【新連載】真夜中の森を歩く 2-2
ミツロウは日曜礼拝には毎回参加した。母がミツロウを必ず連れて行くのだった。聖書の言葉や前田さんの説教が鼓膜を震わせたが、その言葉の意味について深く考えることはなかった。
日の光によって現れる半透明の物体を飽きることなく眺めていた。それはミツロウだけの世界だった。誰にも邪魔されず、一人でいることに惨めな思いをせずに済む場所。ミツロウは日曜礼拝が好きだった。
「きみはいつも必死でなにかを眺めているね」
母と話していた前田さんがミツロウに声をかけた。ミツロウは驚いて前田さんを