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ひよっこカメラライフ、始動

 数年前に買ったミラーレス一眼をひっぱり出してきた。社会人1年目、初めてのボーナスで買ったカメラ、OLYMPUS PEN E-PL9。一眼レフってかっこいいなあとふんわり憧れて、でも新型は高くて手が出せずに、型落ち品を買ったのだった。遠距離恋愛だった当時、格安のビジネスホテルに素泊まりして、いろんなところに行った。観光地も、近場の公園も。出先でたくさん使おうと意気込んでいたのも束の間、流行り病で旅行どころではなくなり、キャビネットに仕舞い込んだまま持て余していた。

 日常でも使えばよかったのだけれど、なんとなく気が向かなかった。取り立てて撮るものもないし、使い方もよくわからない。カメラって、スマホみたいに直感的に操作できないように思う。そもそも用語がわからない。F値とは?露光とは??とハテナマークで頭がいっぱいになる。おまかせモードで撮った写真は薄暗くて、あまり好みじゃなかった。アートフィルターをかけてもしっくり来なかった。スマホで十分なんて開き直ったりもして、今思えば宝の持ち腐れだった。

 それが、ふと、勉強してみようという気になった。きっかけは友人とのお出かけ。少しばかり遠出することになり、久々にカメラを持って行ったのだった。私個人として、親しい人に自分の写真を撮ってもらうのは嬉しい。友人もそのタイプで、撮った写真を覗き込んでは喜んでくれた。やっぱりスマホとは違うね!その写真送って!

 やっぱりスマホとは違うね、と言われて、ああそうだよなあ、と思った。知っていたはずなのに、ようやく腑に落ちたような感覚だった。画質もぼかしも色彩の豊かさも、カメラはやっぱり一味違う。せっかく持っているのだから設定や構図を勉強して、好みの写真が撮れたら楽しそうだ。

 手始めに、身の回りにある好きなものを撮ることにした。お気に入りの雑貨だったり、心が動いた風景だったり。好きなものをかき集めて、いつか自分だけのアルバムが作れたらと思い描いたりしている。

Instagramも始めてみました


 平日が憂鬱だなあ、と常々感じていたことも、カメラを手にしようと思ったきっかけのひとつ。

 最近なんのために働いているのか(それは生活のためなのだけれど)わからなくなっている。定年までこの仕事を続けるのかなあ、とか、そんなふうに考えると鬱々としてくる。今では人間関係に恵まれて、役割ももらって、表面上はかつてないほど順調なのに、毎日が楽しいと思えない。……だったら転職すればという話なのだけれど、これといってやりたいこともなければ、挑戦する勇気もない。私の性格上、経済的リスクを背負って自由に生きるよりも、窮屈だけれど組織に属して、ある程度の衣食住を保障(「絶対」の保障はないのだろうけれど、)された上で生きるほうが向いているとわかっている。だから、これはただの愚痴。

 話が逸れた。とりあえず、好きなものを撮ることを考えていれば、平日も楽しい気分になれるかな、と期待したのだ。目の前の対象をどう切り取るか、どんな設定が似合うのか、カメラを手に試行錯誤するひとときは無心になれる。好きなもので頭がいっぱいになって、煩わしいことは忘れている。嫌なことも、憂鬱な気分も。


 そんなこんなで始めたカメラライフ、ゆるゆる楽しく続けていきたい。


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