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”好不調の波”が大きい人は信用できない?

こんにちは。

この3連休は、全国的に天候に恵まれましたね。

国内では新型コロナ拡大の第3波と大騒ぎですが...
個人的には、もうこれ以上、新型コロナに関する情報を報道することに意味はないのではないか、と感じている今日この頃です。
7カ月も前から私たちは、自分たちがどんな対策ができるのかを学んでいますし、それ以上の新たな対策は提唱されていません。
ですからこれ以上、何を騒いでも今は意味がない気がしています。
情報には多く触れない方が良いときもあるのだと、私は思っていますし、今がその時期だとも思っています。

さて今回は、そんな世間の「気分の浮き沈み」を眺めていて、洞察を得たことを書いています。
前々回の「天職」、前回の「職業観」についてのお話は、主に、エグゼクティブの方から若手社員に向けて語っていただきたい、私なりの真理をお伝えしました。
琴線に触れた方々から、熱いメッセージやリアクションをいただくことが増えて、こうしたテーマについて、多くの方々が同じような感覚をもっているのだな、とうれしく思っています。

さて、今回も、やはり若手向けに語っていただきたいシリーズです。


私が「好不調の波が大きい人は、まだまだ二流だ」と思う理由についてです。


■良いときもあれば、悪いときもあるらしい

世間には、「人生、良いときもあれば、悪いときもある」という通説があります。

特に、それに異を唱えるつもりはありません。
たしかに、程度の差こそあれば、調子の良いとき悪いとき、というのはあるのでしょう。

そのときの体調、メンタルの調子、付き合っている人や影響を与えてくる人、など様々な原因があって、そのときのパフォーマンスに波をつくるものです。

しかし、私があらためて考えたいのは、こんなことです。

若手社員に向かって、「仕事には、好不調の波がある」と本当に言い切ってしまって良いの!?

ということです。
今回はそれについての考察です。


■好不調がある人は信用できない?

私たちのキャリアや人生では、好調なときもあれば不調なときもあります。それはまるでバイオリズムのように、上下動を繰り返しているように見えます。
そしてできれば、好調である時期をできるかぎり長く維持し、不調のときはすぐにでもその時期を終わらせたいと思うものです。しかし...

「好不調の波があるのは当たり前」という一般的な認識は、真実なのでしょうか?

私は、非常に疑わしいと思っています。
良い調子、悪い調子、というのはたしかに自らが実感をすることもあれば、そんな自分を見て「彼は今、絶好調だね」あるいは「最近、スランプ気味だね」と周りの人たちが評価することもあります。ところが、

好不調があるというのは、ある一面から見ると、「不安定」な状態とも言えます。

もっといえば、
ビジネスパーソンとして好不調の波がある人は、見る人から見れば「信用できない」と思う人もいます。

その理由は、単純です。「ビジネスは、安定して一定の成果を挙げ続けないといけない」からです。

私は30代の頃、こんなことを経験しました。
会社員として営業を担当していた頃の話です。当時のその会社は、営業の統括本部から支店ごとに売上目標が割り振られ、それが毎月、個人のノルマとなって降ってきていました。ほぼどんな企業とも大差のない、目標の与えられ方です。

私の同僚の一人に、とても動きが“派手”な営業担当がいました。
派手、というのは、売上の好不調の差が激しいという意味で、ある月は目標を大きく上回ることもありましたが、ある月になるとまったくと言って良いほど売上をつくることができません。

毎月の営業会議では、良くも悪くも彼は目立っていました。「先月はあれほど売り上げたのに、今月は見る影もない」という印象を、私も抱いていました。
ただ、明るく人懐っこい人柄で、顧客からも同僚からも評判は上々だったので、たとえ売上が悪く、目標にはるか達していないときでも、必要以上に本部から責められることもありませんでした。

そして、そんな彼の年間の平均売上というのが、意外なものでした。本部から、全国の年間売上ランキングが発表されると、彼の位置はおおむね、いつも“中位の中”くらいに収まっているのです。いわゆる「普通の営業マン」の成績なのです。

