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西日暮里の騎士団

さあみなさま、恒例の「とき子さんと遊んだ自慢」のお時間です。
5000字ちょっとあります、ご覚悟を。
何も考えずに時系列順に書いてる日記です、ご覚悟を。


思えばとき子さんが東京にくる一週間前あたりから、私はずっとソワソワしていた。
とき子さんとしたいこと、とき子さんに食べてほしいものがあまりにも多すぎるのだ。

【おもてなし前夜】

秋映を食べてほしい。毒りんごみたいな紫寄りの赤色をしているけど、硬めな食感がおいしくて、個人的にいま一番ノッてる品種。
近所のサンドイッチ屋も、手作りの具がみっちり詰まっていて食べ応えがあるのよね。
自家製の梅酒もいい感じだから、ぜひ飲んでほしい。
もし時間があったら、またたんぽぽハウスにも行きたいし。
あ、おもしろい薬局も見つけたんだった。よそで買うと高いお菓子や紅茶が、30~50%オフで買えるのよね。とき子さん、きっと気に入ると思う。
最近オープンした、オマール海老ラーメンも食べに行きたい。だって私、「オマール婚」の新婦だし。
でもディナーは雰囲気のいいフランスの家庭料理店を予約しちゃったしなぁ。あそこ、こじんまりしててしゃべりやすいのよね~。

よどみなく溢れ出す「とき子さんとしたいこと・食べたいもの」を数え上げて、はたと我に返る。
とき子さんの滞在は、二泊三日
しかも文フリと西日暮里のお茶の時間がメインイベントだから、そんなにがっつり東京ツアーをするゆとりはない。
ええと、どれを削ってどれを詰め込めばいいのかな?

前回大阪にお邪魔したときには、私は夜行バスで向かって早朝に大阪に着いた。
あのときは朝から文フリのレイアウトを考えたりして、そのあと太陽の塔を見に行き、夜にとき子さんイチオシのお魚料理屋さんへと、ほぼ丸一日遊ぶことができたけれど。
今回とき子さんが東京へ着くのは、ちょうどお昼ごろ。
夕飯の予約は、18時。
……絶対に時間ギリギリまではしゃいでしまう。どこかに遊びに行くゆとりなんて、きっとない。
文フリ前日だけ、72時間くらいに延ばしてもらえないかな。

【一日目:文学フリマ前日】

そんな神への祈りむなしく、一日目は瞬く間に終わった。
駅で待ち合わせて家に着くなりお土産を交換し、翌日の文フリのレイアウトを相談し、ちょっとお菓子休憩をして、またしゃべり、そして西日暮里用の荷物を振り分け、文フリ用の本をスーツケースに詰める。
なんとか一通りの準備を終えたころには、レストランに向かうのにちょうどいい時間になっていた。

そうしてレストランに着いてメニューを見た瞬間から、私たちは浮かれた。
「コンフィって何!?」
「テリーヌって何?!」
「キッシュは知ってる、あのパンみたいなやつ!」
まるで赤子のような純粋な驚きを顔面に浮かべて、私たちはフランス語に驚喜した。
そんな私たちを夫は静かに、にこやかに見つめていた。

そして料理が来るたびに「ふごー!おいしい!」と鼻息荒くはしゃぐ私たちを、そっと写真に収めていたらしい。あとで彼から、双子のような表情でご馳走に喜び、満足げに腹をさする私たちの写真が送られてきた。リラックマをはるかにしのぐリラックス感がほとばしっていて、なんらかのゆるキャラを狙えそうなレベルだった。

最近気になっているnoterさんや本を作ること、明日の文フリについて。

レストランでの続きとばかりに私たちが盛り上がっていると、夫が「じゃあ俺はそろそろ寝るね」と自室へ引っ込んでいった。
最初はとき子さんに私の部屋を使ってもらって、私と夫は夫の部屋で寝ようかと思っていた。きっととき子さんもプライベートスペースがあった方がいいよね、と夫と話していたのだ。
ところがとき子さんにどちらがいいか聞いたら「つるちゃん一緒に寝ようや!」と間髪入れず言ってくれたので、布団を並べて夜中までクスクスコースに。

修学旅行の夜かという勢いで盛り上がる私たち。aeuさんがとき子さんの新刊『にじいろの「はなじ」』の感想記事を上げていることが発覚し、「どうするー?!いま読んじゃう?読んだら眠れなくなっちゃう?」とすでに眠れなくなるほどテンションが上がってしまう。

