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無名人インタビュー:オーストラリア、シンガポールの五つ星ホテルで働いていた人

最近はねー新しく作ったテラスハウスで遊んだり、他の無名人インタビュアーを養成したりして遊んでました!
ということで なお さん回です。毎度おなじみ中野美紀子さんコミュニティからの選ばれしメンバーです!
海外! カナダ、シンガポールとホテルなど現地で働き、今は沖縄、石垣島で生活している方です。
私はねー、ほんと海外は台湾しか行ったことない人なので、海外の話を聞くのはほんと楽しいワ。しかもホテルフロントってやっぱり、人との出会いの交差点じゃんね、てさ。わいわい。
価値観のるつぼを自分の足で歩いてってる、なおさん回お楽しみください!

今回ご参加いただいたのは なお さんです!

1、カナダ留学

qbc:海の写真、楽しみにしています。

こういうお写真!

なお:ありがとうございます。遊んでばっかりで(笑)

qbc:遊んでばっかりなんですか?

なお:今はちゃんとフルタイムでホテルで働いています。

qbc:空き時間は海へ行かれている感じ?

なお:そうですね。できるだけ。いつも行ってる訳じゃないですけど、天気がよかったら海に行きたい。良い時の海を逃したくないみたいな気持ちが強すぎて。

qbc:なるほど。

なお:あんまり予定を組んでしまうと、今の海すごいいいかもみたいな時に困るんですよね。予定をずらしてでも、私は海に潜りたいって思うので。

qbc:はいはいはい。

なお:なので、9月は予定はあんまり入れませんでした。
※なおさんとのインタビュー日程、9月を外したんです。

qbc:面白いですね。私、なんだかんだでずっと東京なので、自然に合わせた生活みたいな経験がないんですよ。
なので、おっしゃってることが、ドミニカ共和国からインタビューに参加した青年海外協力隊の人と似てるなって。あの人もそこら辺の川で遊ぶって言ってましたね。

なお:分かる。なんか、全て自分のタイミングではなくて、その日の天気とか、雲がかかってるかかかってないか、なんですよ。
同じ海なんですけど、珊瑚の見え方とか海の満潮、干潮とか、潮の流れで毎回違うので。なので天気予報は常にチェックみたいな。
天気が良くない日も、それはそれでまた楽しかったりするので。

qbc:それでは、どういうインタビューにいたしましょうか。

なお:全然考えてなかったんですけど。

qbc:はいはい。今、そちらは何度ぐらいです?

なお:何度くらいなんだろう? 最高気温29とか30ぐらいですかね。

qbc:東京かなり気温は落ちてきてますね。どんな話をしましょうかね?

なお:じゃあ、人生の流れというか、そういうのから。

qbc:はい、お願いします。

なお:私はですね、本当に夢とか希望のない若者だったので(笑)。
細かいことはめんどくさいので言わないんですけど、実家がちょっと荒れ荒れだった時期があって、そうすると、将来どこどこの大学に行きたいとか就職はこうしたいとか、そういう希望の前に、毎日やり過ごすことでいっぱいいっぱいになってしまっていたんですね。高校生ぐらいの時です。
将来の希望とか、みんなみたいにキラキラした希望が全くなくて。で高卒。
その後、ちょっと洋裁の学校に入るんですけど、それもちょっと続かなくって、いわゆるフリーター時代みたいな時代がありました。

qbc:なるほど。年齢は、私と同い年位ですよね?

なお:今、44です。

qbc:私は42になったところです。当時、フリーターとかはそんなに珍しくなかったですね。

なお:頑張って就職をしようとか、周りにもそういう雰囲気があんまりなくて。
目の前のことでいっぱいいっぱいだったこともあり、日本の王道みたいなのに子供の頃からうまく乗れてなくて。多分小道で横を走ってるみたいな感じだったんですよ。学校とか。

qbc:はいはい。大手企業に入るとか、公務員になるとかの王道ですよね。

なお:そういうことは考えたこともなかった。だからみんなとちょっと違う意見を持っていたりとかして、うまく日本の空気を読むとかも苦手でした。言っちゃいけないことを、みんなの前で言っちゃうみたいな。地雷踏んでるみたいな(笑)。

qbc:はいはい。

なお:人にいじめられたりとか仲間外れにされるとかはなかったんですけど、空気を読むのとか駄目だったので、その時にたまたま友達に誘われて行った海外旅行で、全然英語喋れなかったんですけど、行ったらすごく楽しくって。
で友達がちょっと英語を喋ってるのを見て「あ、すごい! こんなに英語を喋れてかっこいい!」と思って。「そっか日本語しか喋れないと日本人一億二千万人の友達しかできないけど英語が喋れたらもっと友達ができるのかな」と思って。そこから英語を勉強し始めたんですよね。それが23とかなのかな。

qbc:はいはい。

なお:それで26歳で一回カナダに留学をしました。こないだkindleで本にしてみたんですけど。3年とちょっとぐらいいました。学生ビザを使って。

qbc:お金を稼いでいいんでしたっけ?

