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【磐梯町】自分らしく生きていける場が磐梯町だなって思う人

思えば遠くまできたもんだなと思う。そうね、遠くにね。ずいぶんと、遠くに。
そうだと思う。ほんとうに、遠くに。
人間というものはさ、ほんとうに、どこまで行けるんだろうかね。いやぜんぜん、ぜんぜん遠くまでなんかは、行ってないのかもしれない。わからないけれどもさ。でも、遠くまで、ほんとうに、来たよね。
こういうことにはならないと思ってたけど、なってしまった。
なってしまったのは仕方ない。でも、遠くまで来たのならば、仕方がない。何が起こるかなんて、この場所では、何が起きるかなんて、さっぱりわからないからな。五里霧中というやつで。
ともあれ、私たちは遠くにきたのだった。頭も、多少は使った。体は、うんと使った。もっともっと、遠くに行きたいって考えている。でも、遠いよね。
ほんとうにさ。
こうしてつらつら考えるに、人間というのは、もう、戻れないんだな。誰かが止めてくれるわけでもないし。止めたいのか? いいや止めたくはない。止めたくはないが、ときどきもしもの可能性なんかを考えるよね。生きものが多様であるように、想像の未来も多様だよね。この、無限の可能性に対して。
ほんとうに、ここまで、遠くへ。
と思う2024年7月1日15時45分に書く無名人インタビュー823回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】

今回ご参加いただいたのは エリック永山 さんです!

年齢:40代後半
性別:男
職業:磐梯町地域おこし協力隊


現在:絶対この時代、これからの時代これでしょ!みたいな。ちょっとカルチャーショックじゃないけどドローンすげぇと思って。

ゆいぴ:
永山さんは今、何をしている人ですか?

エリック永山:
一応ミッションとしては農家サポーターということで、磐梯町の農家さんが持続可能な農業を行うため、今後も農業を続けていけるようにっていうことを考えながら農家さんをサポートするという仕事をさせてもらってます。自分自身農業が未経験なので、できることってやっぱりちょっと限られてる部分があるんだけど。知恵がないなら本当に汗をかくしかないなと思って、今は農家さんのお手伝いをさせてもらってます。

ゆいぴ:
どうですか?農家のサポートをしてみて。

エリック永山:
やっぱ自然が相手じゃないですか。だから休みもなかなか取れないだろうし、すごい大変だなと思う反面、自分でいろいろ組み立てながらできるっていう、面白さもあるかなーという気もして、自分もその道に入っていきたいな!と今は思っています。

ゆいぴ:
個人で組み立てすることの何が面白いと感じるんですか?

エリック永山:
前の仕事は、ある程度お客さんから依頼されて、これやってほしいあれやってほしいって追われる仕事だったんで、もちろん能動的な活動もできるんだけど、常に人から追われて結構ストレスが多かった。自分の中で、例えば秋の収穫に向けて今日こういうことをやろうって、自分でストーリーを作って仕事を組み立てることができて、当然自己責任で失敗したら収入も無くなる怖さはあるけど、そういったところはやっぱり今までやってた仕事の環境はちょっと違うし、新鮮かなという感じがします。あとは農業自体が初めてだから、何でも初めての情報っていうところでは、覚えていく面白さもあるかなっていう感じはしてます。

ゆいぴ:
何かそれ以外にやっていることあります?

エリック永山:
別に指示されてるわけではないけど、やっぱ協力隊として何か地域の魅力とかそういったのも発信していきたいなと思って、磐梯町って何か楽しそうって思ってもらえればいいなぁ〜と自分でYouTubeチャンネル作って発信してみたりとか。あとは、そのためにドローンの技術を磨いたりだとか、そういった活動もさせてもらってます。あとは仕事だけじゃなく、この磐梯町の生活を楽しむっていうことは、すごく意識してます。

ゆいぴ:
YouTubeを始めたきっかけは?

エリック永山:
地域貢献の足がかりとしてドローンの民間資格を取らせてもらえたっていうところで、資格を取ったからにはやっぱり空撮とかやらないと意味ないので。そしてドローンを購入して、空撮して、その映像をどうしようってなったときに、やっぱりYouTubeに載せて発信っていうのが一番いいのかなと思って始めてみた感じです。

ゆいぴ:
じゃあドローンを始めたきっかけは?