テンションが上がった結果、私は切り溜めた夫の若白髪を見せたくなりとき子さんに声を掛け、「何これ綺麗な和紙ー?!」と喜ぶとき子さんにこれが夫の若白髪である旨を告げ、「ちょっと、なんで溜めてるの!?」と目を剥かれた。
キラキラ透き通っていて綺麗だったから、捨てるのが惜しくなっちゃったんです。

夫のキラキラ若白髪

さすがにそろそろ寝ましょう。私たち、永遠に盛り上がっちゃう。
そう言うととき子さんは「そうだよね!明日が本番だもんね!明日は声出していこう!!」とキリッと女子バレー部みたいに声を張った。
夜中にいきなり張り切らないでほしい。

【二日目:文学フリマ当日】

そして翌日、文学フリマ当日。
寝間着の高校ジャージのまま散歩に出て家の周りを一周すると、たくさんの鳥が頭上を飛んでいた。
「あれ、鶫さんとKaoRuさんかな?
「めちゃくちゃ数が多くないですか?」
「今日が文フリだから、仲間をたくさん引き連れてきてくれたのかもね!」

そんな会話をしながら家に帰り、朝ごはんを食べる。
前日ががっつりフレンチだったので、朝は軽めに酵素玄米と味噌汁とぬか漬けという修行僧のような粗食に。いや、うちのいつもの朝ごはんなんですけどね……。

駅までスーツケースを運んでくれた夫に手を振り、いよいよ流通センターへ。
拍子抜けするほどあっさりと会場に着いて、黙々と準備をする。
手際よく準備を終えてお昼ごはんのおむすびやみかんを食べていたら、「撮影班」の腕章を付けたおじさまに「写真いいかな?」と声をかけられた。
「もちろん!!」と私たちが即答すると、その勢いが笑いを誘ったのか、おじさまは身体をくの字に折って爆笑した。
「え、歯に海苔とかついてないよね?
くるりとこちらに顔を向けて前歯を見せてくるとき子さん。大丈夫ですよ。
「てか口紅全然取れてなくて羨ましい!なんで!?」
私が使ってるちふれの口紅、やたら発色がいいんですよ。
結局おじさまがなぜそんなにウケていたのかはわからないまま、私たちは何枚か写真に撮られた。あの写真、どこで使われるんだろう。次回の文フリの案内などに満面の笑みの二人組が写っていたら、それは私たちかもしれない。

そして始まった文学フリマ東京。
外は寒いのに会場は熱気がものすごくて、やってくるnoterさんは基本汗だく。
いろんなnoterさんが代わる代わる遊びに来ては、「えっ、〇〇さんもいらしたんですか?うそー、会いたかった!」「△△さん、いまさっきいらっしゃいましたよ!これから白鉛筆さんのところに行くって言ってました!」「おお、追いかけます!」と本を買ったり、人を探したり。
つるるとき子書店は、書店でもあり、迷子センターにもなり。

前回も書いたけれど、とにかくお客さんと目が合わない。
ふぅ…と私がため息をつくたびに「大丈夫!声出していこう!」とめげないとき子さん。一発逆転を狙う女子バレー部かな?
そうしてお祭りも終盤に差し掛かったころ、「片づけをお手伝いに来ました!」とぼんラジさん(ウミネコ制作委員会さん)、いぬいゆうたさん豆千さんが颯爽と現れる。飄々と机を畳み、軽やかに片づけてくださるお三方。頼もしすぎる。しかも私たちの重たいスーツケースまで爽やかに持ってくださる。親切の化身か。浦島太郎以上に竜宮城に招かれるべき三人組である。いますぐ羽を抜いてはたを織って献上したい。

祝杯を上げつつ、その晩ももちろんクスクスコース。
会えたnoterさんたちの話、明日の西日暮里の話、売上の計算。
夜中にお金をジャラジャラしていると悪の香りがするのはなんでだろう。

【三日目:西日暮里の騎士団】

たっぷり寝て、12時すぎに西日暮里のBOOK APARTMENTへ。お店にはすでに豆千さんとぼんラジさん、いぬいさんが来ていたので、あらためて昨日のお礼を言いつつ持ち込みのどら焼きやみかんを渡す。
大きなテーブルに本を並べさせてもらったりしているうちに、続々とnoterさんたちが到着。
みんなでわいわい大テーブルに本やポストカードなどの売り物や展示品を並べる。
ramさん志麻さんの合作のミニチュア本屋さんや、大阪で大活躍だったmarmaladeさんの羊毛ジンジャーさん。

