方向性で考える幸福論

半分水の入ったコップを見てどう考えるか
そんな思考法が一時話題になりました
これは実は以前と比べて今の状況がどうなっているかという話です
たっぶり入ってた水が半分こぼれたのなら人は嘆くし
空のコップに待望の水を手に入れたのなら人は歓喜します

今何を所持しているかではなく
その場所にどうやって来たのか
下から上がって来たのか
上から落ちてきたのか
それがその人の幸福を決めるのです

あなたは刑務所に入りたくはないでしょう
しかし北朝鮮やアフリカの紛争地帯、難民キャンプで食料の乏しさに苦しむ人々が仮に日本の刑務所に入ったら何と思うでしょう？
雨風を凌げて三度の食事、病気になれは治療も受けられる
「ここは天国か」と思うのではないでしょうか

一世を風靡した大女優
豪邸に住む彼女をあなたは幸せだと思いますか？
年々衰えていく美貌
男性にチヤホヤされる場面も減っていく
仕事も減り少しずつ世間から忘れられていく
「色々な物を失った」
「こんなところまで落ちてしまった」
彼女がそう感じているなら
間違いなく不幸です

スポーツ選手が毎日の練習に手応えを感じ昨日できなかった技が今日はできるようになる
試合や大会でも結果がでる
成績が上がり収入もあがる
ファンも増える
当然彼は幸せです
上へ上へと登っている真っ最中ですから
しかしやがて肉体的年齢的な限界で引退する
その時彼は不幸だと思いますか？
その状況を「悔しい」としか思えないなら当然彼は不幸です
しかし「さあ次はなにをやろう」と
新しい夢をいっぱい抱えてワクワクしているとしたら
彼は幸福で間違いありません

幸福であるか不幸であるのかは
現在何を持っているか
現在何ができるか
そんな事は全く関係ありません

簡単な事です
自分が今まさに
「上へ上へと上昇中だ！」
と思えるのが幸せな人
「このままじゃ
　あれもなくなる
　これもなくなる」
そうやって残念がるだけなのが不幸な人です
たとえ今現在は豊かな人生をおくれる要件が何でもそろっていても
「自分は下に落ちつつある」
見ているのはそれだけですから
その人は不幸でしかありません

「守り」に入るのも
すでに落ち始めている不幸な人です
食べていくための仕事と収入源を
自分に自信をもたらす地位と肩書を
積み上げてきた経験と実績を
人を教え導くための説得力と影響力を
それらを守ろうと必死にあがく
時に若手の足をひっぱり
時にライバルの邪魔をし
自分を評価してくれない相手を悪しざまにののしる
ポリシー価値観こだわり、それら自分がこれまで正しいと信じてきた生き方をもったいぶりながら皆に教える
自分がどれだけ頑張ってここまできたか大仰にふれまわる
「今の自分の場所を守らなければ」
「ここは譲れない私の定位置だ」
そんな発想を持つ時点ですでにその人は下へ下へと落ち始めています
守ろうとしていた大事なものが
全部失われてから不幸になるのではありません
その人の顔がどっちを向いているかなんです
今この瞬間にどっちに進んでいますか
上ですか？下ですか？
ただそれだけの話です

これまで獲得し大切にしてきたあなたの人生の証の数々
それらのたくさんの重みを
背中で支えようとすれば
見えるのは下だけ地面だけになります
そこですでにあなたはゆっくりと落ち始めているんです
下へ下へと落ちつつある不幸な人になっています

自分がさらに高みを目指すためのヒントを
自分の新しい可能性を見つけるヒントを
自分の価値観を更新するヒントを
周りのすへての人から
ほとんど暴力的にかき集め搾り取ろうとする
そんな恐ろしいほど強い探究心と貪欲さを持って
常に上を目指し登り続けていく
それほどの上昇志向があっても
変に無理してる訳でもなく
あくまでもそれが自然体　
そういう人こそが最強の幸福者です

怪物のような吸収力で
常に全力疾走しているような子供もいます
自分が進化し続けていることを
瞬間瞬間に体感できていますから
無敵です
本当に無敵です！

さて今あなたが見ているのは
これから登っていこうとしている
見つけたばかりのちょっと面白そうな山道だったりしますか？
それとも抱えている大切な荷物の重みで
ぬかるんだ地面にゆっくりゆっくりと沈みつつある自分の足でしょうか？