つづくれいこ

コピーに関してはドMなコピーライター。岐阜県下呂市生まれ、名古屋育ち。名古屋芸大 油画…

つづくれいこ

コピーに関してはドMなコピーライター。岐阜県下呂市生まれ、名古屋育ち。名古屋芸大 油画科卒。ただいま東京6年生。展覧会感想をメインに、たまーに暮らしのエッセイ。仕事の息抜き更新がモットー。いつか美術関連の広告の仕事がしたい。

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N氏は私が紅茶好きと知らない

今年2月のこと。東京の広告会社で働くために、32年間暮らした名古屋を出た。名古屋を出たいとは微塵も思っていなかったけれど、働きたい会社がたまたま東京にあったのだ。 私はコピーライターをしている。名古屋でも広告会社に勤めていて、広告づくりをしていた。地方ということもあり、広告制作の依頼をくれるクライアントとは距離が近く、取引先というよりも仲間のような関係だった。 そんな人たちと離れるのはさみしい。けれど、東京での暮らしが楽しみ。現金な私を、お世話になった人たちはあたたかく見

    • カビゴンが寝ているすきに|フィンランド・グラスアート展 in 東京都庭園美術館

      甲子園ベスト8が出揃った、夏の終わりのはじまり。セミの鳴き声をシャワーのように浴びながら、白金台にある東京都庭園美術館へ歩を進めた。 感動したかった。 放っておくと、X(旧Twitter)→ ポケモンスリープ(ポケモンの寝顔を集めたり、カビゴンを育てたりする睡眠ゲームアプリ)→ YouTubeという魅惑のループにはまってしまう。 自分の目で、美しいものを見て。 自分の感性で、美しいと感じて。 カビゴンも大事だけど、こちらもとても大事なことなので、感動のある場所へ意識的

      • ジェラピケのもこもこ必要

        絵を描く。 土のにおいを嗅ぐ。 親友のY嬢と話す。 ねこを愛でる。 めがねを変える。 レイトショーを観る。 ビタミン不足の体に フルーツを与えるように、 私のなかの「なにか」が不足すると これらを心に与える。 ルームウェアブランド・ジェラートピケ 通称ジェラピケのもこもこパジャマを 買ったときもそうだった。 「ジェラピケのもこもこが要る」 他のじゃいかん。 甘さを纏ったジェラピケの もこもこじゃなきゃ。 外に着ていく服よりお値段が高かった。 えいやと買った。 ◇

        • エゴン・シーレ展(激混み!)に行ってみて

          「エゴン・シーレ展、行くよね?」 「もちろん」 昨年末、美術好きの友人Y嬢とそんな会話をした。うさぎ年の2023年初頭の激アツ展覧会は、やっぱエゴン・シーレ展だよね、と。日本では30年ぶりの回顧展らしい。これは観なきゃ。 場所は、上野の東京都美術館(漂う王者感…!)。会期は、2023年1月26日から4月9日。 本日、2月18日。 会期終了ギリギリになりがちな私にしては、超優秀な日程。 『一般論ですが、展覧会は閉幕に近づくほど、混雑します。(お早めのご来場をお待ちして

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        N氏は私が紅茶好きと知らない

          欠けてる方がいい | 庵野秀明展 in 国立新美術館

          東京ヤクルトスワローズが日本一になった一週間後の土曜の朝、小田急線・梅ヶ丘駅に降り立つと友人を見かけたので「A子〜〜〜!」と呼び掛けるもよく見ると別人で、しょぼくれながら駅から徒歩数分のグラウンドに行き、年1回ペースで幽霊マネージャーをしている社会人野球チームに合流しようとするもなかなか見つからないと思ったらチーム名とユニフォームが一新されていて「そりゃ見つからないわ」と浦島太郎状態になるも気を取り直し、「ナイバッチ〜」「2アウトだよ〜」と適度なガヤで盛り立てた試合は6対4で

          欠けてる方がいい | 庵野秀明展 in 国立新美術館

          「ゴッホ」という三文字 | ゴッホ展 in 東京都美術館

          とある秋の日、私はほどよく疲れていた。 いま思い返すと、なんで疲れていたのか思い出せないけれど(だいたいそんなものだ)、たいそう疲れていた様子だけは覚えている。 ふと駅のホームで足が止まった。 ゴッホ。 駅貼りポスターに書かれたシンプルな三文字が私を引き止める。早々にタイトルを回収しちゃうけれど、この「ゴッホ」という三文字が、私の背負っていた疲れという荷物をひょいと軽くしてくれた。 ぶ厚くもりもりと塗られた絵の具。 眩しいような暗いような色彩。 筆の毛 一本一本まで

          「ゴッホ」という三文字 | ゴッホ展 in 東京都美術館

          生理で泣きそうになった日 | 2/3

          入院中にツラかった時間は2回あった。1回は手術後。もう1回は、手術当日の浣腸タイムだった。 「ちょっと待った」と心を落ち着かせる暇もなく、看護士さんは書類にハンコを押すかのように躊躇いなく滑らかに、挿入してくれた。強制的排泄が腹部にもたらすギュルギュル感は悶絶に値し、腹を押さえ足早にお手洗いへ駆け込んだ。 絶食になり、手術着に着替えた。付き添いとして母が来てくれて、手術時間もやってきた。 手術室へは歩いていった。医療ドラマでよく見るアルミ質の扉の奥へ入ると、これまたよく

