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台湾の映画館で「神隠し少女」を観た

台湾留学中のみなさんのTwitter投稿で「千と千尋の神隠し」が映画館で上映中と知り、得難いチャンスなのでコレは行かねばならぬと決意した。

中国の大陸側では「千与千寻」(=千と千尋)というタイトルだと聞いた気がするが、台湾でのタイトルは「神隱少女」。個人的にはこっちのほうが分かりやすくて好き。けれど名前がストーリーのひとつのカギを握っていることを考えると、「千と千尋」っていうタイトルも悪くはない。

公開20周年と銘打って上映しているけれど、「千と千尋の神隠し」って2001年じゃなかったかな? このサイトをみると台湾でも同じく2001年みたいだけど。ま、それはどうでもいいか。

まず映画館のウェブサイトを調べてみる。台湾人の知人に教えてもらったところによると、「國」とあるのが「國語」で、要するに中国語の吹き替え版。「日」とあるのが日本語版である。

日本語版にはもちろん字幕がつく。ただおもしろいのは台湾では中国版にも必ずといっていいほど字幕がつくこと。

台湾にはいわゆる標準的な中国語以外にも台湾語(閩南語)や客家語など別の言語を母語とする人々がいる。必ずしも全員が中国語を完璧に聞き取れるわけではないので、そういう彼らでも映画を楽しめるようにという配慮らしい(なのでテレビ番組もほぼ字幕がつくし、最近ではYouTuberたちも字幕をつける人が多いと聞いた)。

中国語の勉強にならないと意味がないので、今回はもちろん國語吹き替え版をみることにする。サイトでは会員にならないとチケットを買えず、その会員になるには現地の身分証?番号の入力が求められた。ので、今回は直接、映画館に足を運んだ。

今回選んだのは「台南大遠百威秀影城」という映画館。同じく「威秀影城」ブランドのシネマコンプレックスは台湾に全部で17拠点(そのうち台南だけで3拠点)あるようなので、なかなかの大手なんだろう。内部の雰囲気や構造は日本のシネコンとほとんど同じ。

藍色になっているのが販売済み席

まずは自動の券売機でチケットの購入を試みる。上映10分前くらいで、こんな感じの席の埋まり具合だった。日本人としてはもちろんもっと埋まってほしいところだが、まあ20年前の作品なんだからこんなものだろう。

台湾ってVISAとかマスターカードのロゴがついていても「国外のクレジットカードはつかえません」って言われることが多い。この自動券売機もダメだった。しょうがないので有人カウンターに並ぶ。この時点で上映開始5分前。レジ横にポスターが掲げられていたので、チケット購入は楽だった(ちなみに少女の少は4声、shào)。

A3版くらいのポスターをもらってチケット購入完了。ようやく劇場内に入る。11時05分の開始予定の回だったが、チケットを買うのに列に並んだこともあり、おそらく5分遅れくらいで入ったはず。だが、これも日本と同じで最初は別の映画の宣伝が流れていて、本編の開始前には席に座れた。劇場内はやはり子供連れが多い。

上映開始。なんとなくストーリーは覚えているから、とにかく字幕を追う。たとえば最初にお父さんがトンネル入り口の門をさわって「なんだモルタル製じゃないか」っていう場面があるが、そこでは「水泥(セメント)」という単語を見つけて、あーこれHSK6級の単語集でついこのまえ見かけたなあ、みたいな調子。

(映画館の会員登録の勧誘CMが流れているときに撮っています)

そのあとお父さんが続けて「これはバブル時代のテーマパークの残骸だよ」みたいなことを言うが、ここでも「泡沫經濟」「主題公園」を見つけた。そのあと千尋が「これは夢だ! 覚めろ」みたいなことを言うところは「醒過來,醒過來,我在做夢想,一定是做夢」だったと思う。

ハクは「白龍」。ハク、名乗った時点で自分が龍であることをネタバレしてしまっている。ちなみにハク様は「白先生」。さらにカオナシは「無臉男」=顔なし男。このカオナシのことを、従業員たちが「大方的客人」(気前の良いお客さん)と呼んでいる場面もあった。この「大方」も最近なんかの新出単語として勉強したばかり。

個人的に1番気になっていたのは名台詞「ここで働かせてください」。これはとってもおもしろくて、千尋の語気の強弱に応じて言葉選びが変わっていた。

(1)求求你,讓我在這裡工作。
(2)請問,我可以在這裡工作嗎?
(3)請你讓我在這裡工作!

うろ覚えだけど、(1)が最初釜爺に恐る恐る聞いているとき、(2)が湯婆婆に最初お願いしたとき、(3)がなかなか取り合ってくれない湯婆婆にもう一度強くお願いしたとき。日本語だとすべて「ここで働かせてください」だった気がするけれど、どうだったかな?

あともう一つの名台詞「千はどこだ、千を出せ」は「小千在哪裡,叫小千來 」でした。

日本の映画の中国語吹き替え版、Netflixとかでも観れるんだろうけど、やっぱり映画館だと集中力が違う。筋を覚えている日本の映画ってあんまりないので、今後もジブリ作品を上映してほしい。


【2022/09/16の日記】

午後、大学の語学センターが企画してくれた市内ツアーに参加。孔子廟は2度目だったが、このまえの廟めぐりで経験値がたまった結果、1度目のときより興味深く見学できた気がする。

たとえばこれらの揮毫、蔡英文・馬英九・蔣中正・蔣經國と揃い踏みしているのを発見してニヤリとした(李登輝はいないのかな?)

机に向かっての勉強時間は2時間9分。

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