見出し画像

起業後、事業が続かないのは何故?理由は3つのシップがないから

起業家のつのだアントレです。

起業を試行錯誤し「これでいこう!」と決めた。いざスタートするといろいろな想定外のことに出会う。「えっ、こんなことが起きるの?」と。まさに四苦八苦の始まり。ついに、夢破れつぶしてしまう。

本編は、あなたの夢を実現するため、大切な起業を存続発展させていくために、どうしたらよいか?そのための要諦を率直に語ります。

・起業の後、すぐにつぶれはしないか?
・自分なんかで起業しやっていけるのか?

これらの不安に対する答えは、起業家精神(アントレプレナー・シップ)を発揮すること。「な~んだ!」なんて言わないでください。私は起業が存続発展するためには3つのシップ(Ship/発揮すべき精神)が必要。それは、「不安定創造シップ」「野心&独裁シップ」「正対方向シップ」です。

起業家とは「新しいビジネスの開発、開拓にチャレンジしていく人」を指すように思います。そして、その新しいビジネスを生み出し、継続発展させていく起業家の精神は上記の3つであると考えています。

この3つのシップがあってこそ起業家の存在価値を証明(あなたがあなたである)することができ、起業自体が自ずと存続発展すると信じております。要はつぶさないということです。少なくとも私は、これまで30年間、100%ではありませんが努めて3つのシップ(精神)を発揮してきました。

これより、それら3つのシップの中身を説明します。すべて私自身が実践してきたことです。

◆Ship1:「常に不安定を創り出すことで安定を図る」➡️不安定創造シップ

画像4


事業にはライフサイクルというものがあります。ライフサイクルとは、人間で言えば一般的に「誕生から幼児期・思春期、成人期・老年期、そして死までの過程」です。このサイクル、ビジネスにも当てはまります。「創業から成長期、安定期、衰退期に至る過程」がそれに相当する。

ここで一つの問いがあります。「企業には寿命はあるのか?」

答えは、「企業の寿命は人間のように必ず訪れるとは限らない」。2021年の東京商工リサーチの統計によると企業の平均寿命は23.3年となっている。これは平均値。生存率を調べると企業、個人事業それぞれ厳しいことがわかります。日本には1000年以上も存続している企業もありますが。(日本の老舗で調べるとわかります)

人間には必ず死がおとずれる。それは宿命と言ってよいでしょう(今の医学では)。しかし、企業は人間のライフサイクルと同じような過程をたどるが、生命は消滅するとは限らない。

簡単に言うと倒産する会社もあれば、しない会社もあるということ。つまり、企業の生命は人の手で宿命から運命に変えることのできると言えるのです。(宿命は変えることができないもの、運命はできるもの、とこの場合定義している)

もともと、企業の誕生はゴーイング・コンサーン(Going Concern/継続企業の前提)が大前提です。ゴーイング・コンサーンとは、起業するとその時から存続し続けていかなければならない命題を背負うという意味。

では、どのような考え、どのようなやり方をもってして「寿命を運命に変え、永遠不滅のものとすることができるのか?」言い換えれば「企業の生命をゴーイング・コンサーンとしていけるか?」

答えは一つ、「周期的にライフサイクルを創り出し、それをオーバーラップさせていくこと」です。(円環状の図を思い浮かべてください)

Aという商品があって、生まれ成長し、ピークをむかえ衰退し、ついに消滅するライフサイクルがあったとします。その期間が仮に6年間(商品の寿命)とすると、その商品の成長期の2年目あたりで次の商品群B(複数)を開発しデビューさせる。

すると先行のA商品は3年目あたりの成熟期・ピークから下降線をたどる頃に、後発のB商品群の中の一つが成長軌道にのってくるといった具合です。いわゆる金のなる木。このライフサイクルを定期的、計画的に繰り返していくことです。

事業も同様。ある事業のライフサイクルが仮に10年(一つのビジネスモデル・事業の寿命)とする。そして、3年に一度、新規事業をデビューさせていく戦略をとったとする。すると9年も経てば、既に3つの事業がスタートしていることなります。

結果、その3つの事業の中で一つが5年目あたりに成長から成熟期をむかえ稼ぎ頭・ドル箱となる。(3つの命が誕生しても、すべてがライフサイクルを駆け上がっていくとは限らない)

