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「今日の行動が明日の景色を変えてくれる。」マルチポテンシャライトの私が輝く働き方 フリーランススラッシュワーカー 八巻美穂


八巻美穂
フリーランスライターとして活動3年目に突入。
ライターのみならず、編集やディレクター、コミュニティマネージャーなど多岐に渡る分野で活躍するスラッシュワーカーの彼女。

*「スラッシュワーカー」とは、複数の仕事・肩書きをもつ人を指す言葉

新卒で入社した塾で適応障害を経験し、フリーランスの道を選んだ彼女が大切にしている考え方をうかがいました。


アメリカ商社インターンシップで経験した「書けない辛さ」

現在フリーランスライターを主軸として、様々な分野の仕事に取り組んでいる美穂さん。
編集、ディレクター、インタビュアー、イベント運営、コミュニティマネージャー、英語講師、人事、広報など幅広く活躍しています。

そんな美穂さんがライターを始めたきっかけは大学3年生の頃にあったそうです。

「大学3年生の秋くらいからアメリカの商社でインターンシップをしていました。
その社長から出された課題が『毎日ブログを書く』というものだったんですね。
もうですね、私は本当に本当に文章を書くのが苦手で。その課題が大嫌いでした。」

文章を書くことに苦手意識がありながらも、毎日提出しなければならない課題と格闘していたと言います。

「泣きながら友達に電話して、『私商社にきたのになんでこんなこと書かなきゃいけないの!?書けるわけないじゃん……。』と愚痴を言いながら書いていました。毎日夜中0時くらいまでパソコンに向かうのですが、何時間もかけたのに1000文字しか書けない。頑張って完成させて提出しても、返ってくるのは真っ赤な添削。

私超できないやつじゃん……。何のためにアメリカきたんだろう。と自信を無くしていました。」

書けない辛さに向き合いながらも、2年間「書く習慣」を続けたそうです。

「SNSでも”書けない自分”をオープンしながらブログの更新を続けていました。すると少しずつ読んでくれた人からコメントをいただけるようになったんです。
『みほのブログ読んでアメリカ留学決めたよ!』とか『こんな教育の価値観があるなんて知らなかった!』とか。私が書いた文章でこんなに感じてくれる人がいるんだ……!と、とても嬉しかったのを覚えています。それからですね。苦手でしかなかった「書くこと」が少し好きになっている自分がいました。
あぁ、書き続けることって意味のあることだなぁって。」

この経験をきっかけに、大学4年生からWebライターの仕事をスタートしたとのこと。

「自分が書くことで、誰かの人生が変わるかもしれない。もしかしたら書き続けることで世の中が変わるかもしれない…という感覚を覚えていって、すごくモチベーションが湧きました。」


入社2ヶ月で適応障害に。塾講師からフリーランスの道へ

書くおもしろさを経験した美穂さんでしたが、新卒で入社したのは学習塾だったとのこと。

「もともと英語を教えることが好きだったのと、大学在学中に教育に関心をもったことから学習塾に入社することを決めました。」

夢と希望をもって入った教育現場でしたが、入社して2ヶ月で心と体が壊れてしまったと話します。

「私が入社した塾では研修がほとんどありませんでした。1,2回程度『大体こんな感じです』というお話を聞いて担当校舎に向かうことになり……。
その初日、授業計画も渡されないまま、『八卷さん○○校にいってください。』と言われて。言われるがままその校舎に向かったのですが、まさか、と思ったらそのまさかで。詳しいことがよくわからないまま、初日から授業を受け持つことになりました。

いやいや待ってくださいと。慌ててスケジュールを見たら、その日から週5で授業が組まれていて一週間でトータル200人の生徒を見ることになっていたんです。

もうやるしかないので、やりきるのですが……。始まって一週間でへとへとになってしまいました。」

授業後は勉強が苦手な子のための補修も受け持ち、次の日の授業準備は夜中にするという生活サイクルになっていたそうです。

「とにかく働く時間が長かったことと、やるべき準備と会社が用意してくれた研修内容が見合わなくて完全にキャパオーバーしてしまったんですね。
ひどく疲れているのに夜眠れなくなって、眠いまま仕事して、ストレスで結局また眠れなくて…。3月入社で1ヶ月頑張ったのですが、言葉も上手く話せなくなってしまって。このままでは心身ともに壊れてしまう、働き続けるのは難しいなと思い、5月に退職届を出しました。」

塾講師の仕事を辞めた美穂さん。次のキャリアについて悩んだと言います。

「はじめは会社員としてライターになることを考えていました。これだったら自分が大学3年生の時に発見した楽しさとかやりがい、世の中を変えられるっていう視点をもちながら楽しめるかもしれない!と。

でも、ライターを雇ってくれる企業を見つけるのはすごく難しくて。
やっぱり募集要項を見ると、『歴○年以上』とか。キャリア歴が問われるんですね。当たり前ですけど……。そもそも私は、社会人歴も2ヶ月しかないし、そりゃそうだよなぁって。フリーランスの働き方は知っていたのですが、あと一歩の決定がなかなか踏み切れませんでした。