          生理で泣きそうになった日 | 2/3

          生理で泣きそうになった日 | 1/3

          「あー、これはおっきな病院で診てもらったほうがいいね」 紹介状書くね。近所で評判のレディスクリニックの美しい女医さんは、私の目を見ながらやさしく言った。 え? どういうこと? 私、青森旅行したかっただけなんだけど? ・・・ 当時26歳だった私は、名古屋の広告制作会社でコピーライターをしていた。マスクをしないと出歩けない未来がやってくるなんて1mmも思わず、実家でぬくぬくと暮らしつつ、鼻息荒く仕事に励んでいた。 ひとり旅がマイブームで、青森県にある太宰治疎開の家(旧

          生理で泣きそうになった日 | 1/3

          A氏に向けたレビュー | 高畠華宵展 in 弥生美術館

          たったひとりに向けて、書こうと思います。 夏だ。美術館に行きたい。弥生美術館でやってる『大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター 高畠華宵展 ージェンダーレスなまなざしー』が気になっている。どうしようか、うむ。そんなあなた(仮にA氏とする)に向けて。 ◆ 大学生の頃、私は「美」に異常な執着を持つ二次元キャラに入れ込み、グッズ収集や二次創作に勤しんでいた。推しが口にする「美しい」の範囲は非常に狭く、「自分以外全員ブス」くらいの極端さだった。 たしかに、希少なものはわかり

          A氏に向けたレビュー | 高畠華宵展 in 弥生美術館

          「広告は作品じゃない」と誰かが言った|佐藤可士和展 in 国立新美術館

          「僕らがつくっているものは“作品”ではない」 大学4年の時に通っていたコピーライター養成講座で、とある講師に言われた。 広告はクライアントのものであり(同意)、あくまで広告制作者は黒子であり(同意)、自分を表現するものではない(それが目的ではないけれど、結果として制作者の「らしさ」が滲み出ている広告はいい広告であることが多いなと思う。そして「らしさ」が出るレベルの高いクオリティでつくれる人はほんの一握りだとも思う)。 この「広告は“作品”なのか?議論」は、たまに耳にする

          「広告は作品じゃない」と誰かが言った|佐藤可士和展 in 国立新美術館

          妖精と、はたらくことと。

          はたらくつもりがなかった。 描きたい絵を描いて、名古屋城のほとりで詩を売って、バイトしながら親のスネをかじって生きていこうと大学3年の夏までわりと本気で思っていた。 *** 名古屋芸術大学という地方芸大のアトリエの片隅。日差しが気持ちいい窓際のスペースで、いつも油画を描いていた。一枚の絵を描くのに半年かかった。 卒業した先輩がのこしていったソファとテーブル、ティファールの電気ケトル。昼の3時になるとあたたかい紅茶を入れて、てらてら光る描きかけの絵肌をうっとりと眺めてい

          妖精と、はたらくことと。

          「つづく」という姓を持つ私が、つづく展に行ってみて。

          「つづく」という名字が、ずっと苦手だった。 ◆ 「都竹さんの展示がやりますね」 昨年(2019年)の10月頃だったか、会社で後輩が声を掛けてくれた。 「え?」 「ミナ ペルホネンが“つづく”っていう展覧会をやるみたいなんですよ〜!都竹さんの“つづく”ですね!フライヤーもめっちゃかわいくて!」 そのフライヤーがこちら。写真がない文字だけのティザー期フライヤーも存在してますが、こちらは展示会場でいただいたもの。デザインは葛西薫さん! ティザーは下記リンクから見れますね

          「つづく」という姓を持つ私が、つづく展に行ってみて。

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          カフェ選びの落とし穴

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          コピーライターのいちにち

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          思い出と暮らす時間

          近所のスーパーの商品棚にトイレットペーパーが戻ってきて、入れ替わるように小麦粉とホットケーキミックスが姿を消した。 いま、この時間って一体なんだろう、と思う。 いつものGWだったら、岐阜にある実家に帰省してゴロゴロ三昧だったはず。でも今は「いつもの」がいつものようにできない。 病院や行政、スーパー、薬局、配送業といった最前線にいる方たちには心から感謝しているし、せめて私ができることとして、買い物したら「ありがとうございます」と伝えて、行きつけのご飯屋さんでテイクアウトし、

          思い出と暮らす時間

          ルノワールに恋したオルセー美術館

          04|パリの美術館めぐり旅 4日目 - 2019.1.2| オルセーの思い出を語る前に、ひとつ言いたい。 私は旅行が好きだ。 なにより旅行プランを立てるのが、好きだ。 『ことりっぷ』とか『地球の歩き方』とかを本屋さんで吟味しているときが、旅行を最高潮に楽しんでいる瞬間なのではないかと思うくらい。 (時間にケチなので、行き場所をパズルみたいに組み立てて効率よくしていくのも楽しい笑) 2018年の年末年始に行ったパリ旅も、『美術館めぐり』をテーマに行程をつくった。 ~パ

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