フォローしませんか?
シェア
turtle
2022年2月23日 11:59
「いいなぁ~雪ちゃんは。再就職活動が出来て。」 姉の”いいなぁ~病”がまたはじまった。この人は小さいときからそうだった。高校も大学も、塾に通っては辞めるの繰り返しなのだから、志望した学校には当然受からない。 習い事にしてもそう。姉、葉那が小学2年生の時、友達の家にあったという理由でピアノを始めたいと言い出した。両親がやっとの思いで購入してから3ヶ月後、彼女がレッスンを休みがちになったとピアノの
2022年2月23日 17:33
転職時期を逃した就職活動は困難を極めた。就職はおろかバイトですら難しい。そもそもなぜ最初の就職をやめ、期間が開いたかという事情を突っ込まれると説明しずらい。それでも取り繕ってバイトにありついても、決して手際が良いわけではないし、無駄に高学歴のため、周囲から疎まれ、試用期間で解雇となる。そして作業というのは体力を使うため、週3、4が限度で、それも昼間と体で分かった。しかしそのような仕事はすでにパー
2020年6月29日 17:30
就活破れ大学院入れず縁談終わり......と愚痴ってもしょうがない。私は自分の人生の目標の一つとして、甥に勉強を教える事を当てた。 しょうもない義兄は甥に飲み込みが悪いと直ぐ腹を立て、教える事を放棄するらしい。仕事の後疲れているのは分かるが、それでは子供はたまったものではない。大体分からない奴に限って偉そうなのだ。私は家庭教師のスキルをフル活用し、甥に接した。 子供に勉強を教えるのは楽し
2022年2月23日 17:01
「雪ちゃん、なんで就職しないの?」 甥からの毎月恒例の質問だ。発達障碍児である甥の通院は私そして姉の実家の方が近いので、甥一家は毎月2泊し、義兄の家では食べられそうもない母の手の込んだ料理を堪能し、甥の学習指導を私にさせ、十分堪能した後、朝一番で甥のかかりつけ病院を受診するのだ。まさか君のお母さんが叫んで再就職活動が滞ったとも、君のお父さんが義母の歯の治療を私の再就職よりも優先させたとは言えない
2022年2月23日 16:21
「お袋の歯の治療があるからさ、自宅にもうしばらく居ろよ。」 姉が義兄から電話を受け取ったのは、私の再就職年齢制限36才の3カ月を切った時だった。もう少しだけ、あと少ししたらこの人は出ていく、そしたらラストスパートで再就職だ、と望みをかけていた私の願いは見事に打ち砕かれた。厚さ5㎝にもなり、もうどれだけ送ったか分からない履歴書を両手に私は訴えた。「もうお姉ちゃん出て行ってよ!お義母さんと暮らせ
2020年6月19日 10:42
「死ぬ~!」 姉は2階の寝室から喉が引きちぎられそうな声で叫ぶ。1階の洗面所から駆け上がった私は淡々と2重窓を閉め、カーテンも閉める。向かいの住民は目を背けて奥に引っ込む。彼らが私と口を利かなくなり、ゴミ出しの時に顔を背けるようになって久しい。 ベランダに向かおうとする姉を仁王立ちで遮り、泣き崩れる姉をベットへと向かわせ、機械的に背中をさすり、声が漏れないように口元に当てるよう枕を渡す。ある程