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17_これからの意思決定について、思うこと

▼このテーマを読んでほしい方
・起業したてで、判断に迷う場面が多い方
・事業責任者など、組織内での意思決定を仕事にされている方
・自分の判断軸を定めたいと思っている方
・価格の設定に悩んでいる事業主の方

■「決定力はあるが、材料がない」という問題


今回は、意思決定について。
特に「判断材料が限られた中で意思決定」をテーマに書いてみます。

意思決定」というと、
大きな組織のトップ層が、判断材料となるものを四方から集め、
選択肢を十分に吟味し、検討を重ねて、
戦略的かつ厳かに下すものというイメージがあります。

ただ現実のビジネスシーンでは、
十分な情報が出そろうのを待って判断できる状況は、ほぼありません。

組織の規模によって、情報把握のしやすさなどの違いはありますが、
基本的には、断片的な情報(点)を繋ぎ合わせて、
仮説を立て、よりベターな選択をし続けるような、試行錯誤です。

これが起業の初期フェーズになると、資金やノウハウも少なく、
かつ検証材料も母数が集まらない状態で、正確な意思決定や、
サービスのピボットを求められていくことになります。

・いま、ここでこの提案に乗るべきなのか。
・サービスや商品の価格設定は、適正なのか。
・誰に意見を聞くべきなのだろうか。
・そもそも今、やっていることは果たして正しいのだろうか。

など、仕事をしていれば、起業家や経営者でなくとも
誰もが一度は悩むようなポイント」だと思います。

しかしながら、どんなに優秀なアドバイスを得たとしても、
意思決定は、他人には任せられません。
風穴は自分(自社)でしか空けられないのです。

自分の意思決定が周りに及ぼす影響の重さを理解しつつ、
それも一人で決めるしかないという状況は、
経営者は孤独」だと言われる所以だと、個人的に思います。

なので、今回は、特に起業家やアーリーステージの経営者、
もしくはこれから起業を検討しようと考える方に向けて、

過去の経験を踏まえて「意思決定」において
大事にしたいポイントを書いてみたいと思います。

■判断材料がないシーンで大切にすべきこと


1.「人として正しいこと」を軸にする
2.「価格」には覚悟で決める
3.全く異なる視点や意見を遠ざけない
4.違和感を放置しない

1.「人として正しいこと」を判断軸にする


かの、京セラの創業者である故・稲盛和夫氏は、
迷ったときは「人間として正しいことは何か」を判断のベースに、と
ご自身の経営哲学・フィロソフィを、多くの著書等で語られています。

筆者は、最初のうちは、何万人もの大きな組織を統べる重責を抱え、
正しい意思決定を重ねてきたトップだからこそ言える、
経営者に向けられた「金言」なのだろうととらえてました。

勿論そういった側面もあるかとは思います。

ただ、筆者も独立して、最近思うことは、
これは組織の大小は関係ないことであり
一個人としても、守らねばいけないこと」だということです。

なぜかと言えば、
個人・法人は関係なく、根底に正しさや規範となるものを
 備えていないと、そもそも長期的にビジネスは続かないのだな

と思ったからです。

例えば、独立直後は、まず売上をあげて、自分(と仲間)の
食い扶持を稼げるようにするという努力から始まります。

そんなときほど、
「これだけやれば、上手くいく」
「〇〇をやれば簡単に稼げる!」
といった俗にいうおいしい話が、耳に入ってきます。

また組織人だったとしても、自分が組織を率いる側に回れば、
業績だけを追うではなく、メンバーのマネジメントを行い、
チームを成長に導くという重要なミッションも背負うことになります。

そういった誘惑や、周囲からのプレッシャーの中で、
基本的に未知のことに対して、正しくかつスピーディに
判断を下すことは、とても強い意志が必要だと思います。

余裕がないときほど、
目の前の「稼げそうなおいしい話」につられてしまうかもしれませんし、
組織の長であれば、決めることを恐れて動けなくなったり、
責任転嫁をしたくなったりすることもあります。

だから、こんな時こそ
人として正しいことで判断する」という、
心の中心に置いておくのは、大事なことだと思うのです。

ただこれだけでは、ただの「金言紹介」になってしまいます。
なのでここに付け加えたいのは
迷ったときは、正しいと信じることで判断する」ことです。

これは、いわゆる「価値観」とか「理念」などにも通じることです。
そして、ここが、人間社会にとって必要性・有益性と、
ベクトルがあっているか
が重要な要素だと思うのです。