エリック永山:
ドローンを始めたきっかけは、去年の田植えの時期に喜多方の方でドローンで種もみを上から散布する、田んぼに散布するっていう実証実験を見させてもらったのね。そのとき盛んに農家さんの手伝いをしてて。田植えに至るまで、人を集めて種まきして、苗を育てて、そっから田植えをするってすごい手間がかかるなぁと思っていたときに、ドローンで上から種もみをバーって10分ぐらいでその田んぼに落として「はい田植え終了!」みたいなのを見させられて。これって何で浸透していかないのかなっていうか。絶対この時代、これからの時代これでしょ!みたいな。ちょっとカルチャーショックじゃないけどドローンすげえと思って。いずれ自分もそういう農業での作業はしたいけれども、すごい機体も高価だし。まずドローンの取っ掛かりとして、空撮できる機体の操縦をする資格っていうのを取って、そこからいずれ農業用のドローンの方に繋げていきたいなと思って。

ゆいぴ:
どうですか?ドローンやってみて。

エリック永山:
うん、そうね。楽しいですよ、楽しいね。ただ何かドローンでの事故とかそういうのもあったりして、縛りがだんだん厳しくなってるなって。車を運転するのと同じような感じっていうか、気軽にはちょっとできなくなってるという感じはしてますね。

ゆいぴ:
ドローンの何が楽しいんですか?

エリック永山:
空撮だったら自分の目線とは違う映像が、肉眼では見れない景色を見れるっていうところがやっぱりすごい。ああこんな景色が上から見えるんだっていうのはすごく楽しいかな。そういう良い映像が撮れたときってのはすごく満足感があるし、それを発信すれば地域に貢献できるかなっていう、そういうことを考えたときにやっぱ楽しいかなって思う。

ゆいぴ:
仕事に関することじゃなくてもいいんですけど、趣味的にやってることあります?

エリック永山:
ここに来たのって、磐梯に来たのって、農業に関わりたいっていうのもあったんだけど、この会津地域が、自分が長年やってるソフトバレーボールがすごく盛んなエリアだっていうのを知ってて。農業しながらそういったバレーも存分に楽しめる場所だなっていうのが磐梯を選んだ大きい理由。だから今でも週2回とかバレーボールの練習に参加して、大会にも結構出させてもらって。そういうところでの楽しみはあります。

ゆいぴ:
ソフトバレーを始めた経緯は?

エリック永山:
自分は中学と高校で、テレビでよく見るバレーボール、あのカテゴリーでやってたんだけど、高校卒業してやめちゃって。就職してからは仕事も忙しくて、結局10年以上ブランクはあったんだけど、30代半ばぐらいで人の紹介で「バレーやってたんだったら遊びに来てみない?」って言われて。普通の革バレーだと思って行ったら、ソフトバレーボールだったのね。なんだこんなプヨプヨなボールで、なんて最初ちょっと馬鹿にしてた部分はあったんだけどやってみたら結構奥深くて、面白い。ある程度年齢いってもできるっていうとこが生涯スポーツだなと思って。そこからはまってもう13、4年やってる。あとは良いチームにも巡り合えたということで、続けさせてもらってる。

ゆいぴ:
ソフトバレーの何が奥深いんですか?

エリック永山:
なんて言うんだろう、革バレーとはボールの大きさも硬さも全然違うんだけど、革バレーではできない独特の技とかもあったりして。軟らかいボールならではの変な回転をかけたり、変な軌道の天井サーブを打ったりとか。あとはコートの広さも全然狭いし、4人でやるし。基本男女2人ずつ入って混合でやるので、そういった部分ではそんなに男女の力の差というか、役割分担はあるんだけど一緒にできるスポーツっていう面ではすごい面白い。あとはネットの高さも全然低いので、あんまり身長のない人でもプレーできるっていうところでは年齢も含めてみんなに開かれたスポーツだなという感じ。奥深さとはまた違うかもしれないけど、うん。

ゆいぴ:
さまざまな理由から移住してきた磐梯町での生活はどうですか?