なお:お金は稼いじゃいけなかったので、めっちゃお金を貯めるために日本ではすごい貧乏生活を送っていました。風呂なしアパートみたいなところに住んだりとかして、その時は東京に住んでいて、節約してましたねえ。

qbc:なるほど。

なお:カナダには一年ぐらいの留学にしようと思って行ったんですけど、なんだかんだで居心地が良かったり自分の英語力の伸びがあまりにも遅かったりとか色々あって、一時期休学をしたりとかもあったんですけど、3年ちょっとぐらいいましたね。

qbc:へぇーすごい。

なお:おもしろかったです。大変だったけど。

qbc:そのあたりの話をkindleにされたんですか?

なお:そうですね。コロナで会社がいっぱい休みになったので、時間ができたと思って。
とりあえず「きのちゃんの英語道」って本にして、日本編みたいな感じで書きました。
まだ書き終わってなくて、次カナダ編とかオーストラリア編とかを書いていったら楽しいかなーと思って、うん。

qbc:場所的にカナダがよかったんでしょうかね?

なお:えと、年が近いから分かると思うんですけど、その頃はまだ世の中にまだフィリピン留学とかシンガポール留学みたいな、アジアへの留学がまだ無い時代だったんです。
だからアメリカ、カナダ、イギリスみたいな。ネイティブスピーカーが住んでる国しかなくって。

qbc:はいはいはいはい。

なお:とりあえず自分のお金で行くからとにかく安い所、みたいな感じで探した結果がカナダのサスカチュワン州でした。みんなが知らない州で、大学付属の英語学校が一番安くて、生活費も安くてそこにしました。
日本で言ったら鳥取みたいな感じですかね。そう言ったらすごい鳥取の人に怒られそうだけど。

qbc:すごく良い所なんだけど、住んでなかったら滅多にいかない土地みたいなね。

なお:ワーキングホリデーの人も誰も来ないみたいな(笑)。一応州都に住んだんですけど、本当にひっそりとした町でした。3年間、ちょっとも働かないで楽しかったなーみたいな(笑)。

2、オーストラリア就職

なお:日本に帰ってきたんですが、でもせっかくだから海外で働いてみたいって思ったんですが、でもどうやって仕事を探したらっていうのが分からなくて。

qbc:はい。

なお:で、結果2年ぐらい日本にいたのかな。その間に、働きながら海外に行けるみたいな、海外インターンシップ制度をしている会社に登録しました。ホテルを扱っている会社に登録したんですけど、東南アジアのホテルは多いんですが、英語ネイティブが喋る国に行きたいみたいなこだわりがありすぎて、2年ぐらいずっとそれを見続けながら自分も日本でホテルで働いていて、そしたらある時オーストラリアの仕事がパンってあがってきたんです。
で面接させてもらって受かったので、行くことになりました。

qbc:オーストラリアは、どんな生活でした?

なお:そこのホテルで働きながら、私は基本的にずっと遊んでいる人なんですけど、日本のホテルで働いている時はスノーボードをたくさんしていて、オーストラリアではケアンズで働いていて、グレートバリアリーフがあって、自然がいっぱいあって、そこでもダイビングをしたりシュノーケルしたり、国立公園とかいっぱい行ったり、散歩したりとか、すごく楽しくって。
やっぱり遊んでばっかりですね、うん。

qbc:なるほどー。ホテルで働いている周りの人たちも、同じようなライフスタイルというか、遊び中心の人生を送られている方たちなんですかね?

なお:シティホテルとかだとちょっと違うと思うんですけど、リゾートホテルとかちょっと田舎になってくると、そういう環境を求めて外から来る、働きに来る人はけっこう多いんですね。いろんな国の人が働いていましたね。
あとは地元で、もともとそこに住んでいる人たち、のだいたい二部構成のことが多いですね。

qbc:なるほど。

なお:オーストラリアの生活スタイルは、私、すごく好きでしたね。
仕事は仕事、休み入ったら働かないぞ遊ぶぞみたいなスタイルがすごく好きで。自分の感覚にとても合っていたし、仕事もすごく楽しかったので。
英語の面では本当に苦労したので辛かったことはいっぱいあったんですけど、やっぱりその、英語圏の中で学生じゃなくちゃんと働くっていうのが。

qbc:へぇー。

なお:100ぐらい辛くても、それ以上に120%ぐらい楽しかった。

qbc:その辛いことって、例えばどんなことだったんですか? 日本にいた時のような、空気を読無ことを強要する感じ?