これら新たな開発によって新たな命を吹き込む結果、うまくいけば企業の存在は継続発展という寿命のない生命線をたどるわけです。

ライフサイクルが次々に誕生(1)

新商品、もしくは新規事業を開発し世に送り出すことはとてもリスクを伴う。海のものとも山のものともつきません。とても不安定な状態となるわけですが、この不安定がなければ安定は得られない。

この不安定と安定を繰り返すところに起業家精神の真価が問われるのです。そして、ライフサイクルを周期的に、しかも、計画的に生成発展させていくことが“企業のダイナミズム”というものでしょう。

もし何もしないでいたら企業はどうなるのか?間違いなくじり貧経営となる。極論を言えば“死を待つばかり”。市場の原理から言えば自然淘汰されることになるのです。

ライフサイクルの曲線の山(放物線)が、次々と誕生すればする程、それぞれの曲線がクロスしあい、横に水平に進む安定ラインを創り出すのです。適者生存の理にかなった企業存亡の動きと言えます。

◆Ship-2:「常に野心を忘れず独裁を貫く」➡️野心&独裁シップ

画像4


事業を考案しビジネス化する起業家には、いろいろな動機があります。その動機には崇高な理念と呼べるもの、正当な大義名分がしっかりあるもの、誰からも立派と称えられるもの。とても理想的です。そうかと思うと、邪念そのもの、無邪気そのもの、理不尽な動機、危なっかしいものもある。様々です。

理想を言えば、私の尊敬する京セラの創業者である稲盛和夫会長が語っていた「動機善なりや私心なかりしか」がよいのでしょうが・・・。私は自分のことも含め、これまで多くの起業家、経営者と出会った実感から言いますと、現実は理想からはほど遠い。

ほとんどの場合、「動機アクなりや私心ありあり」でした。これば現実ではないでしょうか?ご多分にもれずかくいう私も同様でした。ここで言うアクとは灰汁(あく)のこと。灰汁とは一般に受け入れられにくい、時に反感をかう強い個性のことです。

冷静に考えるとすぐにわかるのですが、起業をする行為って、もともと無茶なことなのです。無茶だから真っ当な動機にはならないのかも・・・。

そう言えば、昔、ある上場企業の専務の立場にある方に言われたことを思い出しました。私が起業したばかりの頃に。

「起業する人の気が知れない」
「どうなるか分からないのに、どうしてそこまでリスクを冒すのか?」
「よっぽどのおバカさんか、大きな勘違いでもしているか?」
「特に若い人は社会を知らないはず」
「まして、事業は無知、肝心の経営もわかっていない」   

と。なかなか辛辣な言葉でしょう。

確かに言われてしまうと反論ができない。社会経験豊富な人なら状況がわかり、結末が予測できる分、間違っても起業はしない。やはり、少しばかり「おバカさんで、クセがあり、その上、アクがなければ、起業という無謀なことはしない」のかもしれません。

今では笑ってしまう話として片づけられますが、当時、言われた当人である私は、1,2週間本気で悩んでしまいました。今は、そのバカさ加減、プンプンするクセとアクが最大の武器であり、この世の中を動かしていく起業家だけが持つ希少価値なのだと言い返すことができます。

ここで強調しておきたいことがあります。「アクがあればあるほど、起業は力強く立ち上がる。アクが強ければ強いほど、起業は尋常ではないスピードで成長する」ということ。

私は、このアクを“野心”と言い換えている。野心とは“分を超える大きな企み”(たくらみ)のことです。まさに、起業家の資質そのものではないでしょうか。「無から有を生みだす」のですから、きれいごとになりがちな動機よりは、アクが詰まった濁った私心の方が、超越したパワーとなるように思っています。もちろん「動機悪なりや邪心まるだし」ではダメですが・・・。

注意として、このアクは起業し一定の期間を経て軌道に乗り出した頃からは、誰にも共感してもらえる理念へと浄化させ、昇華させていかなければなりません。そうでないとどこかの時点で、せっかく立ち上げた事業がままならなくなってしまう。

