナカザワアヤミ:
なるほど。ありがとうございます。
ちなみにお仕事は図書館司書されてると思うんですけど、普段の仕事の中では、やりがいとか、どういうことを感じながらお仕事されてるんですか。

チバ:
元々学生の頃からずっと司書になりたくて。
ただ、図書館司書って今、全体で見ても、8割くらいがパートとかアルバイトなんですよ。その中で、自分は大学卒業のタイミングで、新卒というカードを手にしたまま図書館司書になるかって考えたときに、なんか、1本武器を持っていかないと、埋もれてしまうかもしれないと思って。とりあえず、会社に入ってみようと思ったんですよ。図書館司書になる前に。

でも図書館には関わっていたいと思ったので、図書館に関わる会社を探して。大体三つぐらいあるんですけど、図書館においてある棚とか椅子とか、カウンターとか、インテリア系の図書館に置いてあるものを売ってる会社。あと、アルバイトさんとかパートさんを取りまとめる人材系の会社。それと、図書館のシステムを作ってる会社。このだいたい三つぐらいに分かれるんですけど、その中で一番死ななそうなのはどれかなって考えたら、デジタルは死なないだろうと思って。
それで、図書館システムを作っている会社を受けて、そこに4年いました。その後こっちに来たので、今社会人としては6年目。司書は2年目です。

ナカザワアヤミ:
司書になったタイミングで今の場所に住み始めたというか。

チバ:
そうですね、完全に転職でここに来ました。
なので、システムとかそっち方面をやってるときは、前の職が生きてるのかなって思います。

ナカザワアヤミ:
何で図書館の仕事しようと思ったんですか。

チバ:
単純に図書館っていう場所が好きだからですかね。
図書館で働いてみて、改めて変な場所だなって思うんですよ。目的もなく勝手に入ってこれて、お金もかからなくて別に本読んでても読んでなくても怒られなくて、半日いても1日いても怒られない場所ってあんまりない気がして。変じゃないですか。
例えば役場とかの待合室にずっといたら多分何なんだこの人ってなると思うんですけど。どうしました、とか言われると思うんですよ。
あと、カフェに何も買わずにずっといたら多分怒られますよね。

ナカザワアヤミ:
うんうん。

チバ:
でも図書館って何の対価も払わずにいていいし、別に図書館の本を使わずに、仕事してても怒られないし、勉強してても怒られないし、漫画読み漁っても怒られないし。すごい変な場所だなって。改めて、働き始めてからなおのこと思ってます。

ナカザワアヤミ:
確かにそうかもしれない。考えたことなかったですね。

チバ:
意外に居場所として使えるんですよね。
今だから最近夏暑くてクールシェルターとして開けているところが多くて。何もしなくても図書館に涼みに来てもいいぞという。それこそなんかお金の事情でエアコンがつけられないみたいな人とかも全然、ただ涼みに、退避の場所として、図書館を利用してもいいという取り組みがあります。

ナカザワアヤミ:
確かに、最近涼みどころとか増えてますね。

チバ:
給水場を置いている図書館もありますしね。

ナカザワアヤミ:
へえ。

過去:空いてる場所は、「本を読む子」っていうアイデンティティぐらいしかもうないなって思って。

ナカザワアヤミ:
過去の昔の話もちょっと聞いていきたいんですけど、チバさんは海士町に住んで2年目とかそのぐらいだと思うんですけど、出身はどこですか?

チバ:
出身は東京です。

ナカザワアヤミ:
チバさんはどんな子供でしたか?覚えてる限りの記憶でいいんですけど。

チバ:
あんまり小中と人間関係はうまくいってなかった覚えがあります。でも友達はすぐできるタイプだったと母から聞いていますが。入学式で友達ができたって言われたって言ってたんで。
初対面は平気ですね。2回目が苦手。

ナカザワアヤミ:
生まれ育った場所はどんな場所ですか。風景というか。

チバ:
郊外ですね。東京都郊外。別に何もないんですよ。でも東京の住む場所ではあったので子どもは多くて。
ちょうど私が小学生のときにでかいマンションがポンとたって、そこから小学校に来る子がいっぱいいるみたいな感じでしたね。我が家も住宅街の中でしたし。