なお:オーストラリアとか、この後シンガポールでも働くんですけど、私の友達が言った例えで言うと、「日本の素晴らしさは痒いところに手が届く。海外の良いところは痒いけれど気にしない、痒いけど気にならない」みたいな。
まさにそうだなって思って。

qbc:はいはいはい。マジでその感覚。痒いところに手が届くがゆえに、そのために無駄が発生してる。やらなくていいことやってるから無駄になってるんだよ! て。

なお:すごいそれ! そうなんですよ。そこはすごい素晴らしいなって思うんですけど、私は相手が痒いよ辛いよとか色々言ってきても、大丈夫? って一応聞いて、相手が大丈夫って言えば、そうなんだーって思うんです。
でも、もっと細やかな人はもっと親身になれるんでしょうけど、私はそっかーじゃあ遊ぼう! みたいになっちゃうので(笑)。

qbc:ほんとねー、海外に行って人のおおらかさに気づくみたいな話はよく聞きますね。これ気にしなくていいんだ、って。

なお:自分が海外に長いこと住んでいて思ったことの一つですね、それは。
あと、自分の常識なんて所詮非常識なんだなって、本当に思いましたね。

qbc:なるほど。

なお:その自分の中の常識はシンガポール時代にもっと打ち砕かれることになったんですけど、仕事の仕方とか。東南アジアとか、言ったことをその日までにやってなくても全く悪びれてないとか。
日本だったら多分「え? この日までって頼んだでしょ」みたいになったら「ごめんなさい」みたいに謝ってくると思うんですけど、「だって忙しかったんだもん」みたい逆に開き直るところとか(笑)。

qbc:はいはいはいはい。

なお:あとすごいなと思ったのが、これはシンガポールもオーストラリアもそうですけど、風邪をひいたらすぐ休む。
オーストラリアにいた時に無理して出社して会社でちょっと咳こんでたんですけど、日本だったらあるあるですけど、オーストラリアではすごいみんなに嫌われるみたいな。

qbc:嫌われるぐらいになっちゃうんですね。

なお:子供がいる同僚とか「なおのことは好きだけど、私には子供がいるの」みたいに言われて。だから今日はもう近寄らないでとか。一緒にホテルのフロントで働いているのに。

qbc:海外ドラマぽい(笑)。

なお:そうそう(笑)。咳をしながら近寄るとみんなに嫌がられる。近寄らないでほしいみたいな。もうなお帰ってみたいな。あらゆる人に帰れコールを受けるみたいな。
風邪うつりたくないオーラが、みんなすごくて。何で来るんだ? みたいな。

qbc:日本も震災以降ですかね、台風なら会社に来なくていいよみたいな空気になったのは。

なお:え?(笑) その前は会社に行ってたんですか? 台風なのに?

qbc:行ってましたよー。東京の会社とか。沖縄とかは多分無理だと思うんですけど。

3、シンガポール就職

なお:日本はやっぱり制約が多いなと思って。海外に住んでる人たちの、めちゃくちゃだけど合理的って思うことはいっぱいあって。

qbc:それを聞きたいです、めちゃくちゃだけど合理的(笑)。

なお:日本はマニュアルがすごいいっぱいだから、店員さんとか大手の会社とか、ちょっとぐらい融通できそうなことも全て会社のマニュアル通りに答えなきゃいけないみたいな。
例えばシンガポールで買い物して80ドル以上だったら10%オフみたいな看板があったんですよ。で、その時私が78ドルぐらいの買い物をしたんですけど、あと2ドル足りない、そこのお店はスポーツショップみたいなところだったから2ドルの商品が全然ない、だから80ドルにはしにくいなって。

qbc:はいはい。

なお:で、試しに聞いてみたんです。78ドルだけど10%オフできないかなぁみたいな(笑)。そしたらその店員さん、オッケーって言ってくれて。それはちょっと緩すぎるかもしれないけど、そういう適当さかげんとか。
以前、シンガポールの病院で働いてたんですけど、日本だと9時にクリニックが開くのに病院のスタッフが9時に来るってありえないと思うんですけど、スタッフが9時に来て患者さんが外で待ってるみたいな(笑)。
カチャカチャって鍵を開けてスタッフが9時に「はい、入って~今準備するね」みたいな。病人に向かって。その緩さだけど、患者さんも誰も別に怒らないみたいな。
あと、さすがに入院施設ではやってないんですけど、受付でスタッフがご飯を食べているとか。

qbc:はいはい、それはオッケーなんですか?