エリック永山:
そういう趣味も活かせて、山もあるし、バレーもできるし、今はこうやって自立に向けて農業にも携わらせてもらってるっていうところと、あとはね、同じ協力隊、同じような環境にいる人が磐梯町には多いから、そういった横の繋がりもあるっていうことがすごく良いところに来たなって。何の不満もないと言ったら嘘だけど、ここに残れるなら残りたいなって今は思ってる。

ゆいぴ:
ここに移住を決めたきっかけってあったんですか?

エリック永山:
福島県、漠然とだけど福島までだなっていうか、自分の中では。盛岡の出身なんで、ちょっと関東の方まで行く気がないっていうか。福島で生活してた時期もあったので、福島県がいいなーっていうのは漠然とだけど思ってた。24年間やった仕事を早期退職で辞めてからはちょっと違う仕事を2年間やって、次の道を考えたときに、やっぱり農業で関わっていきたいなと思って検索したら磐梯町が積極的に募集してて。それで応募して採用してもらったという形です。

ゆいぴ:
なんで福島までかな、って?

エリック永山:
これ難しいよね、理由ってね。はっきりした理由は無いけど漠然とした思いはあるってことない?日本全国どこでもっていうとこまではいかなかったんだよね。お袋が仙台にいるっていうのもあって、あんまり離れるのもなっていう。一人暮らししてるしね。そういうのもあるし、過去に福島に住んでて過ごしやすかったというのもあったし。あんまり人混み好きじゃないし、みたいな。

ゆいぴ:
自分はどんな性格だと思いますか?

エリック永山:
自分の性格?どうだろう、どういう風に映ってるんだろう?…俺が質問しちゃいけないんだよね(笑)実際はちょっと表向きとは違うネガティブシンキングな部分もあると思う。やっぱり人からの目を気にするっていう部分もあるかな。結構繊細なんですよ。

ゆいぴ:
どんなところがネガティブ?

エリック永山:
失敗したりうまくいかなかったときに、すぐ前向きになれるかって言われたら何かいろいろと考えちゃうところはあるかな。でも、ある程度時間が経てば切り替えはできてるんだけどね。ちょっとそこに至るまでは若干考える時間があるかなっていう感じです。

ゆいぴ:
自分の性格についてどう思います?

エリック永山:
もうちょっと自分を作らないで生活できれば楽かなと思うけど。やっぱり協力隊の中でもね、それなりに年いってる方になるし。自分がいてみんなが楽しくなってくれるんだったらその自分でいれるように頑張ろう、みたいなのはある。表に出ている自分と、1人のときの自分とは真逆に違うといった結構二面性はあると思う。そんな自分の性格を好きか?って言われたら、自信持って好き!とは言えない。

ゆいぴ:
周りからはなんて言われます?

エリック永山:
あんまり聞くこともないというか。どう思われてるんだろうね?自分が思われたいように思われてるのかすらわからない。なんか本当に明るいおっさんだなって思われているのか、ただの明るいおっさんだなとか、こんな軽い中年いるんだって思われてるのか。どうだろうね、わかんないです。

ゆいぴ:
じゃあどう思われたいですか?

エリック永山:
思われたいのは、表向きはちょっと軽いなって思われてもいいんだけど、でもこの人ちゃんとしっかりした考えとか人間性というか根底がしっかりあって、その土台があって明るく振舞ってるんだっていう。ちゃんと深いとこ持ってるよねこの人、っていう風には思われたい。

ゆいぴ:
なんでですか?

エリック永山:
え?なんかそれが人間の大きさなんじゃないかなっていう。なんかチャラくて軽そうに見えるけど本当はしっかりしてるっていう、やっぱギャップっていいなと思って。うまく言葉出てこないけど人間ってそういうギャップとかに惹かれないですか?あ、こんな一面あるんだ!って言う。なんかそういうちょっと深いかもっていう風に思われたい。そんなの表に出しちゃいけないんだけどね(笑)

ゆいぴ:
最近ハマってることあります?永山さんの中でのブームとか。

エリック永山:
ブーム?最近っていうのは別にないかな。だからそのバレーボールとドローンとYouTubeとっていうところで、今は役場に行く以外ではそういったところを続けてるんで。でもいずれ自立しなきゃならないってなったときに、やっぱ農業っていろいろ機械や道具揃えなきゃならないので、先ずは何を用意しようとか、そういうのを結構見たり考えたりしていることが最近多いかも。これ買わなきゃなんねえな、準備しなきゃなんねえな、いくらかかるだろうとか。あとは農業用のドローン。なんとか購入できないかなー、補助金とか使えないかなーとか考えながら動いてます。

過去:お客さんからそういう評価をしてもらったときとか、自分を必要としてもらってるって感じたときの喜びがすごく大きくて。

ゆいぴ:
子供の頃はどんな子供でした?

