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真夜中の森を歩く

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昔に書いた小説です。重め、暗めの近代小説です。お暇がある方は、読んでみてください。
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2020年5月の記事一覧

【新連載】真夜中の森を歩く 4-2

淡い色をした表紙の絵本が床に転がっていた。ナナちゃんはそれを拾ってミツロウのすぐ側にある…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 4-1

高校へは案外簡単に入ることができた。ミツロウが入れるような高校を中学の教師が選んでくれた…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 3-4

「お母さんは本当に気の毒な方でした」 前田さんはミツロウの方をポンと叩いた。人気のない教…

takayama
4年前

【新連載】真夜中の森を歩く 3-3

母が死んだ。それは突然の出来事だった。だれも母のその行動に気が付くことはなかった。 予兆…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 3-2

秋の風が頬を撫でた。ミツロウは高い空を見上げた。 「天高く馬肥ゆる秋」 母の隣に座ってい…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 3-1

身長が母を追い越したのは中学二年の秋だった。体にも変化の兆しが見られた。腋や睾丸に毛が生…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 2-2

ミツロウは日曜礼拝には毎回参加した。母がミツロウを必ず連れて行くのだった。聖書の言葉や前田さんの説教が鼓膜を震わせたが、その言葉の意味について深く考えることはなかった。 日の光によって現れる半透明の物体を飽きることなく眺めていた。それはミツロウだけの世界だった。誰にも邪魔されず、一人でいることに惨めな思いをせずに済む場所。ミツロウは日曜礼拝が好きだった。 「きみはいつも必死でなにかを眺めているね」 母と話していた前田さんがミツロウに声をかけた。ミツロウは驚いて前田さんを

【新連載】真夜中の森を歩く 2-1

小学校はミツロウにとって楽しいところではなかった。給食の前に祈りを捧げるミツロウを皆はバ…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 1-4

母の手に揺すられミツロウは目を覚ました。椅子の列の真ん中にある通路を男性が歩いていく。黒…

takayama
4年前

【新連載】真夜中の森を歩く 1-3

白いカーテンから日の光が注ぎ込んでいる。部屋は人で溢れていた。年寄りや女性や子供ばかりだ…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 1-2

父が床に肘をつき横になってテレビを眺めていた。テレビから乾いた笑い声が響く。母は近所のス…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 1-1

白い皿が宙を舞っていた。それはほんの数秒の出来事だったが、ミツロウの脳裏にはクルクルと回…

takayama
4年前
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