なお:オッケーですね。おやつ食べたりとか。シンガポールだと文化的に朝ごはんを家で作って食べるよりも、みんな露店とかで朝買ってきて食べるので。会社始まってるけど、食べながら仕事することは結構あったり。
でもみんなシンガポールに住んでる人かシンガポールに住んで長い外国人なので、特に気にしないんですよ。日本のお母さんとかには聞かれたりしましたけど「なんで今ご飯食べてるんですか?」とか。「えっと、お腹が空いて」「あれは朝ごはんです」とか。

qbc:接客の仕事だけど、人から見えるところで食べちゃうんですね。

なお:患者さんが話しかけてきたら食べるのは止めますけど(笑)。私も最初はびっくりしました。「えー!」みたいな。仕事中に「おやつ食べる?」とか。
さすがにホテルだったらそれはなかったですが。

qbc:なるほど。あ、ホテルでは食べてないんですね。

なお:色んなことがたくさんあり、自分のダメだって思ってることなんて、大して自分の人生に影響を及ぼしてないんだな。なのに勝手に自分でダメだと思ってるんだな、と思うようになりました。
あとは多民族の人たちとうまくやっていくことを、特にシンガポールに9年近く住んでてすごい考えましたね。

qbc:あ、そんなに長く。

なお:自分のこの仕事を事務の子に期限までに終わらせてもらうには、どういう風に頼んだらいいんだろうとか。怒ったり強気に言ってみたり。
「期限までって言ったのにまだやってないじゃん!」みたいに言って喧嘩になると、その後の関係性が悪くなっても困るので。たまにおやつあげるとか(笑)。

qbc:9年もシンガポールにいたら、変化もすごかったんじゃないですか?

なお:オーストラリアはすごい先進国だったのでめちゃくちゃ楽しくって、ずっとここに住みたいと思ったんです。けどリーマンショックが起こって1年ぐらい経ったら、観光客が本当に来なくなってしまって。
ホテルは普通に運営はしてたんですけど、日本人がいなきゃダメっていう日本のお客さんが少なくなり。私が永住権持ってたら別ですけど、ビザを発行してまでそこにいることがやっぱり難しくなってきたんです。オーストラリアにすごい居残りたかったんですけど、系列のホテルが世界中にあったので、ちょうどシンガポールに日本人スタッフの空きができたから「どうする? 」って言われて。「そこに行かない?」って言われて行きましたね。
なので、シンガポールはいやいやで行きました。

qbc:あーそうだったんですか。へー。

なお:うん。そんな自然がないとこなんて行きたくない、都会のホテル絶対やだー! みたいに断固拒否でした。
だけど、周りのオーストラリア人が「いいじゃん。なおちゃん、三ヶ月ぐら行って働いてお金もらって暮らして、それでやめちゃえばいいじゃん。他の国で暮らせるよ!」て。すごいこと言うなと思っだけど、なるほどなとも思いました。
確かにシンガポールに一瞬住んでみるのもいいかもみたいな感じで。
最初は三ヶ月ぐらいで辞めちゃおうみたいな感じで行ったんですよね。

qbc:なるほど。ほんとに面白いですね。

なお:最初の1年ぐらいは、ほんとシンガポールが好きになれなくて。オーストラリアと全然違いました。元々いいホテルだったんですけど、〇〇〇というホテルで。

qbc:五つ星!

なお:そうなんですよ。でもオーストラリアの☆☆☆☆☆は名ばっかりだったんで(笑)。☆☆☆☆☆だったけど、毎日楽しければいいさ~みたいな感じの人たちがいっぱいいましたね(笑)。

qbc:リゾートにはその精神は必要かも(笑)。まあとにかく、スタッフの心構えが各国で違っていたんですね。

なお:そうです。シンガポールだと、毎月ホテルのマインドについての勉強会をしたりしていましたね。
一方オーストラリアのほうはですね、例えばチェックインの時にホテルのメンバーに勧誘するんですが、その勧誘数が最下位とかで本社に怒られて、それでちょっとやる気出すみたいな。

qbc:ブランドの中で底辺にいたわけですね(笑)

なお:ブランドのちょー底辺にいた上に、その底辺にいることも気にしてないから、本社からの指示をマインドコントロールだー! みたいなことをみんなで言ってました(笑)
見かねた上司が、上司もそんなに頑張ってないんですけど、フロントで三人一組ぐらいのチームを作って、会員をいっぱい勧誘したチームには食事券あげるとか言って、競争させたんですね。で、物が絡むとみんなやるみたいな。物がもらえるってなった瞬間にみんなちょっと頑張って、その時は底辺を抜けだせました。