以前、書いた記事で触れた内容ですが、
自分自身の「バリュー」を言語化するススメです。

ちなみに、以下は筆者のバリュー(価値・判断基準)です。

「清く」 :誰に対しても誠実であること
「正しく」:本質を常に考えつづけ、原理・原則を考える
「美しく」:互いの価値観・背景を理解・尊重し、必ず
      前進する方法を模索しながら、物事を実現に導くこと


正しいと信じていることが、相手や周りを幸福にすることに通じるか
が、意思決定による自身のビジネスの成長や、チームのパフォーマンスを大きく左右することになります。

これは一朝一夕で固められるものではなく、経験を通して、
どんどんアップグレードをしていく類のものだと考えています。

なので、もし「自分の意思決定の判断基準を持ちたい」という方は
なるべく早い段階で言語化してみることが大事だと思います。

2.覚悟を以って価格を決める


少し各論になりますが
価格設定」も、頭を悩ませる意思決定の1つです。

商品・プロダクト・人財紹介など、わかりやすく目に見えるものから、
自分の時間やスキルを提供する、コンサルティングやサービスまで。
この世のあらゆるものには、値段がつけられています。

ただ後者は、特に値段がない分、
いくらにすればいいのか、見当がつけづらいものです。

特に起業したての方にとって
価格設定」は、難しい問題だと思います。

前々回のエントリーで触れていますが、
必要以上に、安く見積もりをしすぎたり、
トライアルや無料を押したりすることは、注意が必要です。

仕入れなどの原価がかかる商材の場合、その変動に応じて、
売値を変えることは比較的容易です。

ただ、サービスやコンサルティングなどの場合は、
おいそれとは改訂しづらいものです。

仮に、聞くたびに、ころころ価格が変わるサービスが
あったとしたら、検討するほうは不安に思いますよね。

ただ、提供する側としては、
一度、この価格で行こうと決めたとしても、
本当に今の価格で良いのだろうか…」
という懸念は頭の片隅に残っているものだと思います。

プライシングについては、同業社の価格や、業界相場など、
色々な参考情報や決め方・考え方が存在します。

筆者としては、
自分の提供する価値に対し、覚悟を決める
ことから始まると思っています。

例えば、価格を「時間単価」ベースで設定していたとしたら、
それだけの価値を相手に提供すると決めることでもあります。

例えば、筆者は主に新規事業の開発などのご支援をしていますが、
周りで、同様のご支援などをされている専門家は、
時間単価の換算で50,000~100,000円くらいで設定している方も、
結構いらっしゃいます。

それが高いか安いかという議論は置いたとして、
言いたいことは、それなりの価格を設定している方の多くは、
それに見合う仕事(価値)と、
そこにどのような結果を提供するかということに
明確なコミットや算出のロジックを持っている
(場合が多い)
ということです。

もちろん、その仕事に価値があるかどうかを
認めてくれるのは顧客側ですが、

まず顧客側に、価値を検討してくださいと頼むよりも、
自分の提供する仕事が、相手にどんな未来に導くのか
相手が頭の中で具体的に想像できるレベルで語れるようにしておくこと。

それをするには
「必ず損をさせない時間・サービスを提供するのだ」
と、提供する側が覚悟を決めて、研鑽を積むという表現が、
しっくりくると思っています。

これとは逆で、良いサービスをより安く提供したいからと
価格をぐっと下げることもできますが、
あまりに割安なレベルになってしまうと、
自分が提供する仕事の価値について、自他ともに正しく認識する機会
遠ざけてしまう可能性もあります。

「安かろう悪かろう」という言葉に代表されるように
安い=値段相応ではという心理も働いてしまうため、
一概に、安いことだけが正義だとは言えません。

なので、プライシングに迷ったのならば、
まず自分がクライアントに提供したい成果を想像し、
そこからいくらにするべきか、を覚悟とともに決めることが必要です。

3.お金についての意見を遠ざけない


意思決定において、誰かの意見を参考にしたいというときの話です。

決断に迷ったり、新しいビジネスを企画したりするとき
まわりに相談をされる方は多いと思います。

経営者仲間、業界経験者、その他同じ悩みを持っていそうな方、
新規事業のインタビューなどであれば、ターゲットに近しい方などが
浮かびやすいかと思います。

勿論、どんなに丁寧に説明をしても、相手には断片的に伝わります。

その時に、善いところを言って下さる方もいれば
辛口なダメ出しをされる方もいます。

ただ結局、自分が既に考えていたこと以上の
気づきがないというパターン(確かめ作業になる場合)