エリック永山:
たぶん甘えん坊だったと思う。小学校3年ぐらいのときにもう親父が亡くなっちゃって、んで母親1人で男2人兄弟なんだけど育てられて。次男坊だし必然的に、マザコンではないけど甘えん坊には育っちゃったかもしれない。

ゆいぴ:
どんな小学生でした?

エリック永山:
どんな小学生?どうなんだろう。でも結構友達と遊びに出かけたりとか、社交的な部分はあったと思うけどね、小学校の頃から。1人でいるっていうよりはそうやって人と一緒に動いてるって感じが多かったかな。

ゆいぴ:
何が当時、楽しかったです?

エリック永山:
小学生のとき?今はそんなさ、小学生で集まって外で遊ぶなんてなかなかなくなってると思うんだけど。自分が育った時代ってまだ昭和だし、ガキ大将がいて、その子の家に行ってさ、毎日放課後ドッジボールしたりとかさ、そういった外で遊ぶのが多かったよ。毎日じゃない?学校の近くに住んでいたそのガキ大将の家に行って道路でドッジボールや公園に行って野球したりっていうのは毎日。

ゆいぴ:
中学高校はどうでした?

エリック永山:
中学からバレーボールやりだして部活に結構のめり込んでっていうのはあったけど。今考えると、やっぱり自分勝手だったかなっていう感じですね。自分勝手な少年だったような気がするね。人の気持ちをなかなか考えられない部分があったかなー。余計な一言を言っちゃったりとか。感情のコントロールが下手くそだったかもしんないね、まあ今もそうなんだけど。

ゆいぴ:
自分勝手エピソードありますか?

エリック永山:
自分勝手エピソード!?パッと出てこないです。ごめん。パッとは浮かばない。あっても内緒!

ゆいぴ:
バレー部に入ったきっかけは?

エリック永山:
1個上に兄貴がいて、そりゃ我が道を行く弟もいると思うんだけど、自分は甘えん坊だったっていうのもあるだろうし、兄貴がバレーやってたから自分もやるっていう感じだったかな、始めたきっかけはね。

ゆいぴ:
どうでした?中高のバレー部は。

エリック永山:
自分は今もそうだけど仲間、チームメイトに恵まれてたなーって思う。別に自分自身がすごいプレーヤーなわけでもないけど、やっぱそういった良いプレーヤーと巡り会えてチームメイトに恵まれて、それなりの実績を残すことができたっていうのはみんなに感謝ですね。中学校のとき、その学校で初めて県大会で準優勝して東北大会まで行けたとか。高校のときもすごい良い後輩が入ってきて、春高バレーの全国大会やインターハイとか大きな大会にも出ることができて。自分はそういった部分ではついてるのかなと思う。

ゆいぴ:
他に特別やってたことあります?

エリック永山:
バレー以外で中高でってこと?何かに打ち込んだっていうのはバレーしか浮かばないよね。

ゆいぴ:
なんでそこまでバレーに熱中してたと思います?

エリック永山:
部活ってなんかそういうもんじゃない?その時代ってやっぱり結構体育会系だからさ、先輩の言うことは絶対だったりとかさ、バレー部に入って部活に行くのが当たり前の生活になってるからさ。でもやっぱりね、スパイクを決めたりとか良いレシーブできたりっていうそのプレイの喜びを味わうと楽しくなっちゃうよね。同じチームメイトにも負けたくないとかさ、負けず嫌いはあるかも知れないね。

…あの、あんまりパソコンの打ち込みが進んでないように見えんだけど。ちょっと俺すごい心配なんだけど!話が面白くなくて打ち込めないんだって考えちゃう。

ゆいぴ:
そんなことないです。

エリック永山:
ほら俺、結構繊細だから。大丈夫?

ゆいぴ:
大丈夫、大丈夫です(笑)

エリック永山:
やべ〜、こんなインタビューじゃ打ち込みできないよ〜!みたいな?

ゆいぴ:
気にしないで。

エリック永山:
いや、気にすんだって!