qbc:はいはいはいはい。

なお:それぐらいファイブスターマインドがないホテルでしたね。ケアンズの時は。
そのノリでシンガポールに行っちゃったんで、ギャップがすごかったですね。シンガポールは本当にすごかった、そこの☆☆☆☆☆のホテルの本店スタートがシンガポールだったんですよ。今は権利が移って香港ベースだと思うんですけど。

qbc:元本店なんですね。

4、海外五つ星ホテル

なお:そうなんですよね。私達は☆☆☆☆☆スタッフです! みたいなマインドの埋め込みトレーニングがすごくて。化粧もしっかりしなくてはいけないとか。

qbc:なるほどねー。

なお:シンガポールのそのホテルってフロントが4つぐらいに別れてるんですね。ベーシックなお部屋から、政治家とかめちゃめちゃお金持ちの人が泊まる棟用のフロントと。その棟専用の別の入口があったり。
二年ぐらい前にトランプさんと北朝鮮の方の会談がシンガポールであった時に、トランプさんが泊まったんですよね。あとオバマさんが泊まったりとか。そういう偉い人が泊まりに来るんですよね。

qbc:完全なVIPですね。そりゃもうセキュリティーも。

なお:そうなんですよ。とにかくもう頑丈でした。

qbc:これどこまで書けるんですか?

※かなり削ってます!

なお:そこは私のホテル人生で唯一「こんなの無理だ! 辞めたい!」と思った場所なんです。自然がないし、本当に嫌だって思ったんですけど。
APECの会議が開かれたり、本当に毎日胃が痛かったんですけど、こういう世界に関わることはもう一生ないなと思ったので、一年ちょっとぐらい続けましたね。会社に行ったら、毎朝その日に泊まるVIPのリストがあるんですけど、ネットで検索したら顔写真が出てくるような人がばぁーって載ってるんですよね。こんなに覚えられないーと思って。

qbc:政治家や、ミュージシャン?

なお:そうですね。私は全然知らないけど、多分世の中のお金持ちで常連な人たちとか。東南アジアのお金持ちさんとか。日系企業の社長クラスの人はすごい来ますね。
めちゃくちゃ面白いですよ。日系企業の偉い人たちが来る時には、事前打ち合わせするんですよ。日本人スタッフって☆☆☆☆☆ホテルにも3、4人ぐらいしかいないので、その社長を迎えるのに絶対ミスがないようにって、日本人のシンガポールの駐在さんたちと話すんです。

qbc:あ、そういうこと。

なお:食事はこの部屋でとか、家電メーカーで、ホテルで使ってるテレビが他メーカーの場合、テレビのメーカー名を隠したり他にも色々と変えたりとか。色々やりましたね。すべての製品ではないですが、冷蔵庫の飲み物の銘柄とか。

qbc:そういうこと、日本企業はするんだなあ。

なお:で、そういう打ち合わせは、私たちが対応するんです。日系企業の駐在さん達もみんな英語が得意なわけではないので、普通なら私が一生関わらないような偉い人たちと、謎な打ち合わせをするんです。真剣に「冷蔵庫の飲み物は・・」みたいな。そういうのも面白かったですね。

qbc:貴重な経験ですねえ。

なお:一応、サービスとしてできることとできないことを伝えて、でもお金を払ってくれるんだったらOKみたいなところもありました。
☆☆☆☆☆ホテルで働いたことで、サービスについていろいろ学びましたね。

qbc:なるほどなるほど。

なお:本当にお金がある方から、すごい無茶なことを言われたりもするんですよ。近隣諸国のお金持ちの方でスイートルームに3ヶ月ぐらい泊まってくれる人がいるんですけど。

qbc:すごいね。

なお:しかもそれを一年に2回とかやってくれるんです。馬主の方で、自分の馬が多分オーストラリアとかのレースに出てるみたいで、でもそれを放映しているチャンネルがホテルにはなかったんですね。
それを「つけろ、金は払う」って言われたので「とりあえずあなたの部屋は、毎回来たらこの部屋だけです」みたいなのを決めさせてもらって、このスイートルーム以外は泊まれませんよって。そこだけお金を払ってチャンネルを見られるようにしました。
海外はサービスと価格が一致してるなーっていうのをすごい思いましたね。日本の場合は、お金を払わなくてもしてもらえる人の親切とかサービスに慣れ過ぎてるので、日本のお金持ちの方はそんなこと言わないですね。ちょっとしたことでクレームになりやすいんですけど。

qbc:なるほどねえ。おもしろ。

なお:日本のサービスはすごく良くて、おもてなしは感動するんですけど、サービスをする方とされる方のバランスが取れないのかなとか。

qbc:なんですかね。日本人はお金の使い方が下手なんですかね。買い物自体が下手。人から言われたから買う、芸能人が使ってるから買う。芸能人が行ったから行くとか。
そういう消費が当たり前で、自分で物を選んでちゃんと買ってる感じがしないですね。
お金の使い方、物の選び方がちょっと弱い。

