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カビゴンが寝ているすきに|フィンランド・グラスアート展 in 東京都庭園美術館

甲子園ベスト8が出揃った、夏の終わりのはじまり。セミの鳴き声をシャワーのように浴びながら、白金台にある東京都庭園美術館へ歩を進めた。

感動したかった。

放っておくと、X(旧Twitter)→ ポケモンスリープ(ポケモンの寝顔を集めたり、カビゴンを育てたりする睡眠ゲームアプリ)→ YouTubeという魅惑のループにはまってしまう。

自分の目で、美しいものを見て。
自分の感性で、美しいと感じて。

カビゴンも大事だけど、こちらもとても大事なことなので、感動のある場所へ意識的に向かった。

庭園の入り口
夏空に映える東京都庭園美術館
展示のご案内
いざ、展示室へ


「きれいねぇ」
「すてきねぇ」

マダムたちがヒソヒソと言い合っている。『フィンランド・グラスアート』展が催されている東京都庭園美術館の展示室内。

「ですよね」と心の中で同意する。

きれい。すてき。ため息まじりに言いたくなるアートグラスたち。森と湖の国・フィンランドの豊かな自然に育まれた感性。

「考えてみれば、人間も自然の一部なのだ。」(キユーピーマヨネーズ雑誌広告 / 1972年)という秋山晶さんの広告コピーが思い浮かぶ。

有機的(?)と言ったらいいのか、命のようにやわらかく強い。

アール・デコ様式の芸術的な展示室が、これまた良い。現在は美術館として使われているこの邸宅は、『旧朝香宮邸』という国の重要文化財でもある。竣工は1933年(昭和8年)。

常設されている『香水塔』と呼ばれるオブジェ

チラシの裏面を見る。偶然にも、フィンランド・グラスアートの台頭も1930年代。

日本とフィンランドという現代でも飛行機で最短9時間半かかる遠く離れた国で、同時代につくられた芸術が時をこえて、ひとつの展覧会をつくり上げている。

その不思議な縁に、静かに感動する。



もともと邸宅だった特性上、庭園美術館は他の美術館に比べて、小さな展示室が多い(『展示室』というか『部屋』)。

一部屋ずつ覗いていくのが、宝箱を開けていくような感覚で、どの部屋にも宝石みたいに輝くアートグラスが飾られていて。

花かな。
キノコみたい。
氷かぁ。
鳥っぽい。
森かしら。

心の中でモチーフ当てクイズをしていたけれど、徐々にどうでもよくなってくる。ガラスの美しさ。カタチのおもしろさ。色の鮮やかさ。頭を空っぽにして鑑賞していく。感性のバトンを受け取る。


入り口(出口とも言う)にあったフォトスポット
外はまだギラギラの日差し
ギラギラ


帰りの電車。カビゴンの様子を見た。
気持ちよさそうにスヤスヤ眠っていた。


◆◇◆


フィンランド・グラスアート 〜輝きと彩りのモダンデザイン〜
東京都庭園美術館
2023.6.24〜9.3

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