ナカザワアヤミ:
なるほど。さっきも友達作りの話とか出てきたんですけど、どんな小学生時代でしたか。

チバ:
よく覚えてるのは、小学校6年生のときに学級崩壊したんですよ。

ナカザワアヤミ:
なるほど。

チバ:
教室の3分の2ぐらいがみんな中学受験するので、私も含めほぼほぼみんな塾に通ってて、もう授業が体をなしてないというか。別に新しいことを学ぶぞっていう感じじゃないんですよ、全然。小学校の授業が。もう塾でやってるし、もうそんなことより受験の勉強をしなきゃいけないみたいな感じなんですよ。
だからみんな全然先生の授業を聞かないし、手紙回りまくるし、男子はゲーム持ってくるし、喋るし、みたいな感じで。本当に今考えるとだいぶひどかったと思います。
で、しまいにはその教育関連の人たちがワラワラ後ろに来て、これをどうしようどうしようって何とかしようとしてたんですけど、最後までどうにもならず、でしたね。

ナカザワアヤミ:
それについて、チバさん自身もどう思ってたんですか。受験をする側だったんですよね。

チバ:
受験する側でした。だから全然聞いてなくて。学校は友達と会う場所、友達と遊んで給食食べて帰るみたいなそういうとこでしたね。

ナカザワアヤミ:
勉強は塾でやるみたいな。

チバ:
そうですそうです。だから、先生に嫌がらせしようとか、この授業をぶち壊してやろうみたいな気持ちも別にないんですよ。
ただもう授業の中でやってることはもう学んでるから聞かない。聞く意味がないって勝手にこっちで判断して聞かない、みたいな、そんな感じでしたね。

ナカザワアヤミ:
学級崩壊っていうのがちょっと定義難しいですけど、そういうのを見ながら、チバさん的にはどう思ってました?

チバ:
やっぱり多分何も考えてなかったんでしょうね。今そのときどうだったかっていう感情を思い起こそうとしても、あんまり思い出せなくて。
友達と馬鹿やってたなっていう記憶はあるんですけど、感情の記憶がまるでないので。多分本当に何も考えてなかったんだと思うんです。先生に迷惑かけるとか学校に迷惑かけるとか、そういうことをまるで考えてなかったんだな、って。小学生なのでしょうがないっちゃしょうがないのか、そういう子たちが集まってたから学級崩壊したのか。今となってはわからない。いろいろ要因はあったんでしょうけど。

ナカザワアヤミ:
なるほど。それを経て中学時代はどんな感じだったんですか。

チバ:
中学校はあんまり人間関係うまくいかなくて。でもその中でも、うまくいける子たちと一緒にいて、その子たちとは今でも仲良くやってるので、うまくいかないなりに道を何とか探して、生きてたって感じですね。

ナカザワアヤミ:
小学校時代に受験勉強して中学校に入ったっていうことですか。

チバ:
そうですね、ただ、受験は失敗に終わってるので、受験した学校に行ったわけではなくて、普通に市立の中学校に進んでます。

ナカザワアヤミ:
中学時代は何か印象に残っていることはありますか?

チバ:
生徒会にいたので、よく生徒会室で遊んでました。

ナカザワアヤミ:
部活みたいな感じなんですか。

チバ:
生徒会はそうですね部活よりも学校としては優先順位が高くて、募金を募るとか、地域のゴミ拾いに出るとか、朝礼でちょっと喋るとか、そういうことをやってましたね。

ナカザワアヤミ:
生徒会に入った理由とかきっかけとかはあるんですか。

チバ:
単純に友達が1年生のときに入ってて。誘われたのかな。誘われて、2年生のときから入ってっていう感じですね。

ナカザワアヤミ:
人間関係的に一緒にいられる人なんですね。

チバ:
そうですね。

ナカザワアヤミ:
順番に聞いていくんですけと、高校時代はどんな感じでしたか。

チバ:
高校は大体部活の記憶しかないですね。ダンス部にいたんですけど、ずっと部活の記憶ですね。

ナカザワアヤミ:
ダンス部っていろいろあると思うんですけど、どういうジャンルですか?

チバ:
私が入った当初はガールズって言ってヒールとか履いて、ちょっとセクシー目な感じか、ゴリゴリのヒップポップか、どっちかしかなくて、私はガールズなんて恥ずかしくてそんな、っていう感じだったので消去法でヒップホップに入ったらもう大変で。体力が全然ついていかなくて。でもなんとか3年間引退までいましたね。

ナカザワアヤミ:
ダンスはそれまでやってたわけではない?

