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練炭自殺すれば?ー姉妹仕舞い

 転職時期を逃した就職活動は困難を極めた。就職はおろかバイトですら難しい。そもそもなぜ最初の就職をやめ、期間が開いたかという事情を突っ込まれると説明しずらい。それでも取り繕ってバイトにありついても、決して手際が良いわけではないし、無駄に高学歴のため、周囲から疎まれ、試用期間で解雇となる。そして作業というのは体力を使うため、週3、4が限度で、それも昼間と体で分かった。しかしそのような仕事はすでにパートの主婦が占められており、彼女らは子供の学費、生活の為に死守し、新参者の入る隙などないのだ。
 姉は義兄との偽りの仲が復活したらしい。こちらが失業したと聞いては喜び、私が一人つまり両親の居ない隙を狙って
「雪ちゃん、もっと現実みたら?私の子だって時給100円で働くのよ~。職安に行け!」
と怒鳴りつける。
自分が実家に居座ったために妹が年収700万から週5日で年収20万円に減額しても、姉にとってはどうでもいいのだ。いや、週5働けないので実質0円だ。そんな私をせせら笑う。
 職安にて、持病持ちなど扱いに困るだけなのだ。障碍者ならば法定雇用率に貢献するので企業にも紹介出来る。しかし中途半端な病人なんて、どこが引き取ってくれよう。
今でも夢に出る。職安で60分罵倒された事。周りの引いた眼。
しかし一番堪えたのは、姉の「練炭自殺すれば?」の一言だった。
職安で持病持ちの為の研修を受けた後、就職相談をしたら、公衆の面前で精神病ではないかと罵倒されたのだ。私は1時間近く立ったまま聞かされることになった。体調を崩した私はかかりつけ医に相談した。そもそも精神病かどうかは職安で判明することではないし、甥の件もあるので念を入れて精神科を受診しテストを受けたが正常の範囲であった。
その件を姉一家の来訪時に、2階で姉にだけ打ち明けた。すると「えっそうなの?」と目をまるくした。この人は良く分かりもしないのに人にやらせる。でもこれで私の状況も理解してくれたろう、と立ち上がって皆のいる一階へ向かおうとすると
「ああ、息子が心配だわ~。えっ雪ちゃん?」
八重歯むき出しで笑い、
「あんたなんて練炭自殺すれば~?キャハハ。パーパだって雪ちゃんが悪いって言っているんだからね!。」
スキップをして部屋を出て行った姉を茫然と見送った。


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