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また私が読み返したいと思える記事をまとめています。
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#エッセイ

『あなたを独りにしないと決めた日』

もう15年以上前。私は父を亡くした。 つい昨日まで元気に生きていた人だった。 何も変わらない日常だった。 いつもと同じように笑って、憎まれ口を叩いて、一緒にご飯を食べて。 当時は反抗期だったから、ほとんど父と会話をすることもなくなっていたけど。 寝る前に母に促されて、渋々、その日は「おやすみ」と言葉をかけた。 その、ほんの数時間後の話だ。 父はあっさりと帰らぬ人になった。 事故のようなものだ。 突然、私と母は家族を奪われることになった。 父の司法解剖が終わる頃、わざ

SR400が無趣味だった私の人生にエンジンをかけたお話

私には、これといった趣味がなかった。 就職活動のときはもちろん、初めてお会いする人との無難な会話であっても、「趣味はなんですか?」と聞かれることが苦痛に感じるくらいに無趣味だった。 社会人になってからは、家と会社の往復ばかりだった。 ストレスの発散方法は、立ち飲み屋でちょっと一杯ひっかけてから帰り、ゆっくりお風呂に入ってさっさと寝ること。 週末は平日にサボった家事を片付けて、残りの時間はベッドでゴロゴロするのが幸せだった。 それでいい、十分幸せな暮らしをしていると思ってい

思うままに書き連ねることは他者には意味のないこと、私には意味のあること

■ 変化ではなく変化の兆しを掴み取る このように書くと、頭の中がすっかり ビジネスモードにつかりきっている 気がするけれど、実際のところ ここのところは時間も思考もお仕事のことに 割く割合がとても多い にも関わらず、お天気のせいで慢性的な頭痛に 悩まされていて、やらなければいけないことが 山積みであったのに、ほとんど何もできない 気圧性頭痛なのに、天気予報をあまり見よう としないのは何でなんだろう どうせ頭痛がやってくるから、もういいや、と 諦めている節はあるのかもしれ

月の姿を伝えたくなる人がいるということ

綺麗な月を見ると、思わず誰かに伝えたくなるのはなぜだろう。 まんまるの満月、くっきりと見えた三日月、あたりの雲を羽衣のようにまとった幻想的な月、手が届きそうなくらい低いところにある大きな月。 月はいつもそこにあり、普段は気にも留めていなかったりするくせに、ふと夜空を見上げて月が綺麗だと、人は誰かにそれを伝えたくなる。 その誰かは、美味しいものを食べた時に「一緒に食べたいな」と思い浮かべる人だったり、かつて一緒に月を見上げた人だったり、月の力を借りてなんらかのやり取りをす

さよなら夏休み

 ふうっ、もう本当に終わってしまうんだなあ……と。フジファブリックの「若者のすべて」じゃないけど、夏休みが終わる瞬間が最後の青春という感じがする。花火が終わって、後片付けをしているような。実際にはまだまだ青春は終わらないし、生きているうちは青春だと思ってはいるんだけど。  昨日、足をマッサージしてみたら、想像以上に張っていて。高校時代に通っていた塾で講師の方が言っていた「身体がしんどくて……」の意味がようやくわかった気がする。  まあ、そんな話は置いておいて、宿題から解放

すべては私の思い込みでしかなかった。

家庭で、ちゃんと言いたいことを言うこと。 これは私にとっては少々ハードな課題だった。 それもそのはず、幼い頃から強い感情は口にはしないことを意識しながら過ごして来てしまったのだから。 機嫌の悪いときの私や、落ち込んでいるときの私、感覚が鋭すぎる私とも躊躇なく向き合ってくれる人。すべてのそのままの私に寄り添ってくれる人。 そんな人が存在すると言う概念がそもそもなくて、 機嫌の良い私しか出してはいけないと言う思い込みがいつの間にか、心の奥深くに刻み込まれてしまっていた。ずっ

ひとりの時間、映画館のポップコーン

 平日休みをもらった。さて、何をして過ごそうかしら。さぼり続けていた部屋の片付けをしてもいいし、お菓子を作ってもいい。Netflixに溺れるのもいいな、とうきうきしていたら、同居人が在宅勤務と知った。リビングの大画面でウ・ヨンウ弁護士を観ようと思ってたのに〜〜!  同棲してよかったと、常々思う。でもこういうとき、間取りに失敗したかも、としょんぼりする。  我が家は1LDKで、リビングと寝室の2部屋だけ。基本出社の私に対し、同居人は在宅勤務の日もあって、そこに休みが被ると、