チバ:
全然やってないです。
ずっともう中学ぐらいから陰だっていうことはわかってたんですけど、なんか、もしかしたら陽になれるかもしれないって思ったんですよ。高一のときに。なれなかったんですけど(笑)

ナカザワアヤミ:
陽にはなりたかったんですか?

チバ:
なりたいと思ってたんでしょうね、高校生のときは。でも入ってみて3年間やってみて、なれないわって。気が付けて良かったと思います。

ナカザワアヤミ:
結構ダンス、ヒップホップとかだと、偏見ですけど、陽の人が多いのかなと思ったりしたんだけど実際どうでした?

チバ:
多かったです。

ナカザワアヤミ:
なるほどなるほど。

チバ:
わかんないですよ、それこそ、そのときも陽の皮をかぶってた陰の子もいたのかもしれないんですけど、当時の私からしたらもう全員陽だって。

ナカザワアヤミ:
なるほど。
高校は部活を大学就職みたいな感じですか。高校まではずっと都内で過ごされてたのかなと思うんですけど、大学とか、その先はどんな進路だったんですか。

チバ:
大学は、高校卒業してすぐの2年間は地方に出て、2年間を過ごしてそこから編入っていう形で4年制の大学にまた東京に戻ってきました。

ナカザワアヤミ:
編入されたんですね。

チバ:
はい。元から編入ありきで2年地方に行ってるんですよね。
単純な話で、元々行きたかった大学は、4年制の大学なんですけど、うまくいかなくて。ずっと受験が苦手なんですけど。受験で成功したためしがほぼほぼなくて。要は頭がそんなによくないんですけど。
行きたかった東京の4年制の大学に系列の短大があって、そこに2年行ったら編入できるよっていう案内が来て。いってしまえば最終的に卒業した大学が卒業校じゃないですか。

ナカザワアヤミ:
そうですね。そうですそうです。

チバ:
入口はどうであれ、卒業した大学が大事だろう!って思って、そういう不正入学を働きました(笑)

ナカザワアヤミ:
別の4年制大学じゃなくて、こういうふうにしたのはどういう理由だったんですか?

チバ:
滑り止めの大学も受かってたんです。滑り止めの大学に行こうとしてたんですけど、それを父に言ったら、いやあれは男の行く大学だから駄目だ、って言われたんですよ。

ナカザワアヤミ:
え。

チバ:
なんだそれって思って。いや全然共学なんですよ。あれは男の行く大学から駄目だって言われて、なんだそりゃってなって。でも、編入っていう道があるみたいな案内が来て。

まあ高校生の頃、家を出たかったんですよ。単純に親と接している時間が長くて。多分疲れちゃったんでしょうね。
当初、高2ぐらいのときは地方に出るのありきで大学とかを探してたんですけど、やっぱり担任とかに止められて。そういう方向で進路を決めるんじゃないみたいな話をされて。ごもっともなんですけど。
自分がやりたい職業とかやりたいことじゃなくて、大学に入ったら親元出てやるんだ、が目下の目的だったんですけど、確かにそれを目的にするとその先どうすんのっていうのはあるんですよね。

結局最終的に東京に戻ってきて、そのときには自分が図書館司書になりたいっていうの思いはあったので、手段として、そういう手段を取るんだったらいいのではっていう話になり、それで、2年地方に出て、東京に戻ってくるっていう選択をとりました。

ナカザワアヤミ:
実際に外に出てみてどうでしたか?

チバ:
結局その2年があったから、今こうやって地方に出ることにあんまり臆さなくなったのかなっていう話は短大の時の後輩としてて。

東京出身だと別にわざわざ外に出ないでもいいというか。東京以外の人だと上京するっていう言葉があるじゃないですか。地元に残るか上京するかみたいな。東京出身の人って、別にわざわざ外に出るっていうのが、営業職とかでない限り多分ない。自分から選ぶことってそんなにないのかなと思ってるんですけど。
その2年があったから、別に東京じゃなくてもいいかっていうある種の安心感みたいなのは、得られたんだと思います。

ナカザワアヤミ:
都内の方だと合理的に外に出るには、結構遠くまで行かないといけないですね。
司書になりたいとか図書館に関わる仕事をしたいっていう中で、あんまり図書館みたいな話って出てこなかったような気がしたんですけど、どういうきっかけでその道を考えたんですか?

