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ポコ♪の猿でもわかる「孫子の兵法」15【無料お試し版】

行動の選択肢を増やして重圧を軽くする

■感情をコントロールして視野を広くする

『孫子』は危機を前に、選択肢の広さに拘りました。

「戦争の仕方は、次の原則にもとずく。

10倍の兵力なら、包囲する

5倍の兵力なら、攻撃する

2倍の兵力なら、分断する

互角の兵力なら、勇戦する

劣勢の兵力なら、退却する

勝算がなければ、戦わない」

戦場を目の前にして「退却する」「戦わない」という選択肢さえありえる。

『孫子』は、私たちに選ぶことができる複数の道を示してくれます。

新規事業の検討会で、あえてやらないことを選択できるか。

赤字だが長年努力した事業から撤退することを選べるか。

こうした判断を阻害するのは感情なのです。

感情が、視野を極度に狭くすることを孫子は熟知していたのでしょう。

彼の恩人は、怒りで周囲が見えなくなり、悲劇のうちに憤死したのですから。

■『孫子』の最大の効能の一つは、選択肢を無限に広げてくれること

もう〇〇しかない、と思い込む危険な状態。

それは依存や希望的観測と同様、極めてもろい姿です。

追い込まれ、視野が狭まることは弱さの象徴なのです。

『孫子』は古代から現代まで2500年間、指導者に選択肢を与えてきました。

戦い方の幅を広げる、撤退する、そもそも戦わない。

戦争を前にしたリーダーにも、無限の選択肢があると教えてきたのです。

「音階の基本は、宮、尚、角、微、羽の5つにすぎないが、その組み合わせの変化は無限である。色彩の基本は、青、赤、黄、白、黒の5つにすぎないが、組み合わせの変化は無限である。味の基本は、辛、酸、塩、甘、苦の5つにすぎないが、その組み合わせの変化は無限である。それと同じように、戦争の形態も「奇」と「正」の二つから成り立っているが、その変化は無限である。「正」は「奇」を生じ、「奇」はまた「正」に転じ、円環さながらに連なってつきない」

『孫子』は過去の戦史から多くの選択肢を見つけています。

申包胥(しんほうしょ)という人物は、親族を殺された楚国に恨みを持つ伍子胥が「必ず楚を倒してみせる」と語ったとき、まあ頑張ってみたまえ、君が倒したら、私が立て直してみせるからと言いました。

事実、彼は伍子胥が呉の軍勢とともに楚を破ったとき、戦火から逃れて秦の哀公に助けを求め、七日七晩飲まず食わずで嘆願して哀公を動かし、楚を救います。

何一つ持たない人が、一国を救う選択肢さえあるのです。

個人でも経営者でも、大きなプレッシャーと戦うときがあります。

『孫子』は無限の選択肢を見せて、私たちに冷静さを取り戻させてくれるのです。

・・つづく・・

【参考文献】『今すぐ使える!孫子の兵法』(プレジデント社)鈴木博毅著

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戦争という極限状態では、敗北はあらゆる悲劇を意味します。敗北はすべてを奪われ、勝者がすべてを手に入れます。『孫子』はおもに将軍職を対象に書かれており、その立場は現代ビジネスならマネージャー職にあたります。リーダーである人物が、会社や組織、チームの中でどのような活躍をすべきか?日本、海外問わず経営者や管理職に『孫子』の愛読者が多いのは、単なる兵法ではなく、そこに人間という存在への鋭い洞察が含まれているからでしょう。是非『孫子』を人生に活かし勝利を手にしてください。

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