一つしかなかった夜は君と二つに分けて

 公募の結果が出たのが日曜日。それまでの間、この7月、たくさんの出会いとか、新しい体験とかあって、それはもう刺激的で、全てに意味があるような気がしている。無意味なことは何一つなくて、全てが未来に繋がっているんだと、直感した。  一緒に出した人が、最終選考に残り、私の作品は一次を通過することはなかった。私の結果は残念だったけれど、彼の作品が最終選考に残ったことへの喜びの方が優った。残って欲しいと思っていたし、なんなら受賞して欲しいと思っていたので、このまま願い通りになってほし

エッセイ本をたくさん読めば上手く書けるようになるだろうか?考えながら7冊読んだ

noteでは驚くほど上手なエッセイに出会うことがある。 すごく笑えたり泣けたり心がホカホカ暖まったり。 大抵は、書くことを仕事にしてるプロの人だったりする。 しかし中には、ただ書くことが好きなだけの人も多い。 そんな才能に出会い、素晴らしい読了感を味わえる。 すっかりnote内の文章を読み漁る事にハマってる理由だ。 読んでみると自分でも書いてみたくなる。 エッセイ調の書き方を現在進行形でやってみてる今、ナウ。 影響を受けやすいワタシである。 だんだん、使い慣れない文体

Doではなく、Beを。

早朝出勤3日目。 雨が降りそうで降らない、ここでは珍しく湿気で息苦しい朝。 お盆も終わり、だいぶ平日モード。 久しぶりの常連さんたちの顔を見て、ちょっとほっとします。 8月17日。 はちがつじゅうななにち…。 朝からなんだか心にひっかかる数字。 なんだろう。 ……………………。 あ。 予定日。 そう、11年前の長男の出産予定日だ。 結局なかなか生まれる気配なく、1週間近く遅れたので、誕生日はまだ先なのだけど。 時々ありませんか? この数字の並び、何かの日だった気

人生とは 幸せとは

私はいま ありがたいことに 生きています ここでこんなお話しをするのはどうかとも思ったのですが ちょっぴり語ってみます 1年半ほど前 私は このまま寝たら死ぬのだと 確信しました 無事に朝は来たわけですが ちょっぴり疲れてしまっていたのですね ああ、それなりに幸せだったな でも 伝えていないこと やっていないこと たくさん ありすぎるなぁ ありがとう ごめんね 愛してたよ そんな言葉がたくさんたくさん頭に思い浮かびました 人は死を覚悟するとき 悟ったように穏やかに

いちばん好きな季節がやってきた。

こんばんは、奏葉です。 ちょっと前まで梅雨に逆戻りしたような変な気候が続いていましたが、最近また夏のお天気が戻ってきましたね。 私の住む地域ではここ2日くらいで急に蝉が力強く鳴き始めて、「今年もいよいよ夏がやってきたなぁ」なんて感じているところです。 突然ですが、みなさんはどの季節が一番好きですか? 桜が綺麗な春でしょうか。はたまたキラキラした冬でしょうか。 思い浮かべてみるとどの季節にも素敵な面があるので、割と意見が分かれるところなのかもしれません。 …ですが私は何と

ひよっこカメラライフ、始動

 数年前に買ったミラーレス一眼をひっぱり出してきた。社会人1年目、初めてのボーナスで買ったカメラ、OLYMPUS PEN E-PL9。一眼レフってかっこいいなあとふんわり憧れて、でも新型は高くて手が出せずに、型落ち品を買ったのだった。遠距離恋愛だった当時、格安のビジネスホテルに素泊まりして、いろんなところに行った。観光地も、近場の公園も。出先でたくさん使おうと意気込んでいたのも束の間、流行り病で旅行どころではなくなり、キャビネットに仕舞い込んだまま持て余していた。  日常で

感じたことをそのまま書き留めると自分のかたちに影が伸びた

ロードムービーのようなにっき 丸一日、何かを感じたら、何を書こうと意識せず 浮かぶままに書き留める ー朝 誰かの落としたゴミを拾ったら 靴紐が解けかけていることに気づけた ☆ いつも通りの時間に詩を掲載したら 少しずつ人が集まるみたいにスキをつけて頂けた あぁ少しずつみんなが一日をはじめてゆく のだなあと感じた ☆ ウェットティッシュに手を伸ばしたら 中身が空のままだったから、詰め替える 誰かのためではなく、自分のためにしたことが たまたま誰かの役に立っているくら