いつもたくさんの人からの注目を集める存在であるはずなのに、結果はいたって普通、なのです。

では、今の私の経営者という立場から、当時の彼に大きな仕事を任せようと思うか、と問われれば、
答えは明らかに「No」です。理由は単純で、「不安定だから」です。

あれほど目立つ動きをしておいて、結果は悪くはないが良くもない。
そうであればむしろ、見ているこちらをドキドキハラハラさせることなく、いつも淡々と「普通の成果を挙げてくれる普通の人の方」が、ありがたい存在とも思えます。
余計なストレスを与えられなくて済みますし、何より、見方によっては「安定感がある」と見えるからです。

気分や体調、あるいはプライベートの諸事情に振り回されることなく、一定の成果を挙げ続ける
という意味では、この「普通の人」は実際、非常に貴重な存在だとも思うのです。


■意外と知られていない信頼を勝ち得る原理原則

「好不調があるのは当たり前」という認識が疑わしいのは、そんな理由からです。
そしてじつは、そんな見方をするのは私だけではありません。企業の経営側として現場に目をやったとき、「不安定な要素はできるかぎり排除したい」、と思うのはやはり当たり前の感覚なのです。

それが証拠に、皆さんの在籍する会社の役員の顔を思い出してみていただきたいのです。
企業役員ともなれば、さぞかしカリスマがあって、人の何倍も仕事ができる人なのだろうと思うかもしれません。しかし実際は、皆さんが今想像した通りです。

誤解を恐れず言えば、「顔を思い出せるか出せないか」くらいの存在感なのではないでしょうか?
仕事の好不調の波をできるかぎり抑えて、一定の成果を出し続ける人こそが、役員にまで登り詰めることができる人たちです。
反対に、カリスマをもって、結果の激しい振れ幅で周りをドキドキハラハラさせるタイプの人たちは、行けても“部長どまり”なのです。

なぜなら「安定感」というのは、誰もが発揮できるものではなく、安定感こそ、信用を勝ち取るための最大のカギだからです。
しかも、その原理原則を知る人は、無自覚でやっている人以外、ほとんど知ることのないものだと思います

好調な時期を長く維持することができれば、たしかに理想でしょう。しかし現実として、それは難しいのではないかと思うのです。

好調を長く維持するよりも、好不調の波をできるだけ緩やかに抑える。

これこそが、周囲の信頼を勝ち得る原理原則だと思います。

いつ、どんなことがあったとしても、振り回されることなく、淡々とやるべきことをやる。

その気になったから、とか。
モチベーションが上がったから、とか。
切羽詰まったから、とか。

そんな理由で仕事を進めたり止めたりするのであれば、当然ですが、一定の安定した成果などつくれません。


■決め手は「安定感」

気分が悪かろうが、
プライベートや人間関係で嫌なことがあろうが、
体調が多少悪かろうが、
いつも、決められたことを、決められたときに、淡々とやるのです。

特に、この時期の世間のように多くの人が浮足立っているときに、そうした姿勢を貫く人がいれば、その姿勢こそが周りを安心させ、信頼を引き寄せることになるでしょう。

例えば、誰しも経験があるように、
嵐や台風に見舞われて不安でしかたない夜。ラジオをつけたとき、いつものナビゲーターがいつもの調子で語りかけてくる。そんなとき、どこかホッとしませんか?

何が起きようと、例外なくブレない人というのはつまり、「安定感」を感じさせるのです。

私もこのコラムを、何があっても119回まで毎週書き続けきました。
それはやはり、浮足立った世間の中で、少しでも「冷静」であることを自分にコミットするためであり、
何があってもいつも一定のリズムでコラムが届く、というわずかでも安心感を皆さんに得ていただきたいためでもあります。

けっして、そのときの気分でやるやらないを決めない、ということを自分で決めています。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)

自己の腕前を人に示さないことこそが真の腕前である


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