ゆいぴ:
当時バレーに対して抱いてた感情ってあります?どう思ってました?バレーボールのこと。

エリック永山:
どんな風に思ってた?難しいね、質問。えー、わかんないな。模範解答は何?模範解答。

ゆいぴ:
ないです。

エリック永山:
難しいな。でもバレーが生活の一部だからさ。当たり前になってるから、そういう特別にバレーに対して意識っていうことがない。当たり前だから。特別な何か思い入れとかって言われるとわかんないね。先輩が引退したら新人戦、夏はインターハイの予選があったり、冬は春高の予選があったりだとかさ、そういう次の目標っていうのが常に出てくるわけだからさ。それに向かって、よーし次頑張るぞー!みたいな。必然的に自分の中で目標ができるから、それに向かっていくっていう楽しさがあったんじゃない?

ゆいぴ:
高校卒業した後はどうでした?

エリック永山:
どんな生き方をしてたかってこと?

ゆいぴ:
はい。

エリック永山:
大学に行って、やっぱなんか悪いとこっていうかさ、受験勉強は頑張るけど入ってからその反動で何のために大学入ったんだ?って感じになっちゃって。大学で勉強したかって言われるとそんな大したしてなくて、4年間何やってたかって聞かれるとバイトをしてましたって感じ。友達と遊んでバイトして酒飲んでとか。でもそういう4年間って人生の勉強ができるっていうかさ、別に働いてもいないのに大学生かーなんてちょっと評価されたぐらいにしてさ。今では考えられない時間だよね、その4年間って。そこでも良い仲間に巡り会えて、本当楽しい大学生活を送らせてもらって。何してたか?っつうとバイトって答えてしまう。何のバイトしてたんですか?でしょ?聞くつもりない?(笑)

ゆいぴ:
何のバイトしてたんですか?

エリック永山:
バイトはね、結構一途に一つのことをやってたんだけど。左官ってわかる?壁塗りの。俺は職人じゃないから塗らないんだけど、その職人さんの手伝いをさせてもらって。4年間左官屋のバイトをして、工事現場とか出てたよ。意外でしょ?

ゆいぴ:
うん。大学卒業後は?

エリック永山:
大学卒業して、普通に就職して。大学は理系じゃない、文系普通科みたいな学部だったんで、よく言えばオールマイティーなんだけど、悪く言えばなかなか自分の進むべき道が決まらないっていう感じで。就職に関しても特にこれがやりたい、俺はこうなりたいっていうのがなかったので、1枚のダイレクトメールからその会社を受けて受かっちゃって。あーもう、就活夏で終わりーみたいな感じになって。でもそれが結果的に良い会社だったと思うけどね。

ゆいぴ:
何のお仕事ですか?

エリック永山:
自分は営業をやってたんだけど。住宅設備機器メーカーの◯◯◯◯◯で営業マンをやってました。

ゆいぴ:
それは何年勤めたんですか?

エリック永山:
24年。

ゆいぴ:
どうでした?そこでの24年は。

エリック永山:
俺の性格でよく24年間やれたなと思う。結構いろいろ考えちゃう性格でちょっとネガティブな部分もあってっていう中で。基本はやっぱり覚えるまで、一人前になるまで結構な時間が掛かる中で、それまでは客に怒られてばかりだし、建築業界ってやっぱり結構気性が荒い人も多いし。本当きつい期間が最初の頃はあって。でも24年なんとか勤めて、早期退職っていう良い辞め方ができたんで、うん。でもきつかった。

ゆいぴ:
なんで24年も続けられたと思います?

エリック永山:
うーん。100のうち99はつらいんだけど、営業やってると1つの喜びがすごく大きく感じるっていうか。もう本当に怒られてばっかりなんだけど、その中でもちょっとした喜びがあったときにすげえウオーッみたいな感じになって。お客さんから評価をしてもらったときとか、自分を必要としてもらってるって感じたときの喜びがすごく大きくて。きつかったけどそういうお客さんとの関係、繋がりでやってこれたかなって思う。だから自分って上司とか会社を見て仕事するんじゃなくて、お客さん側を見て仕事をしようとは思ってた。そういう意味では、怒られてばかりだったけど、すごくお客さんに助けられてたのかなって思う。