フリーランスとして働こうか迷っていたある夜、その決断を後押しする出来事が起こったそうです。

「悩みに悩んでいた時、急に思い立って占いをしてもらおうと思ったんですよ。電話で占ってくれる占い師の方を予約して電話しました。真夜中に。(笑)
生年月日を伝えると、本当に怖いくらいに今の状況を言い当てられたんです。
『あなた、本当に深夜まで働いてるでしょ。心も体もボロボロね……。そんなブラック企業にいるの?』と。

この人なら信じていいかも。と直感が働きました。

思い切って、今の状況とフリーランスについて悩んでいることを伝えると
『あなたフリーランス向いてるわよ。自信もって突き進みなさい。』と背中を押してくれて。

わかりました!!ということで、次の日に開業届け出しに行きました。」


弱みを強みに変えてくれた”マルチポテンシャル”との出会い

占い師の言葉に後押しされ、フリーランスへの扉を開いた美穂さん。
ライティングスクールに通い、こつこつとスキルを積み上げてきたと言います。

しかし、仕事をはじめた頃は、「周りと同じように一つの仕事に集中して取り組むことができない自分」に悩んでいたそうです。

「今でこそ、たくさんの分野でお仕事をさせていただいている私ですが、はじめは自分の能力の低さに悩んでいました。
みんなみたいに正社員としてちゃんと会社に行って8時間働くとか、同じ人とずっと過ごしたりとか、同じ場所に居続けたりするのがすごく窮屈に感じてしまう人間で……。」

”みんなと同じことができない。”

自分の性質に生きづらさを感じていた時、当時一緒に働いていた先輩からある言葉をかけてもらったと言います。

「仕事でもプライベートでも相談に乗ってくれる尊敬する先輩に悩みを打ち明けました。すると、

『みほちゃん、それは才能だよ!?』

と。自分が悩んでいたことを、すごくポジティブに変換してくれたんです。

そして、その才能は”マルチポテンシャライト”(以下:マルポテ)という分類になることも教えてくれました。
毛色の異なるいくつかの分野を横断的に勤めると、自分の才能を発揮できる人の事を指す言葉です。
先輩が紹介してくれた本を読むと、どうやらマルポテは、今の時代に武器になる才能のようだ。という発見があって。
ずっと悩んでいたけれど、いやいや自分すごいじゃん!って、初めて思うことができました。その先輩との出会いは、私にとって本当に大きな出来事でした。」

自分の才能を見つけた美穂さん。
やりたいこともその性質もオープンにして、自分の興味のあることに向かって突き進んで行けばいいと気づいたそうです。


今日の行動が明日の景色を変えてくれる

適応障害を乗り越え、自身のマルチポテンシャルに気づき、現在はスラッシュワーカーとして様々な分野の仕事に挑戦している美穂さん。

「今やらせていただいている仕事の全てが楽しくて、『これが一番』が決められないのが本音です。はやく、”自分の一番好き”を追い求めたい自分もいますが、うーんそれってないのかも?と認めている自分もいますね。
毎日本当に楽しいです。そう、毎日が比べられないくらい楽しい。印象的な仕事を探すのが難しいくらい『これも嬉しかった。』『この仕事も初めてだったけど楽しかった。』と思います。」

「これからはもっと影響力のある人になっていけたらいいな、と思っています。例えば、私が誰かに心から愛を伝えたら、それを受け取ってくれた人がまた誰かに伝えて派生していくと思う。

もちろん自分一人で変えられないことはあります。でも、私が言葉をのこしたり、教育現場に立つことで、世の中に良いものが生まれる波を創れるんじゃないかなって。それを受けとめてくれた人が、いつかは世界に飛び立って新しい視点に立ってくれるかもしれない。

そのために、まずは自分自身が影響力のある人、誰かに気づきを与えられるようなそんな存在になりたいなと思います。
ちょっとずつでも世の中が良い方向にいくように。」

「私のモットーは『悩んでいる時間が一番もったいない』です。ああしようかなどうしようかなと思っている時間は、一番もったいない過ごし方をしてしまっていると思います。
私も適応障害で思うようにいかない辛さを経験して、2ヶ月くらいくすぶったけど……。もっと早く決断していたらあんなに苦しい思いをしなかったかもと思うので。

物事を決めるとき、フリーになるとき、新しい仕事始めるときとか悩むし、しんどいし、逃げたくなる時もあるけれど。
一旦その悩んでいる自分をストップさせて、行動してみる。

行動してみるだけで明日の景色は変わると思うので。
今うまく判断できない人や苦しさを抱えている人がいたら、その気持ちをまず人に話したり、話を聞いたりしてみてほしいなと思います。」

マルチポテンシャルを生かして、今後もいろいろな事に挑戦していきたいと語ってくれました。

編集後記
私の「書く」のスタートを支えてくれたのはみほちんでした。スキルも実績もない私に、本当に一から丁寧に寄り添って教えてくれて。繊細な心の動きもキャッチしてくれるみほちんのおかげで今の私があります。そんな彼女が書く文章からは、彼女の暖かさや優しさ、前向きなエネルギーを感じます。これからも私たちにしかできない、”私の人生”を一緒に楽しんでいこう!
みほちん、貴重なお時間をありがとうございました。
(インタビュー・編集・イラスト By Umi)


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