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きらきら

今住んでいるところで一番好きな季節が到来した。一年のうちでこの2週間くらいだろうか。私にとっては心躍る特別な季節である。

なぜかといえば、山に高山植物の花々が咲き乱れるから。それもどこにでもというわけではなく、標高2400mくらいで水が豊富な場所限定で。

咲き誇る野生の花々

彼らに初めて出会ったのは去年の7月の半ばだった。たまたま家から2時間ほどの山の中にあるロッジに宿泊した。

行く前は大した下調べもしなかったが、そこは英国王室のウィリアム王子とキャサリン妃も宿泊されたことのあるところで、一般客は10km少しの山道を歩かなければ到達できない。(王子夫妻は特別にヘリコプターで降り立ったそう)

電気はメインロッジだけ太陽光で発電しており、水は近くの清流から汲み上げている。そんな山奥にあっても美味しい3食にアフタヌーンティー付きだった。

ともかく私はそこに泊まることが目的だったので山道を歩いたわけである。

それがある意味私の人生を変えてしまった。

道すがら、何千何万という花々に囲まれて、途端に彼らの虜になってしまった。一つ一つ色も形も違ってどれにも個性があり、どれも精一杯命を輝かしていた。我を忘れて花々を観察し、写真を撮った。

これは天国ではないだろうかと本気で思った。
それが、天国はそういう場所だろうという確信にも変わった。

カナディアンロッキーの秘境

それらの美しい命とただただ同じ空間に存在できることがこの上ない幸せだと思った。

それ以来私は山の魅力に取り憑かれた。もちろん花々が咲く季節が一番好きなのだが、冬山の美しさにも心を奪われた。

冬があっての夏であり、雪があっての命の水。その循環の中にあることに改めて感じ入った。

今年はこの地方に過去67年で最高の積雪があった。雪解けも遅く、季節の変化が例年より3週間遅れていると聞いていた。それで時期をずらしてまた去年と同じ場所に行ってみた。

今回は宿泊ではなく花々に会うことが目的だった。

“Rocky”は岩山 その隙間に高山植物は根を張っている

行く前は、去年の素晴らしいイメージを覆すことになったら嫌だなと思ったりもしていたのだが、そんな心配は必要なかった。

もちろん一つとして同じ景色はないし、今年もそこに輝く命にまた感動して帰ってきた。

あんなに雪が降ったのに、そんなことがまるでなかったかのように皆生き生きしていた。

今年も会えて嬉しいな、と心の底から思った。灰を撒いてもらうならここがいいかなとまで思ってしまった。

ここに住んでいるからこそ時期を選んで行けるのだと思うとそのことにも感謝の気持ちで一杯である。

写真ではこの素晴らしさを伝えきれないし、あまりに非日常感があるかもしれない。それでもこの魅力を伝えずにはいられない。

感謝とともに。

この日はヤギ・マーモット・リスに出会えた


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