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【理論】品揃えと価格論⑤ 「間違いない」お店を作るには?

いらっしゃいませ。
本日も小売王_マグロ大使のnoteにご来店有難うございます。

引き続き「品質の下限」についての解説です。
今回はこのポイントが、お店の信頼度にどう作用するかについてお話しします。

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売価下限あたりの商品は良く売れる

売価を安くすれば売れ数は増えていきますが、1個当たりの利益は減っていきます。掛け算をすれば合計の売上高や荒利益高が出ます。

しかし売上数は利益の減少に応じて伸びるのではなく、その価格のイメージで段階的に伸びていきますから合計は単純比例にはなりません。利幅が下がる以上に売れ数が伸びるところが最大利益になります。

そしてその売れ数がブレイクしする価格が品種ごとにあります。

例えば相場500円の弁当を398円で売ると1.5倍になり、348円にすると2倍になるが、298円になると突如10倍になる、といったことです。

この298円で売り上げが激増するのは、顧客が安いと思う売価下限に近いからです。「これは底値だ」と直感するのです。

ではやはり、売価下限を重視するのかというとそうではありません。
重視するのではなくお客様の肌感覚は知っておかなければなりません。
あくまで「品質の下限」をまずクリアして、その中で顧客が感じる売価下限に近いものを選んでやると売れ数が大幅に伸びます。

売価をそれ以下にすると売上の伸びは鈍化しますし、むしろ下がってしまうこともあります。つまり客が怪しむのです。

価格を単純に下げるために、一目でわかる低品質な商品を並べている店もたまに見ますね、どちらにしても客はなかなか手に取りもしません。

ここを狙うと、利幅が下がるのに売れ数は伸びませんからトータル利益は下がっていきます。

「安い」お店と「間違いない」お店

この顧客が感じる売価下限は、それぞれの品種ごとに違いますし、業態によっても違います。それから実はお店によっても違います。

それは、そのお店の品質が顧客に信頼されているかどうかで変わります。ストアロイヤルティとも言います。

「この店は安い」というのはよく聞きますが、たまに「この店で買うものは何でも間違いない」というのを聞くことがあります。
これはどちらも人気店ではありますが、決定的な違いがあります。

この「間違いない店」は、そのお店の顧客に「品質の下限」がピッタリである上にぶれないから、何を買っても「間違いない」のであり、品揃えが信頼されているお店です。

顧客をよく見て「品質の下限を決める」ことが、この状態を作りあげるために欠かせません。ここをクリアした中から商品を選び、価格設定をするのです。

圧倒的な客の信頼を得ていますから、少々上に価格を設定して利益をしっかり確保した安定経営を狙うこともできますし、安めに設定して、鬼に金棒の人気店になることもできます。「安くて間違いない」お店ですね。

「間違いない」と限界が変わる

売価の話に戻りますが、一般的に298円までは安くするほどに売上げが上がるが、それ以上安くしても売れ数は伸びないという商品も、この店なら278円でさらに売上数が伸びます。

「品質の下限」をしっかりと守り、それを言葉にしなくても客に伝わっているこのお店で買うものは「間違いない」からです。

普通のお店なら怪しまれて客の手が伸びなくなる278円も、このお店なら、「このお店の商品でどこよりも安いなんて!」と歓喜で迎えられます。

この時点で地域の需要を寡占化した、No1のお店になります。
ただし、利益を確保できるかどうかは別問題です。

安くするには原価をさらに引き下げる、運営コストを下げるといったような違う技術が要ります。
このような人気店になると、組織も店舗もともに規模を一回りも二回りも大きくしなければなりません。企業としての準備が要ります。

値段を下げるために量販店の手法は、単なる薄利多売だけではありません。仕入原価を引き下げるための動きも、買いたたきや現金仕入れなどといったメディアで取り上げる様な単純なものだけではありません。

しっかりとした知識と理論武装に基づいた取り組みが必要です。

品質下限をクリアして、客感覚で売価下限に近いところにもっていくのが、無難に売上および利益を最大化する方法です。まずはこれが実務でしっかりと実践できるようにして、自分の技術として身に付けましょう。

つづく

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