なお:あー。なるほど。

qbc:あと、一つの国に暮らしている民族が少ないから、交渉経験が薄いっていうのもあるのかなあ。
さっき、なおさんがどうやって書類を仕上げてもらうか、と工夫したって話をしていたじゃないですか。でも日本は、基本みんな納期を守るから交渉がいらない。

なお:あ、そうですね。確かに。日本ってやっぱりすごいレベルが高い国だと思いました。

qbc:高度に調教された国民というか。

なお:日本だと、だいたいみんな70%ぐらいのレベルで働いてる感じですかね。でもシンガポールとかだと、30%から90%まで、いろんなレベルの人が同じ仕事をしているんですよね。でも本当にできる人は転職して、もっと稼げる仕事に就いてたりするんですけれども。
そのばらつきがある中で、頭が良かったり仕事ができる人も、宗教的に大事にしてる部分があれば、毎日定時でちゃんと帰って家族と過ごすとか、人生で重視しているポイントが違ったりしていますね。

qbc:面白い、シンガポール。

なお:そうなんです、シンガポール、住んでみるとめちゃくちゃ面白くって。
そういう自分の人生に大切なものがある方は、会社で上に行くことを望まない。仕事がすごいできても望まない。
そして、適当に仕事をこなしてる30%~40%ぐらいの力の人たちが、すごい失礼ですけど、のらりくらり上手く働いていて、さきほどの能力の高い人と同じポジションだったりする。
日本だったら「何あいつ!」みたいに言われてしまう気がするんですけど、でもそういうこともあまり起こらず。まあ、多少思ってたりするかもしれないんですけど。

qbc:ちゃんとジョブディスクリプションがあるんですよね? こういう仕事やるよっていう。

なお:あります、あります。だからいいのかもしれないですね。

qbc:日本も、テレワークが始めってないとやばいよねって空気になってます。なに当たり前のこと言ってんだって感じですが、そういう状況です。

なお:そうですね、自分の仕事以外のことを頼まれた時にちゃんと「それは私の仕事じゃない」みたいに断られたりもするのも大きいかもしれないですね。

5、日本

qbc:ホテルの話、すごい楽しいです。

なお:私もこの話をいつか本とかにしたら、もっと面白いのかなと思ったり。

qbc:すごい価値のある話だと思いますよ。

なお:そうですか。今ぐらいだったらもう話してもいいかな。裏話は大量にあって、もう☆☆☆☆☆から離れて10年くらい経っているので。

qbc:ホテルって、石ノ森章太郎が描いたマンガがあるんですが。そもそも、物語の形式に、グランドホテル形式っていうのがあるんですよ。あるホテルがあります。で、そこにお客さんが来て毎回毎回事件が起きて、その中で物語を描くっていう。

なお:なるほど。

qbc:旅籠ものとかも、時代劇にはありますね。古くはカンタベリー物語と。ホテルに泊まった人たちが、毎晩毎晩、宿の主人と話をしたり、トラブルを起こしたりとか、一話完結で進んでいくみたいな。
ホテルはやっぱり面白いですね。人が集まるところ。しかも見知らぬ人たちが見知らぬ土地に来るわけですから。

なお:そうなんですよね。私がホテルを続けられる理由の一つは、毎日が非日常で面白いっていうのがあって。

qbc:そっか、へぇー。

なお:あとホテルで働く人も好きです。楽しい人、ホスピタリティがある人が多い。
あ、長年フロントだったんですが、最後営業もやったんですよ。

qbc:ホテルの営業は、旅行代理店と話をするんですか?

なお:いや、私がやった営業は、シンガポールなのですごい特殊なんですけど、現地で日系企業を相手にする担当でした。
日系企業は、一番上の人は日本の人が基本トップなんですけど、大きい会社から小さい会社までたくさんあって、実際にそのホテルにお客様を泊める予約をしてくれる方っていうのは、地元の人だったり、長年働いている地元の秘書さんだったりするんです。
だから、まずは日本語が喋れるかとかよりも、どうやってその人たちを攻略していくか、その人たちとどうやって仲良くなってホテルを見に来てもらうか。
で、見に来てもらった時に、一緒にランチなんかをご馳走して仲良くなってって、どうやって使ってもらうか、と。結構長い作業ですね。

qbc:はいはいはい。

なお:人の繋がりとかも大変だったけど、面白かったですね。
現地の小さい日系会社だと、すぐに秘書さんが偉い人を連れてきたりとか。あと、海外をめちゃめちゃ渡り歩いてきて今シンガポールに来ている偉い人とかと話せたりもするので、面白かったですね。今までどんな経歴があってここにいるんだろうとか。
お互い、海外で暮らしている日本人っていう感覚がどっかにあるので、日本で日本人に営業するよりも、親しみ感がありましたね。
あと、韓国の人には、日本と近いから親しみがあるから、シンガポールスタッフが営業に行くよりも私が行った時の方が歓迎されたりとか。

