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気が付いたら 蕎麦屋に居た

“昼 何食べる?”

腹持ちの悪い ギランバレーの身体
一食一食が 大切で…
出先のフードコートを 彷徨っていた。
暖簾の前を 何度も 何度も 通り過ぎる。


“蕎麦が食べたい” 
身体は申す
天麩羅も
どうせなら ワサビを 擦って….

食べれば 良いじゃんって….

泣きながら
死にものぐるいで 蕎麦を食べてる客

少し前の私。

日々のリハビリは 細やかな事の積み重ね
調子に乗ると 思いっきり寝込むのも わかってきた。

熱々の天麩羅に
頭の芯を貫く ワサビ
蕎麦を 啜る 啜る
ちゃんと 食道に吸い込まれていく

まだまだ左の手元に 蕎麦は 溢れてるけど…

おばちゃんが 蕎麦湯を 持って来た。
とても とても 嬉しかった。

奥のテーブルで 同じように
おねーさんが 満面の笑みで 蕎麦を
食べている。

気が付いたら 蕎麦屋に居る。

ある日のリハビリ
取り調べ室だった。
“麺類 食べれてますか?”
声優セラピストさんは 尋ねる。

満面の笑みで答えた。
先生 蕎麦食べて 来ましたよ。
天麩羅に ワサビを擦って…

先生は 手を叩いて喜ぶ

“カツ丼 まだ ですか?
蕎麦は 食べたから”

二人 満面の笑みで 笑った。


ギランバレーに恋をして
回復期リハビリテーション
蕎麦屋にて

今日は 雨 
やっぱり 取り調べ室でリハビリかな…

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