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本場のシャトーでフランス語を学ぶ

お手頃な語学学校から高級セレブ語学学校まで、毎年、会社の長い夏休みを使って、フランス国内で色々試してきました。松竹梅とは、あくまでも1時間あたりの授業料ですが、それぞれ私の感想をご紹介したいと思います。特に印象的だった語学学校を4つほど選んでみました。

私のフランス語学習歴は、8年近くになるので、はじめの頃に通っていた学校は、当時とは変わっている点があるかもしれません。また、それぞれの授業料は、時期や年によっても異なるものなので、あくまでも目安としてお考えください。留学エージェンシー等を通すと、また違ってくると思われます。

梅:Cours de Civilisation Français de la Sorbonne(ソルボンヌ大学文明講座)

立地:パリの中心地
人数:ひとクラスの人数は30弱と多め、学期後半になると人数が減る
雰囲気:若い人が多く、人によってやる気の有り無しの差が大きい
授業のスタイル:先生の講義を聞くスタイルの座学。先生はフランス文化を支えるという意識が高く熱心
授業料:12週間計72時間で約1000€(COURS DU SOIR 夜間クラス)
サイトhttps://www.ccfs-sorbonne.fr/

ここに通われていた日本人の方はとても多いのではないでしょうか。フランス政府公認で、授業料がお手頃です。パリ市内にあり、いかにもパリという雰囲気を楽しむことができます。学期の終わりには、映画でみるような四角い帽子とガウンを着て出席する修了式があります。

会話を中心とした学習をしてきた私にとって、文法事項を再確認するのに良い学校でした。文法を学んだ後、それまでの言い間違いや、疑問に思っていたことがスッキリはしたのですが、会話のとき言葉が全く出てこなくなるという現象が起きました。頭の中で文法が駆け巡り、文章を組み立てようとしてしまうのです。「アジアの言語を話す人は、文法構造が全く違うので、文章は一から組み立てずに構文を覚えて使いましょう」といわれました。自分で組み立てると間違えるといわれているのに、文法を習うという矛盾…。

学期開始時点では教室めいっぱいだった人が、だんだん回を重ねる毎に人数が減っていくので、自分もお休みしちゃおうかなー?という誘惑にかられます。値段がお手頃な分、気が緩みやすいのです。

竹:CIEL Bretagne

立地:ブルターニュ地方の端っこ、ブレストの横にある小さな海辺の町
人数:ひとクラスの人数は10人前後、全部で11クラスぐらい。
雰囲気:各国の国費留学生が多く、若い元気な雰囲気
授業のスタイル:先生によって、歌でフレーズを覚えたり、思いっきり身体を動かしながら学ぶというダイナミックさがある
授業料:4週間計80時間で約1200€ + 個人レッスン12時間で約800€
宿泊形態:学校紹介のホストファミリー 約200€/1週間
サイトhttps://www.ciel.fr/

とにかく日本人が少ないところに行きたい!とこちらを選びました。そしたら、同じ動機で選んでいた日本人と出会うという…。こちらの語学学校は、地方では珍しい政府認定だったのも選んだ理由のひとつです。また、ホームステイ先を斡旋してくれます。自然に囲まれているので勉強に集中するのには良い環境。ブレスト市内まではバスで移動できます。

各国から送られてきた若い国費留学生が多く、みんなとっても優秀。当時の私が入ったのは、一番下のレベルで入門者のクラスだったのですが、大学入学前の元気な若い子達がどんどんフランス語を吸収していくのをみて、脳みその質の差に泣けました。「例外の単語は20個もないのかー、ならすぐ覚えられるねー!」といいつつ、翌日には全て覚えてくるような人達です。国を背負ってフランスに学びに来ている前途有望な若者と、赴任サラリーマンの夏休みでは温度が違いすぎました。昼休みは中庭で卓球したり、とにかく若い元気いっぱいな子達がたくさんいて、刺激にあふれる学校でした。

松:Institut de Francais

立地:モナコとニースの間の小さな海辺の町、ヴィルフランシュ・シュル・メール
人数:ひとクラスの人数は10人前後で、全部で8クラスぐらい。
雰囲気:社会人が多く、落ち着いた雰囲気
授業のスタイル:最小単位が1ヶ月間、朝から晩まで様々なタイプのレッスンが組み合わされている。朝食昼3食付きの集中型。宿泊先も提供してくれる
授業料:4週間計160時間で約4000€(食費、各種イベント代含む)
宿泊形態:共同アパートの個室 約1000€/4週間
サイトhttp://www.institutdefrancais.com

ハリウッドセレブの別荘が多くある町なので、セレブがパパラッチ引き連れて通うこともあるという語学学校。パリ市内に同じ名前の大手の語学学校がありますが、そちらとは異なります。アメリカ人が創立した学校で、フランスの気分を盛り上げるイベントが盛り沢山の、楽しい雰囲気でした。パーティーや、クルージングがあったり。