大テーブルに集合

そこそこにメンバーが揃ったところで、ramさんと志麻さんがスッと日本酒を取り出した。
お、「お茶け」だーー!!
小さな紙コップで一本の日本酒を分け合い、乾杯。

実はとき子さんと私は「ramさんが「お茶け」持ってくって言ってるけど、そして豆千さんは始まる前から飲んでそうだけど、私たちはどうする…?」と悩んで、とりあえずお菓子だけ持ってきていた。
みんな飲むなら飲んじゃえ!とgeekさんと三人でいそいそとビールを買いにコンビニへ。
geekさんがお話を執筆し、KaoRuさんが挿絵を担当する『ウミネコ文庫』の作品の制作秘話をちらっと聞いてお得な気持ちになる。

飲んだり食べたり売ったりしゃべったりしていると、とき子さんのお友だちとその息子さんがご来店。
とき子さんから前々からお話を聞いていた素敵なお友だち。お話に聞いていた通りの、穏やかで丁寧な方だった。
そして美肌!とき子さんも美肌なので、二人並ぶと年齢不詳感がやたらと高まる。あとでとき子さんのnoteを読んで、「そうかみんな同級生だったからか」と妙に納得する。
とき子さんは息子さんに駆け寄り、「うおー!大きくなったねぇ!!」と大興奮で坊主頭をなでくり回していた。

そんなこんなで緩やかに始まった「まつりのあとのお茶の時間」 。
お酒を飲んだり、お菓子を食べたり、本を買ったり、しゃべったり。
みんなが思い思いの時間を過ごせる、とても素敵な空間だった。

私はame。さんじゅんみはさんとスーパーの話で盛り上がり、ベルクの歌を歌ったりした。じゅんみはさんの町田には三和というご当地スーパーがあるらしい。ロピアはお肉が安いんですよね!!と超地元トークで意気投合する。
古着が大好きというじゅんみはさん。ぜひ今度一緒にたんぽぽハウスに行きましょう!と心の中で固く握手。

『ウミネコ文庫』を編集中のぼんラジさんと、ノトコレブックを作ったミムコさんの企画者としてのお話も興味深かった。
応募要項の作り方とか、進行で大変だったこととか。
お話を聞きながら、普段応募しているnote公式のコンテストですごく雑にタグ付けしていたことを猛省する。私はこれまで応募要項をろくすっぽ読まずに「おっ、ちょうどいいタグ見っけ!」とノリでコンテストに応募していたからだ。
人が一生懸命に書いたルールは、ちゃんと読みましょう。いままでごめんなさい……。

とき子さんのお友だちもミッチーが好きだと聞いて、ramさん志麻さんが目を輝かせていた。いつかうちで、ミッチーライブの鑑賞会とかしたいですね。

そしてなぜか、ハリー・ポッターの話題で異様に盛り上がる。

ハリーポッターの話題となった段にて
「じゃ私、ハーマイオニーね!!」としゃしゃる。
いや、どんだけ貫禄出してきとんねんハーマイオニー。
「そうするとロンは誰になるんだ…?」と現場をざわつかせる。
「エクスペクト・パトローナム!」と美声いぬいポッターが爆誕。
「じゃあつるちゃんジニーね!」と勝手に決めつけ、さらに「あの魂吸うやつ!あの…ほら!」「はい!!ディメンター!!」謎の脳トレをぼんらじさんに焚き付ける。

「人類みな同級生、集えば全部同窓会」より

突如としていぬい・ポッターととき子マイオニーとつる・ウィーズリーが爆誕、そして「僕たち、不死鳥の騎士団!」とぼんラジさんが団体結成を宣言する。
ハリー・ポッターって、大人になってもこんなに熱く盛り上がれる話題なんですね……?

いろんな話題があちこちで飛び交うなか、一箱棚主の豆千さんは穏やかな佇まいでにこにこお酒を飲んでいた。
お酒を飲んでも、飲まなくても。
本棚を眺めても、おしゃべりしても。
真面目な話も、おかしい話も。
noteをやっている人も、そうでない人も。

いろんな人が思い思いに集まれる、どんな話もできる、そんなあたたかく居心地のいい空間だった。それは主催の豆千さん、ぼんラジさんのお人柄のなせるわざだと思う。
それに加えて一箱本屋さんという、たくさんの人のそれぞれの好きがぎゅっと詰まった空間というのも大きかったのかもしれない。

たくさんの人と出会いまくれるアドレナリンが止まらない文学フリマも楽しかったけれど、マイナスイオンを浴びてるようなしみじみ愉快な西日暮里の会も、ぜひ定期開催にしてほしい。
西日暮里の騎士団として、これからも楽しく創作を続けていきましょうね!

いぬいさんが帰る直前に集合写真。みんな笑顔。
ramさん志麻さん合作の本棚!かわいいの!
ゐゑすちゃん(marmaladeさん作)にミニチュア本を渡してみる。サイズぴったり!



西日暮里のとき子さん編はこちら。


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