秋田にいたときに、1年半しかいなかったんだけど、転勤になりますって言ったときにいろんなお客さんから送別会やるぞ!って。気づいたら12日間連続で送別会が続いててっていう。結構体がきついけど、やっぱすげえ嬉しくて。そうやって自分がいなくなることでこんなに送別会やってくれるんだって。そういう喜びって大きいよね。どうしても転勤族だったから、そうやって良い関係を築けても、絶対何年後かには違うとこ行ってまたリセットして、また1から作らなきゃならないっていう。それもきつかったけどね。でも離れるときに自分がどう評価されてたか?って分かるから、それがすごく嬉しいことが多くて。じゃあなんで辞めたの?って?

ゆいぴ:
なんで辞めたの?

エリック永山:
やっぱり歳とともにそういう、また転勤で0からっていうとこがきっついなって。モチベーションを上げられなくなってきてた自分がいた。あと、いい歳になって自分が思ってる以上に出世レースというか、やっぱ同期も多かったので、そういった部分での会社に置かれているポジションの違いも出てくるし、年下の上司だって出てくるし。自分がその組織で定年まで生き残れるかって思ったときにそれは無理だろうって。定年まで残ってるイメージが全然できなくなってたのね。自分はお客さんを見て仕事しようって思ってたけど、レースに遅れを取ることで社内からの評価がだんだん気になっちゃうところがあって。役職がついてる同期とかと比べられて自分がどうみんなに思われてんだろうと、そういったのを気にしだして、そんな気持ちで続けていくのはきついなって。大きいチャンスやきっかけがあったら手を挙げようかなと思ってたときに早期退職の話があって。

転勤して間もないタイミングだったから、まだそこでのお客さんとの関係が深くなかったので、辞めやすかったっていうのもあったよね。何年もいてさ、どっぷりお客さんに浸かってたら辞めるってやっぱ言いづらいなっていうところはあったと思うんだけど。そこは運が良かったと思う。

ゆいぴ:
それは早期退職の募集に自分から手を挙げたということ?

エリック永山:
そう。ぶっちゃけ退職金上積みするので、次の人生に踏み出したい方いますか?っていう募集があって。それが40歳以上全員対象だったんだよね。会社の方で対象者1人1人その意思確認をして。でもやっぱ迷ったよ。正直収入は悪くないし、辞めてから自分に何ができる?って言われると何の資格も技術も無いし。いきなり何もなくなっちゃうわけじゃん。すごい怖いよね。怖かったけど、仕事が全く無いわけじゃないだろうし、今の会社に残り続ける苦しさと比べれば収入下がっても新しい人生に踏み出してみっかなーって。

ゆいぴ:
そこから今に至る経緯っていうのはどういう?

エリック永山:
そうだね。会社辞めて就活しなきゃいけないよね。色々探す中で出会いがあって、2年間だけその会社にお世話になりました。そこは大きい括りで言えば農業なんだけど、畜産系の方ね。そこで働かせてもらったんだけど、家族経営のとこだったので、ちょっと人間関係とかギクシャクしだした部分が出てきて。歳も歳だし、だらだら続けるよりはと思ってスパッと辞めた。そんな中、地域おこし協力隊っていう働き方もあるよ、なんて情報をもらって。それまでは地域おこし協力隊なんて知らないし、調べたこともないし全然わかんなくて。そんな働き方もあるんだ!って。福島がいいよなーと思いながら調べてたら磐梯町で募集してて。結構積極的に募集してるなーと思って。それで手を挙げてみた。3年間っていうのはちょっと気になってはいたんだけど、でも3年食いつなげるならやってみっかって。

ゆいぴ:
それで今に至る?

エリック永山:
そうっすね。

未来:まずは自分が定住するっていうのがその感謝に対する答えなのかなと思ってる。当然「望まれて定住する」のが一番。望まれないで定住してもね、それただの迷惑な自己満足なんで。

ゆいぴ:
未来についてお聞きしたいんですけど。この先5年10年、もっと先の20年30年、最後に自分が死んじゃうっていうところまで考えて、どんなイメージを未来に対して持ってますか?