月の頭に入学式、終わりに修了式があり、全員が一斉に入学し、修了するのでクラスに一体感があります。朝から午後までしっかり授業。学生時代に戻ったような雰囲気の中、1ヶ月間の生活を共にするので、結構深い付き合いになります。ここで出会った人達とは、今でも仲良くさせてもらっています。日本からも省庁関係の方、商社の方が毎年来ています。

宿泊先は、旧市街地の海辺の素敵なアパルトマンでした。共同アパートの個室を希望しましたが、年齢や職業に共通点がある人と同じアパートにしてもらえるという気づかい。同じ出身国の人とは一緒にはならない配慮もあります。校内はフランス語以外の言語は禁止。そんな中、全くの入門者だった人でも、ひと月でフランス語でコミュニケーションが取れるようになるのをみました。

松の松:Millefeuille Provence

立地:アヴィニョンの郊外のLe château Correnson
人数:全校生徒、全レベルで12人以内の超少人数制。ほぼ個人レッスン状態でした。
雰囲気:23歳以上からという年齢制限有り、落ち着いた雰囲気。
授業のスタイル:最小単位が一週間、朝から晩まで、朝食昼晩の3食付きの集中レッスン。校内の建物に宿泊。外に出かけることなく、一日学校で過ごす缶詰スタイル。
授業料:1週間計30時間で約2000€(食費、各種イベント代含む)
宿泊形態:学校内にあるアパートの個室 約600€/1週間
サイトhttps://www.millefeuille-provence.com/

アヴィニョンの郊外のぶどう畑の真ん中にあり、かつてワイン農家の館だったLe château Corrensonを改装し、語学学校としています。各国の外交官が集まる、超セレブ学校でした。こちらは最短一週間からでも受けることができたので、清水の舞台から飛び降りる気持ちで行ってみました。ベルギー人の品の良い女性が校長を勤め、女性の先生が多く、大変きめ細やかな指導でした。
CIEL Bretagneに通っていた頃、若者達とのあまりの温度差に辛くなってしまい、個人レッスンの先生に、社会人向けに良い語学学校はないか相談して教えてもらったのでした。

初日の朝、レベルチェックと面談を受けるのですが、その後すぐのレッスンで、早速、私の希望に合わせたオリジナルの教材が準備されていたのには感動を覚えました。各レッスン、複数の先生が担当しますが、申し送りも完璧。午前中に間違えていたことを、午後の授業で違う先生にそれとなく確認されたりします。

朝昼晩の3食に加えティータイムまであり、優雅な雰囲気。その食事がとってもとっても美味しいのです! 夕食では、学校が呼んだゲストを囲んで食事をします。テーマはフランスの文化を中心とし、多岐に渡ります。
最も印象的だったゲストは、ラッパーの方でした。フランスにおけるヒップホップ文化についてから言葉の韻の踏み方まで、非常に面白かったです。

たまたま生徒の一人に、元ミュンヘンの有名ラッパーで、今外交官という異色の経歴のドイツ人の方がいて、「ラップで社会批判をしてきたけれど、本当に国を変えたいと思ったら外交官になるしかないと思った」と話していたのが強く心に残っています。

同じ敷地内にある宿泊施設は、かつて養蚕をしていた建物を改修したものでした。フランスでは珍しくエアコンも完備されていて、とても快適。

人との出会いが満足度を左右する

私が通った順番は、以下のとおり。

竹:CIEL Bretagne(入門レベル)
     ↓
梅:ソルボンヌ大学文明講座(初心者レベル)
     ↓
松の松:Millefeuille Provence(中級者レベル)
     ↓  
松:Institut de Francais(中級者レベル)

一番楽しかったのは、松のInstitut de Francaisです。授業のクオリティはもちろんのこと、授業の後に海へ行ったり、週末は周辺の小さな村を訪ねたり。なにより今でも時々連絡を取り合える素敵な人達との、かけがえのない出会いがあったことが大きいです。

私の語学力が一番伸びたのは、当時入門レベルだったこともありますが、竹のCIEL Bretagneでした。周囲の真面目な若い学生さん達のお陰です。

松の松のMillefeuille Provenceは、高額ですが専門的なことを学びたい人にも対応しているので、ある程度の力がついてから行くのが良いと思います。

自分を律して通う必要があるのは、梅のソルボンヌ大学文明講座。そこまで誰かと仲良くなることもなく、同じ国の人達で固まっている人が多い印象でした。

振り返ってみると、ふつうの生活をしていたら出会えなかったような人達との出会いに、私は充実感を得ていたように思います。フランス語の上達はもちろ大切なのですが、金銭的に背伸びをしたことで、新しい世界を垣間見ることができました。

これから語学学校を選ばれる、どなたかのお役に立てたら嬉しいです。

語学学校に通っていない時期は、主にこういった方法で勉強していました。

フランス語学習法はこちらにまとめています


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