チバ:
そうですね。小中通してあんまり人間関係が良くなかった、とは言ったと思うんですけど、その当時からお昼休みドッチボールに行くかっていうと別に行きたくないみたいな感じで。ドッチボールっていうよりは、教室とか図書室にいるタイプだったんですよね。

そのときからある程度自分の居場所というか、中学に入ってからは特に、アイデンティティみたいな部分がそこで確立してて。
なんか頭のいい子はあの子とか、スポーツができる子はあの子とか。決まってるじゃないですか。中学ぐらいから何となく。
そのとき、空いてる場所は、「本を読む子」っていうアイデンティティぐらいしかもうないなって思って。別に嫌いじゃなかったですし、中学、高校が一番本読んでたんじゃないですかね。
中学校が家から近かったんですけど、朝早めに教室に行って、本を読む時間は好きでしたね。窓際の席で。

ナカザワアヤミ:
うん、うん。

チバ:
なんかかっこいいと思ってたんですよ。朝早く来て本読んでる自分がかっこいいって思ってたんですよね。意味もなく夏目漱石とか持ち歩いてる時期がありましたね。
運よく図書館も本屋も古本屋も自転車で行けたので。週末は本屋行って、古本屋行って、図書館行ってみたいな、ハシゴを毎週やってました。結局お金がないので、本は買えず、図書館で予約して帰るみたいな。

ナカザワアヤミ:
なるほど。企業で働いてから図書館司書になったっていう話だったと思うんですけど、働いてた場所は東京だったんですか。

チバ:
東京です。

ナカザワアヤミ:
そこからなぜ海士町の図書館に?

チバ:
うーん、募集してたから、ですね。その当時そのタイミングで募集かけてて、受かったら会社を辞めようと思ったんです。
受かったら辞めよう、受からなかったらもうちょっと会社にいるかって思ってたんですけど、受かったので、ここに来ました。

ナカザワアヤミ:
やめようとしたタイミングというか、きっかけはどんな感じだったんですか。

チバ:
それこそ5年は会社にいようかなって思ってたんですよ。5年はいようかなって思ってたんですけど、4年いても5年いても変わらないかもって思っちゃったんですよね。

ナカザワアヤミ:
変わらないっていうのはどういうことですか。

チバ:
やりたいと思ってることを早くやった方がいいんじゃないって思ったんですよね。先延ばしにしないで。
いつかは区切りを見つけて、図書館司書になろうと思ってたんですけど、わざわざ先延ばしにしなくてもいいんじゃないって思ったんですよ。

ナカザワアヤミ:
そしたら、場所はどこでも良かったんですか?

チバ:
都内のところも受けてましたし、それこそ2年大学で出てた場所とかも受けてましたし。
でも何かゆかりがあるところがいいなと思って。海士町図書館っていうところで言うと、前の会社で研修が2ヶ月あったんですけど、それが松江だったんですね。だから島根自体は、ちょっとゆかりというか、2ヶ月ぐらいいたことがあったので、島根知っとるぞっていう気持ちだったんですね。今になってみると海士が島根かって言われるとぶっちゃけ島根感はあまりないんですが。

あとは、例えば大学図書館とか都内の図書館だとすごく研究とかに寄っている図書館もあるんですけど、どっちかっていうと地域に根づいたものとか、コミュニティに属したものとか、そういう図書館がいいなって思ってたんです。
前職で関わらせていただいたお客さんの図書館もそういう図書館だったので、自分も勤めるならそういう図書館がいいなと思っていたので。そのとき出ていた求人の中で、やっぱりホームページとかいろいろ見ているとそれが出ているところと出てないところがあって。

ナカザワアヤミ:
うんうん。

チバ:
他の図書館も実際行って見たらそうだったのかもしれないですけど、なかなかやっぱり実際、地方とかだと行くの大変なので、一番ちゃんと理念があって、地域に根ざしているっていうのがわかる図書館が、今の図書館だったんですよね。
海士に来る人たちは「海士町に行きたい」って言って来てる人の方が多い気がするんですけど、私はどちらかというと、図書館で働きたいと思ってここに来ているので、たまに海士に暮らしてみてどう?って言われると、海士に暮らしに来たわけではないのであんまり感想が浮かばないっていう感じなんですよね。