エリック永山:
あんまりこういうこと言っていいのかわかんないけどさ、今後農業やって、年金もらえるところまで頑張って、そこまではとりあえず働いたとして、それ以降も農業を続けるか?って言われたときに、家庭菜園ぐらいはやるかもしれない。でも仕事として続けるか?って言われると、ちょっとそこはまだ見えてない。っていうのは体が元気なうちにさ、その後の人生楽しまなかったら、何のために生きてきたの?ってなんない?歳取って思うように体が動かなくなってから自由になったってさ、何もできなきゃ意味ないじゃん。体が動くうちにリタイアして、世界一周クルーズとか行ってみたい。そんな野望は持ってるんだけどさ。言い方が悪いかもしれないけど、自分が65歳まで食いつなぐ手段としての位置づけで農業を考えたいと思ってる。ある程度、あと15年ぐらい食べれたらその事業はやりたい人に譲って。自分は残りの人生で世界一周クルーズに行ったり、楽しみをまた見つけたい。農業が楽しくてしょうがないっていう状況なら続けてると思うけど。

ゆいぴ:
なんでやりたいことが世界一周クルーズ?

エリック永山:
海外旅行とかも1回しかしたことなくて。すごい手っ取り早く楽に回れるなって感じしない?結構小心者だからさ、自分1人でパッと海外とか行けないなと思って。そういうクルーズだったらもう目的地がある程度決まってて、食事だって全部出てくるわけでしょ。結構手軽じゃん?みたいな。乗ってみたいなー。

ゆいぴ:
なんで世界一周したい?

エリック永山:
広く浅くでもやっぱ見ておきたいかなっていう。別に気になる国があるってわけでもないので、それこそ世界のそういう観光地に連れてってくれるわけでしょ。ある程度お決まりのコースでさ。だったらそれに乗っかった方が楽じゃんっていうのはある。

ゆいぴ:
広く浅くでもいいから世界を知りたいってのはなぜですか?

エリック永山:
なんでだろう。そこら辺は24年間やってた営業の血なのかもしんないけどさ、とにかくネタ作りというか、まんべんなく拾っておいた方がいいかなみたいな。いっぱい話題が作れるのかなって思って。その話題で深く突っ込まれると弱いんだけどね。

ゆいぴ:
未来に対してどういう気持ちでいたいとか、どういう心持ちでいたいとかっていうのはあります?

エリック永山:
多くは求めなくていいって思ってて。別に今からそんな事業を広げてさ、自分をめちゃめちゃ忙しくしたいっては思わないので。そんなに多くは望まない人生にしておきたい。この歳で大きい責任とかそういうのを背負う覚悟までは持ててないかな。物欲はあるけど、あんまり多くは求めなくていい。そんな目いっぱい稼ごうっていう気持ちまではない。

ゆいぴ:
それはなんで?

エリック永山:
やっぱ余力が欲しいんじゃない?あんまり忙しくしてさ、お金はいっぱい稼ぐけどめちゃめちゃ忙しいとかって、それじゃ人生楽しめないよね。自分がやりたいようにっていうか、自分の自由な時間って欲しいかなーっていう。農業を手伝ってて、本当農家さんって1年365日忙しく働いてるなっていうイメージはあるけどさ。なんかそこはやり方次第で何とかなんないかな?みたいな思いもあって。あとはね、自分で組み立てできるんだからそこらへん考えてできないかなーっていう。そういう漠然とした甘い考え。稼げたらいいけど、でもそんなにそんなに自分を追い込んで忙しくなるんだったら別にそこまではいらないって感じ。それぐらいの心持ちであろうと思ってます。

ゆいぴ:
学生時代も仕事してるときも仲間に恵まれてたっていうお話を聞いたんですけど。もしそういう環境がなかったら、自分は今どういう人生を歩んでると思います?

エリック永山:
そういう出会いがなかったら?えー、どうなんだろ。生きてんのかな?生き続けてるかわかんないね。どうなってただろうね。めっちゃつまんない人生にはなってると思うけど。

ゆいぴ:
1人で楽しく生きるっていう選択肢は?

エリック永山:
基本寂しがり屋なんで、たぶん無理だと思う。適度に自分の時間は欲しいけど。ちょっとわがままなんだけど、そういう仲間とワイワイする時間も欲しいし。なんだっけ?質問。

ゆいぴ:
仲間に恵まれた環境がなかったとしたら今どういう人生を歩んでると思うか。

エリック永山:
1人でワイワイはしてないだろうからな。もっと暗い人間になってたんじゃない?口数も少なくて、リアクションもつまんない人間になってたと思うなー。

ゆいぴ:
なんでですか?

