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#小説

埴谷雄高の「死霊」のこと

埴谷雄高の「死霊」のこと

あらかじめ言っておきます。全く読めてません。何かを期待している方は、ここでおよしください。

「はにやゆたか」である。「はにわゆたか」ではない。「死霊(しれい)」である。「死霊(しりょう)」ではない。
日本語には、こういうのは多い。「工場」が「こうば」と「こうじょう」、「草原」が「くさはら」と「そうげん」、「自然」が「しぜん」と「じねん」。意味するところ、イメージがまるで違う。書く時はルビをふるべ

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ドストエフスキーのこと

ドストエフスキーのこと

 ロシアの大作家と言えば、トルストイとドストエフスキーである。偉大である。が、私はトルストイを読了したことがない。「戦争と平和」は上巻の半分くらいで挫折した。「アンナ・カレーニナ」は最初の床屋のとこで挫折した。ほんの十数ページである。私は戦争も不倫も興味なかったのである。
 ドストエフスキーは面白かった。「罪と罰」「カラマゾフの兄弟」「悪霊」「白痴」「虐げられし人々」は読んだ。「地下室の手記」は、

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安部公房のこと

安部公房のこと

 ここのところ短編小説を書いていた。20枚くらいのもんなんで、筆が乗れば一日で書けるが、筆が乗らない。続けて書くと、発想が枯渇することがわかった。何事も無理してはいけない。昨日、本を段ボールに入れて持ち上げたら、腰をやった。無理はいけない。今後は、週一ペースで行きたい。その他の日は、また本の話やらなんやらくだらないことを書こうと思う。
 で、今回は安部公房。偉い作家である。死んじゃわなければ、ノー

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六白金星 織田作之助

六白金星 織田作之助

 傑作である。作之助には、「夫婦善哉」「世相」「アド・バルーン」「競馬」と、数多くの名作があるが、「青春の逆説」のような漫画みたいな小説(誉めてる)もあるが、私が一番愛するのは「六白金星」である。
 主人公の楢雄は醜く頭が悪く意固地で蝿を捕るのが上手い。妾の子で兄がいる。妾の母は愚かであるが主人公を愛している。兄の修一は酷薄で自分のことしか考えない。頭はよく女にだらしない。
 楢雄は救いようのない

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司令の休暇 阿部昭

司令の休暇 阿部昭

 一時期、気に入って阿部昭ばかり読んでいた。共通一次の試験問題にでて、あの作家は誰だ、みたいに盛り上がったが、すぐに盛り下がった。話としては、元海軍の父が病に倒れ死ぬまでの話である。ここに兄の話が絡んだりする。親が死ぬ話は、「海辺の光景」をはじめとして私小説界では鉄板である。恋人が病に倒れ死んじゃう話並に多い。と思う。親の人生と自分の過去を俯瞰するにはもってこいの筋立てだからであろうか。
 阿部昭

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