結構ないでしょうか。

もちろん、仮説検証を初めから意図していたならいいのですが
意思決定にあたって、新たな気付きを得たいという場合、
意見を頂ける分にはありがたいのですが、何か消化不良です。

なのでこれは、質問項目の話になりますが、
特に、これがビジネスアイデアや、事業のことに関するケースであれば、
お金を出してまで解決したいか」を含めることが必要だと思います。

これは
お金になりえなさそうなことを一生懸命決定しようとしている
に陥ってはいけないなということが背景です。


これは2のテーマに大きく関連するかもしれませんが、
課題には感じてても、お金を払ってまで解決したいかは微妙なこと
は、世の中にたくさんあります。

よく、話をすると、「お金周りのことは全然まだ固めてないです」
ということはあります。

ただビジネスにおいて価値を提供する行為は、必ずお金という
媒介が必要なので、ここは先に確認しておいた方が良いと思います。

折角考えていたことが、
そもそも事業として成立しなかったということを防ぐために、

ここは、価格設定をするにしても、方針転換やピボットをするにしても
結構先につかんでおいた方がいいことです。

お金のことは、センシティブで聞きづらいよということもあるかも
しれませんが、逆に、ターゲットとは遠めの予備知識のない人をおすすめします。

逆に知識がない分、意見を言ってくれたり、
それは高い、安いという意見も言ってくれたりするのと

その感覚が、業界内では常識外だったとしとも、
人が持つ感覚としては意外と当たっていることも多いので
参考になることは多いというのが筆者の考えです。

4.選択肢は常に限られたものであることを知っておく


最後ですが、「見えている選択肢はすべてではないということ」
知っておくことです。

個人的には、これが前提にあるかどうかが一番重要だと思います。

感覚ですが、仮に今ある課題の解決策が100個あったとして
普通の人が思い浮かぶのは、大体5個前後、
どんなにすごい人でも10個くらいだと思います。

もちろん訓練によって伸ばすことはできるかもしれませんが
それには、たくさんの経験や知啓が必要です。

加えて、これは平常時の話です。
焦りや余裕がなくなってくれば、選択肢が
極端に狭まってしまうのが人間の心です。

これも持論ですが、精神が疲弊してしまうことの一因は
もう選択肢がないと思い込んでしまうことだと思います。

逆に、「まだ選択肢は、自分が知らないだけでたくさんある
という心をもって、ある一定まで考えたならば、
割り切って、どんどん調査をする、先に進んでみるということは
非情に大事なのだと思いますし、
その方が、結果として成長をし続ける原動力になると思うのです。

人によっては「思考停止だ」と捉えられるかもしれませんが、
良い選択肢を探し続けて、悶々として動けなくなってしまうよりも
いま手持ちから最良のものを選び、トライ&エラーをすると
その先で選択肢が広がっていきます。

まだ経験の浅い筆者が言うのもなんですが
「経営者は、楽観的でありなさい」というのも
希望や上手くいく方法はがどこかに必ずあるとうことを
心に据えなさいということかもしれません。

まとめ:最後は、自分の信念に従う


今回は「材料のない意思決定」について、書いてみました。

最後のトピックに関連しますが、
今後、「選択肢を出すということ」については
「AI」の独壇場になっていくと思います。
人間では、そこには既に太刀打ちできません。

ただ、決めることは、やはり人間にしかできません。
そうなると今度は
選択肢がありすぎて、決めることができない」という
逆の状態に陥るかもしれません。

やはりその時には、
自分がどこに進みたいのか、どうありたいかに従うこと
非常に大事だと思いますし、それを周りや顧客、
またチーム、メンバー、上司などにも発信することも
また必要だと思います。

そういうことは優秀な経営者だけが、持っておけばいいのではなく、
これからは、個々人が意思決定をしなければいけず、
その判断軸を持つべき時代になっていくのだと思います。

ということで、今回は〆たいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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