エリック永山:
1人でお酒飲んでもつまらないから飲まないしさ。1人の静かな時間も欲しいけど、1人で生きていける人間ではないですね。誰かと関わり、支え合いながらじゃないと生きていけない。自分勝手なんだけどね。

ゆいぴ:
そろそろ例の質問していいですか?

エリック永山:
なに?いや、ちょっと待って。磐梯町とは?

ゆいぴ:
永山さんにとって、磐梯町ってどんな存在ですか?

エリック永山:
きた!磐梯町に特別な思いがあるというわけではないけど、自分が自分らしくこれから生きていける、そういうことができる場だよね。田舎だけど、会津若松も郡山も近いじゃん。そんな不自由はないし、自分の趣味も活かせる。農業に決して有利な土地ではないけども、頑張っている人がいるんだから自分も頑張ればできる可能性があると。自分が自分らしく生きていける場が磐梯町だなって思う。自分だけが良ければいいとは思わないし、自分と関わってる人みんなが成功して欲しいなって思う。今一緒に、例えば野菜の栽培をしている仲間とか、そういう子たちもこの町で自立していければ最高だよなーって思うよね。自分だけがうまくいくように、とは全然思ってない。

ゆいぴ:
磐梯町に対して抱いてる思いは?

エリック永山:
50近くになった自分をこうやって協力隊で農家サポーターとして来てもらいたいって言ってくれてさ、拾ってくれたっていう思いがあって。こんな農業未経験な自分でも拾ってくれたって。まがりなりにも3年間は役場職員の一員として働けるなんて夢にも思ってなかったから、本当に感謝してます、磐梯町には。だからまずは自分が定住するっていうのがその感謝に対する答えなのかなと思ってる。当然望まれて定住するのが一番なので。望まれないで定住してもね、それただの迷惑な自己満足なんで。その地域の方に望まれて残るっていうのが一番、感謝に対する答えかなーって思ってる。町長も自分のためにやれって言ってくれてるから。周りでよくしてくれる人たちのためにも、まずなんとか定住するっていうのを目指して動いてます。

ゆいぴ:
最後に言い残したいことっていうのをみんなに聞いてるんですけど。遺言みたいになってもいいですし、読者へのメッセージでもいいですし、インタビューの感想でもいいんですけど、最後に何かありますか?

エリック永山:
言い残したいこと?それって、すごい人間の深さが問われる質問だと思わない?ずるいなー、ゆいぴ。まぁ色々失敗繰り返しながら分かったことは、人間って思ってるだけじゃ伝わらないっていうか。自分もそう思っていました!って後から言われても、いや、それずるいでしょ、わかんねーし!って。やっぱ口に出して言わないと人間って伝わらない。その中でもやっぱり一番は、感謝の気持ちっていうのはどんどん伝えていかなきゃなんないなって。思ってるだけじゃダメなんだよ。感謝の気持ちをどんどん言葉として発していくことが、コミュニケーションを活発にして、みんなのやる気が盛り上がって、いい人間関係を築く基本なのかなって思う。人に感謝する気持ちを大事にして、どんどん言っていこうよ!って思います。…え、ダメ?ダメ?こんなんじゃ足りない?

ゆいぴ:
以上ですか?

エリック永山:
以上!なんだよー、もー、ずるいなー。

ゆいぴ:
はい、ありがとうございます。

あとがき

どんなコミュニティにも必要な存在っていて、それは人を巻き込める人、だと思っています。ただそういう人はいつの間にか抱えてしまうものも多くて、急に充電切れしちゃうときあるんです。明るく振る舞ってても、心は沈んでしまっていたりね。でもその苦悩は意外とみんな気づいてますよ。そしてあなたはここに必要な存在であると、一目置いています。
実は私も無名人インタビューを受けたことがありまして、そこで「自分らしさ」について少し語っています。ざっくり言うと、自分らしさがあるのは自分以外の存在のおかげです、と。だから全てに感謝しています、と。仲間への想いや感謝を大事にしている人は、きっと私と気が合いますね。あ~、私も世界一周クルーズしたいなあ。

【インタビュー・編集・あとがき:ゆいぴ】

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