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緑肥は救世主!? ~麦で農業の肥料高騰を乗り切ろう~

はじめに

『緑肥栽培』という言葉を聞いたことのある方はどの程度いらっしゃいますでしょうか?

植物の性質を利用します

緑肥栽培はイネ科やマメ科植物を活用した農業技術で、野菜などを栽培する前にこれらの作物をある程度の草丈まで成長させた状態でトラクターにより土の中へ入れていきます。
イネ科の根は地中深くかなりのボリュームで根を張るのでその根そのものを有機物としたり、マメ科は共生する根粒菌によって空気中にある大量の窒素を土中に固定することができますので、窒素肥料の軽減が大いに期待されています。

今農業界では肥料高騰の影響もあり、様々な代替肥料が検討されています。そんな社会情勢の中で根っこに土を作らせるという緑肥栽培の技術は極力作業負荷を生まずに大面積の土作りをこなせるという意味で、時間はかかりますが一般的に土作り資材として有名な畜糞を発酵させた堆肥よりも有効かもしれません。
今回は農業技術に特化した記事になりますので、基礎的な農業知識が無いと少し難しいと感じる内容になります。また執筆者は農業の現場の人間であり研究畑の人間ではありません。あくまでも作業と経費と収益性を考えながらバランスを取った結果得た技術となります。
また緑肥の種類としてはエン麦やライ麦といった麦に注力した内容になります。


1.緑肥の効力

・肥料効果

最も期待される効果かもしれません。特に窒素肥料に関してです。
緑肥を使って8年の蓄積では地域の標準施肥量の概ね3割程度を緑肥で軽減している形になっています。肥料コストを軽減する場合に投入施肥量を軽減できるというのは最もダイレクトに経費削減効果があります。

さて、緑肥を活用した場合窒素肥効を得るうえで大事なのはおそらく普及員などから薦められるやり方と真逆だと思いますが
モアによる細断をしてからのすき込みをしない』
『プラウによる天地返しはしない』

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