ナカザワアヤミ:
なるほど。

チバ:
どうって言われると、向いてないなって思います、最近すごく。虫が苦手なんですよ。苦手なので、向いてないなと思います。
あと、他の人の話を聞いてると、夏になるともう海に入りたくて仕方がない、だからもう島は最高だ、みたいな人もいるんですけど別に海も入りたいかって言われると全然入りたくないし。眺めるのは好きだけど、って言うタイプなので。
向いてるか向いてないかって言われると、多分向いてないんだと思うんです。ここに住むのは。

ナカザワアヤミ:
なるほど。そんな話を聞いた後で聞きづらいんですけど、チバさんが実際住んでみて、どういう場所だと思いますか、海士町って。

チバ:
そうですね、これは私が思ったっていうか、人から聞いてそうだなと思ったことがあって、
他の島前の島は結構景勝地がちゃんとあって、この場所に行くとすごい島が感じられるみたいな、観光地的なものがありますけど、海士はどっちかって言うと人に会いに来る場所だって聞いたことがあって。それは確かにそうかもなって思っていて。
私自身も友人を2人呼んだときに、チバに会いに来たんだよって言われたので。去年来てもらった友人も、チバさんに会いに来たんだって言ってくれたし、そういう場所なのかなって思います。他の人からそう聞いたってことはそういうふうに思ってる人が少なからず他にもいると思ってるんで、人に会いに来る場所なのかなって思ってます。

ナカザワアヤミ:
わかりました。ありがとうございます。

未来:楽しいことって、そんなことある?って思うようなことかもしれないので、思いつかなくていいのかもしれないです。

ナカザワアヤミ:
ちょっと未来、今後のこともちょっとお聞きしたいんですけど、5年後10年後だったり、死ぬときまでとか、想像したときにチバさんは未来についてどういうイメージをお持ちですか。

チバ:
あの、長生きしたいと思ってて。

ナカザワアヤミ:
うんうん。

チバ:
学生の頃は死ぬのが嫌だなって思ってて。でも最近、「40代超楽しいですよ」っていう職場の方がいて、なんて希望に満ち溢れた人なんだって思って。
周りの大人で40代超楽しい、年とるの楽しい、みたいに言ってる人ってあんまり出会ったことがなくて。大変だよみたいな、まだ若いうちはいいねとかって言われることが多くて。今が超楽しいよ、みたいなことを言う人に私は今まであんまり会ったことがなかったので、今は年を重ねるの楽しみって思ってます。

ナカザワアヤミ:
それはその人に会ったからですか?

チバ:
そうですね。何の話をしてたときなのか覚えてないですけど。30代も楽しかったけど、40代も超楽しいです、みたいなこと言っていて。え、じゃあ私もそれがいい!みたいな感じですね。

ナカザワアヤミ:
「死ぬのは嫌」と「長生きしたい」って結論は近いかもしれないんですけど、感覚的にどう違いますか?

チバ:
死ぬのが嫌だっていうのは、めちゃめちゃ延命治療をしてくれとかそういう話じゃなくて、元気に長生きしたいぞっていう話で、だから多分楽しいこといっぱいしたいんでしょうね。

ナカザワアヤミ:
なるほど。チバさんがこれからやりたい楽しいことって具体的にあったりしますか?

チバ:
なんでしょうね。なんかぱっとは思いつかないです。今は。
でも楽しいことって、そんなことある?って思うようなことかもしれないので、思いつかなくていいのかもしれないです。

ナカザワアヤミ:
そんなことはある?っていうのはどういう意味ですか?