qbc:強力なものですね、人種っていうか文化っていうか。

なお:逆にバリバリのアメリカン企業とか行っても、私多分口で負けちゃうので、そういうところは口が立つシンガポーリアンとか中華系の人たちに任せた方が良かったり。

qbc:はいはいはい(笑)。営業の話は面白いですよね。人は人だなっていうか。人が喜ぶことは文化が変わってもあんまり変わらないのかな。

なお:そうそう。人だなってすごい思うところがいっぱいあって。

qbc:あーいいなぁ。本当ありがとうございます。最初、沖縄のゆったりしたお話をお伺いするのかな、とか思ったけどそうでもなかったですね(笑)。

なお:私も沖縄のことを繋げたかったのに、どうしよう繋げなくなっちゃったと思って。辿り着かなかったな、と思って。どうしよう(笑)。

qbc:キャリアを楽しんでおられる方だったんですね。

なお:めちゃめちゃ楽しんでますね。私、いつ死んでも本当にいいやって。
どうしよう沖縄の話が入らなくなっちゃった。まぁいいか。

qbc:自分のnoteを見てください! て流れがいいですかね。

なお:10何年ぐらい海外を本当に濃厚に駆け抜けたので、結婚もしてなくって子供とかもいないから。

qbc:今はご両親と?

なお:私の両親は北海道にいますね、

qbc:シンガポールから帰国後、日本でちょっとご両親と生活されたんでしたっけ?

なお:そうです。一年半ぐらい生活して。noteにも書いてるんですけど、なんかもう何もいらないやみたいになってしまって。急に星空を見ながら砂浜でゴロゴロしたいなと思ったんです。
北海道でお家を借りようと思ってたんですよね、実家で暮らした後に。でも、そのイメージが全然湧かなくってどうしようかなーって思った時に、外に出たいなって思って。もうあまり物もいらないし、濃厚な人生を駆け抜けたから、まあいっかと思って。

qbc:沖縄いいよーってインタビューになるかと思いきや、ほんと予想外の内容になりました。

なお:私も沖縄いいよに結びつけようと思ったけど、そこまで辿り着けなかった。

qbc:シンガポールや沖縄の話は、kindleにされるんですか?

なお:そうですね。kindleは、今まで一杯やってきたこの経験を、そのままにしておくのはもったいないなーと思って。自分のためにではありますけど、私の話を聞いてもらって若者に頑張ってもらいたいとかそういう意欲も大してなく(笑)、こういう感じで面白いことがいっぱいありますよ~みたいなのを、本とかにしていったら自分が満足するかなと思って。
それで、書き始めたんですよね。

qbc:楽しみにしてます! 数々インタビューしてきた中でも、印象に残るお話でした。
マルチカルチャーっていうんですかね、複数の民族文化の中で仕事をしていくってこと自体が面白いですし、海外で仕事しながら、辛いことがあっても日本に戻ってこなかったというのもすごいですよね。受け入れて進んで行ったっていう。

なお:日本では暮らせないって思ってたんですよ、逆に。ずっと。日本の枠に入って仕事とか。
だから帰るって決めた時も、まわりから無理だよってすごい止められたんですよね。「なおちゃん何言ってんの?」みたいな。「なおちゃん日本社会で生きてくの無理だから」みたいな。

qbc:私もそういうタイプだけど、怒られちゃいますね。いつのまにか怒らせてるっていうか。

なお:私も日本で、すごい真面目な方に「ふざけないでください」って怒られました。でも、私はまだふざけてなかったんですよね。ふざけるのはこれからだったのにって思いました。
でもそこでまだふざけてないですって言ったらもっと怒られると思って、まだまだふざけてないのに謝っていました。「すみません」みたいな。まだふざけてないのに謝ってる。

qbc:感じてること、感覚が違うんですよね。

なお:本当はまだですよって教えてあげたいんだけど、それを教えたらもっと火に油を注いじゃうよって思ったので。本能でやめました。恐ろしい日本。

qbc:空気は読めないけど、本当の怒りは察知できるんですよね(笑)

