ポイ捨てごみをスマートに減らす。アイデアが光るごみ対策テクノロジーをご紹介
ポイ捨ては社会問題の一つです。ポイ捨てごみに関する論文によると、世界では年間6兆本ものタバコが消費されており、そのうち4.5兆本はポイ捨てされているそうです。また、世界経済フォーラムは、2015年にタバコを含む910万トンのプラスチックごみが海に流出したと発表しました。
海洋ごみは海の生態系に悪影響を与えますし、街中でもポイ捨てが増えれば増えるほど、景観や衛生を損ない、生活しにくくなると考えられます。加えて、ジョージ・ケリング氏が提唱する「割れ窓理論」により、ごみが放置されている場所では犯罪率が高まるのではないかと言われています。
割れ窓理論とは、「1枚の割れたガラスを放置すると、いずれ街全体が荒れて犯罪が増加してしまう」というものです。ポイ捨てを例にすれば、「ごみが放置されている=人の関心がない場所」と認識されることで、さらにポイ捨てが増えたり、犯罪が発生しやすくなったりするということですね。
このように、ポイ捨てやごみの放置は様々な被害・不利益を生じさせます。筆者はポイ捨てが起こる理由の一つとして、ごみ箱が近くにないことや、ごみ箱がいっぱいで捨てられないことがあると考えました。今回ご紹介するテクノロジーはこのような問題を解消し、ポイ捨てごみを減らすために役立つのではないかと思います。
人と人の間を自由に移動。ごみ箱ロボット「Baryl」
フランスのImmersive Robotics社が提供する「Baryl」は、自動で動き回るごみ箱ロボットです。センサーやカメラによってあらゆる障害物を回避しながら専用のエリアを巡回し、人々はBarylにごみを捨てることができます。
▲Baryl Immersive Robotics社公式YouTubeチャンネルより
Barylは手を挙げている人を認識すると、そこへ向かっていきます。片手でごみ箱を呼び出せるのは便利ですよね。歩行が難しくごみ箱まで移動するのが大変な方も、ごみ箱の方から来てくれることでごみを捨てやすくなるのではないでしょうか。
Barylは捨てられたごみの量を計測することができ、ごみがいっぱいになると自動的にベースに戻ります。そして、ごみが満杯になったことをスタッフに通知します。
スタッフは通知を受けた時にBarylのごみを空にすればよいので、常にBarylの様子を見ている必要はありません。そのぶんスタッフは他の仕事に取り掛かることができるので、業務効率化の効果も期待できそうです。
世界中で展開。日本にも導入されたスマートごみ箱
アメリカのBigBelly Solar社が開発したスマートごみ箱「BigBelly」は、世界60か国以上に展開、7万台を超える導入実績があります。日本でも、2020年10月にスマートごみ箱「SmaGO」(フォーステック社)として表参道に設置されました。
BigBellyは一定の量のごみが溜まるとごみを圧縮し、空間を作り出します。そのため、より多くのごみを捨てることができます。ハンドガードシステムを搭載済で、圧縮中に手を入れても巻き込まれず、圧縮中もごみを捨てられるようになっているとのことです。
中には圧縮に向かないごみもありますが、BigBellyには圧縮を行うタイプと行わないタイプがあるので、捨てるごみの種類によってタイプを使い分けることができるでしょう。
また、Barylと同じようにBigBellyもごみの量を把握し、いっぱいになるとスタッフに通知する機能を持っています。スタッフは効率よくごみを回収でき、ごみを捨てる人々も「ごみがいっぱいで捨てられない」という状況が少なくなります。
さらにBigBellyは天井部にソーラーパネルを備えており、太陽光によって発電・蓄電をして動きます。必要な電力を自給自足できるのはすごいですよね。ごみ箱のラッピングデザインも自由に変えられるため、使い方次第では宣伝などの効果も見込めるようです。
手軽に始めるごみ拾い。日本で生まれたごみ拾いSNS
最後に、日本発のユニークなアプリ「ごみ拾いSNS ピリカ」をご紹介します。
ピリカには、
拾ったごみを記録、発信
ユーザー間でコメントや「ありがとう」を送り合う
アプリ内で作成されたごみ拾いイベントに参加する
などの機能があります。
他にも、マップ検索でこれまでに拾われたごみの分布を調べたり、同じハッシュタグのついた投稿をまとめて見ることができたりします。
「ごみ拾いを楽しく、続けやすく!」という思いで開発されたピリカ。すでに100以上の国と地域で累計2億個以上のごみが拾われているそうです。大きなお金をかけずに楽しくポイ捨てごみを減らすことができるのが良いなと思いました。
ごみをごみ箱に捨てるだけで、ポイ捨てごみ問題は改善されていきます。このようなテクノロジーの力も借りつつも、一人一人がポイ捨てをしない意識を持つことが大切ですね。
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