チバ:
それこそ、こないだ来た2人のうち1人の勤め先と海士にある高校がちょっと関係があって。そんなことあるんだって思って。
その友人が勤めてる高校も地方で。何万と高校がある中で、私の友人が勤めてる高校と私が住んでる地域の高校が繋がりがあることある?みたいな。
結構世間狭いな、みたいなことがあったりするので。そういう面白い繋がりは、出会いを増やせば増えていくんでしょうけど。生きていけば多分それがどんどん増えていくはずなので、それを楽しみたいなと思います。

ナカザワアヤミ:
何か「これ」っていう出来事ではないんですね。

チバ:
そうですね。うん。
何でもないことでいいんだと思います。東京にいる友達が来て、ご飯食べてとか。私が帰ってご飯食べてとか、家族と一緒に過ごすとか。真新しいことじゃなくて、そういういうことで、そういうことがいいなって思います。

ナカザワアヤミ:
チバさんの中で、これをやるまで死ねないなみたいなことありますか。

チバ:
なんでしょうね。完全に趣味の話になっちゃうんですけど、あの、嵐が好きで。復活してライブに行かせてもらえるまではちょっと死ねないですね。
それがないまま死ぬと地縛霊になっちゃうと思うので。いいところに行けないと思うんで、よろしく頼みたいところですね。

ナカザワアヤミ:
ありがとうございます。
間違いかもしれないんですけど、チバさんの人生の中でずっと東京で暮らしてて、1回東京の外で暮らした経験があると思うんですけど、そこがなかったらどんな人生になったと思いますか?

チバ:
少なくともここにはいないんじゃないですか。とは思います。あんまり考えたことなかったですけど。
ということは多分短歌に誘ってくれた友達とも出会ってないので、多分短歌もやってない。どうなってたんでしょうね。なかったことを想像するのは難しいですけど、でも、あってよかったなって思います。

ナカザワアヤミ:
ちなみにこの先住んでみたい場所とか、逆に東京に戻りたいとか、仕事を何やりたいとかを含めていろいろあると思うんですけれども、そういう人生プラン的なところでは何かあったりするんですか?

チバ:
いや、今のところ全然ないです。
住む場所の条件みたいな話を前職の上司と喋ってたとき、その上司は、コンビニがないと無理、親しい友達が近くにいないと無理みたいな話をしてて。やっぱり人によってそういうのって全然違うんだなと思ったんですけど。
私は友達こそ現地調達でいいのではって思うタイプなので。友達は別に呼べばいいって思ってるので、失礼ですけど。
もう海士にきたら、ここまで狭められた場所って日本にそうそうないんじゃないですか。コンビニもなく、船で移動せねばならず、離島料金もかかるみたいな。

ナカザワアヤミ:
うんうん。

チバ:
海士の人はよく、海士でやっていけたらもうどこでも大丈夫だよって言いますね。だから、もうどこでも住めると思います。向いてるか向いてないかは置いておいて。

ナカザワアヤミ:
そしたら、その上司の方は全然無理ですね。

チバ:
そう、なんでそこにわざわざ行くの?みたいな感じでしたね。

ナカザワアヤミ:
行くときにチバさん自身はハードルは何かあったんですか?

チバ:
何もわからなさすぎて、逆に不安がないっていうか、何を心配していいのかわからないっていう不安はありましたけど、それ以外の不安は特になくて。
高校生の頃からなりたかった職業になれる嬉しい気持ちの方が強かったですね。

ナカザワアヤミ:
なるほど。友達を現地調達って面白いですね。初めて聞きました。

チバ:
ぜひ使ってください。

ナカザワアヤミ:
ありがとうございます。一応1時間ぐらいですねお話聞いてきたんですけど、最後に何か言い残したこととか、感想でもいいですし自分に対しての何かコメントでもいいですし、あればお願いします。

チバ:
言い残したことは特にないです。
大丈夫です。ありがとうございました。

ナカザワアヤミ:
ありがとうございました。

あとがき

海士町図書館にも、無名人イン旅ュー本を置かせていただきました。ありがとうございます。一冊の本に収まり切らないほどたくさんの人にインタビューさせていただいたので、続編に期待です。

さて。本が並んでいる、ただそれだけで楽しくなりますね。図書館っていうのは。
書店とは異なり、売れる本が並んでいるわけじゃないところもいいなと思います。

余談ですが、海士町の図書館は島丸ごと図書館という取り組みを行っていて、いろんな施設に本が置いてあります。

チバさんも「地域に密着した」とお話されてましたが、かなり設置面多めの密着具合になっているので、島を訪れる際はぜひ足を運びたいなと思います。
【インタビュー・編集・あとがき:ナカザワ】

#無名人インタビュー #インタビュー #一度は行きたいあの場所 #この街がすき #離島 #海士町 #図書館 #本

この記事は海士町関連のインタビューです。
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