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潮田クロ
2023年10月12日 01:39
昔はね、年頃になったら、いろんな人が、お見合い話もってくるのよ。田舎でしょ、もうお節介な人ばっかりでさぁ、女は年頃になったら嫁に行くもんだったのよ。今みたいに、自立して生活するなんてできなかった。女なんて働き口もないしね。就職できて農協の窓口か製材所の事務員、給料やっすいしね、簿記なんかもちゃんと習ってないから、歳いって、若い子来たら、いつでも真っ先にに首切られるわけ。あの頃、ちゃんとした女の仕
2023年10月13日 14:21
どんなに深く結ばれていても、時間が経つにつれ、去っていった者への思いは淡くなり、あると信じていた絆もゆるんでいく。そして、全ては忘却の海に沈められる。 妻の真世が亡くなって、もう半年になる。時がたてば、その悲しみも薄まるものと思っていた。薄まることを期待していたわけではない。亡くなった当初は、この痛みをずっと覚えていよう、忘れまいと誓ったぐらいだ。 しかし、生きている人間には生活がある。私は
2023年10月18日 13:15
「けどさ、安心したよ」「何が」「てっきりソープ嬢にでも身を落として、兼田さんに貢いでんだとばっかり」「馬鹿。見損なうな。それに職業差別だぞ。前からお前、そういうとこあるよな」姉ちゃんは俺を睨んで、ぬるい茶をグビリと飲んだ。「あ。いや、別にそんなつもりじゃ。でも、大変じゃないの?意地張ってないで、帰っといでよ」「誰が。女一匹、こうと決めたら曲げないよ」うそぶく姉ちゃんに、変わらねえな、