なお:そうそうそう、そうなんですよ。

qbc:生活感情は分かんないけど空気は察する。

なお:本当におっしゃる通りで。空気は読めないけど、そういう察知能力はありました。危ないと思ったらすぐ逃げるみたいな。

qbc:生物レベルの闘いなのかもしれませんね(笑)。

なお:この人はやばいとか、この人ちょっとダメかもっていう察知能力だけは、昔から高かったです。とりあえず関わらないとか、とりあえず逃げるみたいな。

qbc:ほんと、ものすごい奥行きのある話ですね。ただ海外移住するとか、留学して語学を勉強するとか、そういうこと以上の深みがある。色んな人たちと一緒に暮らすとはどういうことか、という話なんですよね。

なお:あ、嬉しい。ありがとうございます。本当に色んな人とシェアをする暮らしをしてきていたので。

qbc:それで行きつくのが沖縄なんだなーって思ったりもしました。

なお:沖縄はそうですね。特に石垣とかに来て思ったのが、ここも若干東南アジアだから住みやすいって思いましたね。

qbc:なるほど。

なお:ここの人の気楽な感じとか、やっぱり自然に合わせて生きてるところとか。

qbc:東京は異常ですよ。特に東京でサラリーマンで働いてる人はかなり異常ではないかと思います。忙しすぎる。話し方もやっぱりみな同じようになってるし。

なお:あ、うーん。そうなんですね。なんか悩んだら沖縄に来て一週間ぐらい、とりあえず10日間ぐらい海漬けとかになっちゃえばいいのにみたいに思います。
毎日シュノーケルだ! とにかく海に毎日潜れ! みたいな。もう本当に海見て釣った魚を食べて星を見て寝てればいいと思うんですよ。そしたら何が大事か本当に分かると思うんですよね。

qbc:なるほど。

なお:もちろん私も電気とか、東京の方たちがいなかったら沖縄のこの生活も成り立たないので、感謝もしてるし、あと田舎が嫌いっていう人がいても全然いいと思うんですよ。
でも心が壊れるまですることではないと思うので、一年に一回とか本当にもう現地の人と同じような生活をちょっとすればいいのにって思います。山に連れて行かれ海に行かれ、一週間ぐらい連続でそれをやる。一日とか二日だと体験みたいな感じなので、長期でやって。

qbc:面白そうですね、それ。シンガポールのホテルで、毎朝VIPリストを見ては胃を痛めていた毎日と対比されているんですかね?

なお:あー。うんうん。そうなんですよ。あと、物もいっぱいもらえるんですよね、ここにいると。
私たちは生まれた時から貨幣価値が回ってる世界にいるんですけど、そのお金の世界にいるんですけど。もちろんお金も大事だし、世の中の発展でこんなによく暮らさせてもらってるんですけど、貨幣価値もほどほどでいいんじゃないですかって思います。

qbc:なるほど。

なお:みんな結構野菜とかくれるよ~みたいな。

qbc:なるほどね。南と北の暮らしの違いもあるのかな。
北の、畑の生産性が低かった土地の人たちは、やっぱり戦ってきたわけですから。食べ物を争って。そういう意味で言ったら、殺しあわずに交換で済む貨幣はまあ平和的なのかなとも思ったり。

なお:確かに。北海道も昔は大変でした。

qbc:なるほど。北も南も知っていると(笑)。あ、ではすみません。この後はアンデルセンのりこさんという方とお話をするのでそろそろ。

なお:あ、のりこさんお友達ですよ。シンガポールでしょ?

qbc:あー、そっかそっかシンガポール繋がり! なるほど!

なお:友達なんですよ。のりピーによろしく言っておいてください。

qbc:はい、伝えておきます(笑)

なお:のりピーもすごいいいお話聞けますよ。ステキな方です。

qbc:楽しみにしてます。では、ありがとうございました。

なお:ありがとうございました。とても楽しかったでーす。

あとがき

いかがでしたでしょうか皆さん。なおさん回。
ことほどさように、旅をしてきた人の話っておもしろいよね、昔昔商人が色色のお話を物を売るのと同時にしてくれたって話を思いだしたりしましたね。そんなことはあない!

さて。
バブル崩壊で、東北の震災で、数々の災害で、コロナで、東京オリンピックが幻にまたなりそうで、私たちの価値観はゆらゆらゆらぎまくっているわけですが、価値観なんてゆらいで当然で、だから、つまりは私たちのゆれぶれやすい価値観は、勉強して、経験して、固めて、かつ柔軟に、つまりはしなやかにレジリエンスもたせなきゃいけないんだろうな、って、なんて思ってます。
空から太陽が、太陽の光線がうしろ頭を強く差す。暑くて、ふりむくと目を開けられないくらいのまぶしさで、そういう、鮮烈な経験を、海の光を、浴びてもうっとりとできるくらいの余裕ってほしいじゃないのかな、ねえ。
支離滅裂。
明日も私は無名人インタビューの原稿にたちむかうでしょう。しばらくはねえ。

編集協力:えつこ さん

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