事業は社会性を帯び、起業家は経営者として公人となり、私的動機を関係者すべての人びとが共有できる使命感に次元を上げていくことがどうして必要となります。

野心の重要性の他に、もう一つ重要なことがあります。それは起業家が持っていて欲しい“独裁力”です。一見、マイナス用語に響くこの独裁力、私の定義は「独りで決済する力」のことを意味する。付け加えると、独裁力はあっても独善的ではいけません。この独裁力とは特に起業時の事業展開時には不可欠なものです。

起業家は周囲に判断を求めてよい。しかし、決断は求めてはいけない。事業の立ち上がりの段階、軌道が定まらない状況下では独裁がよい。より的確に焦点を定め上り詰める“一気投入”(逐次投入ではなく)態勢にあるときは、なおさら独裁に限る。まさに「兵は神速を尊ぶ」です。

民主的な合議制では“全員が死ぬ”といったことにもなりかねない。この二つの要素をまとめると「野心は必要な資質。独裁は必要な能力」と言えでしょう。

◆Ship-3:「常に大局観をもって方向性の正しさにこだわる」➡️正対方向シップ

画像4


私にはかつて、よくゴルフ場に連れて行ってくれた経営の大先輩がおりました。当時、私は36歳、その方は70代でした。ある時、プレー中に私がOBを出してしまい、ボールを遥か離れた林に打ち込んだときのことです。こんなことを冗談交じりに話してくれたのです。

「つのだ君ね、ゴルフも経営も一緒なんだよ。飛距離じゃない、方向性なんだ。」「ドライバーでいくら300ヤード飛ばしたって脱出できないようなところに打ち込んでしまってはどうにもならん」言いたかったことは「方向性を重んじ刻んでこそ、確実に目的地に到達できる」ということです。

別の日、その大御所のご自宅で夕食をごちそうになっていた時にも、次のような話をしてくれました。「いいかい、つのだ君な、器用な経営は長続きしないぞ。小手先なこともいかん。経営者は地図を大きく広げて近道、脇道ではなく国道を堂々と走りなさい

この言葉の意味は、「着眼大局、着手小局」の大局を、そして、覇道(力)よりも王道(道徳)を重視する。そして、「百術は一誠にしかず」を諭してくれたのだと思っています。(百のわざ、たくらみ、はかりごとも、一つの誠意に及ばぬという意味)

ゴルフ場に桜が散り始めていた頃、またご一緒させていただきました。クラブハウスでの昼食時には珍しくお酒を楽しそうに飲まれていました。その日から4日が経ち他界されました。98歳での大往生でした。

しばらくして、その会社に訪問した時、正面玄関の脇に花壇が作られていて、そこに石碑が建っていました。その石碑には「無為自然」と書かれていました。私の経営の恩師であった大先輩の生き様そのものの言葉です。感無量でした。(無為自然とはあるがまま/老子)

このような出会いを通じ、恩師からは数々の教えをいただきました。私は自分の経営は「お天道様の下で逃げも隠れもしないで堂々とやっていこう」と誓ったのです。

改めて思うことは起業し経営の現場に入ると、いろいろな迷いが出てきます。誘いもあります。その時の判断基準は概ね3つ。「損か得か?」「好きか嫌いか?」そして、「善か悪か?」です。

きれいごとでは済まないビジネスの世界で生き残っていくには、「清濁併せ持つ経営が生存を決める」などと本気で思っていました。当然、損か得かが中心の打算まじりの判断に偏ってしまい、多くの失敗も繰り返してしまいました。

今、思うに当時の私は愚かでした。極めて弱い経営者でした。善を貫くほど強い経営者ではなかったとつくづく反省している次第です。特に40代前半までは弱さが大半を占めていたと思います。

「アマでもゴルフで上手い人はたくさんいる」、でも「プロになり試合で勝てる者は少ない」要は、勝てなければ意味がないということ。

経営も然り・・・。

「経営知識が豊富で経営管理力に長けている人は多い」「経営倫理を説く素晴らしい方もたくさんいる」「いっとき、如才なく経営する人もいる」、「いっとき、すごい売上や利益を出す経営者もいる」

しかし、いざ長年にわたり経営実績をみてみると「高い成果を出し続けることのできる経営者は意外と少ない」、「社会的な評価を得て、安定・成長を続けることのできる経営者は本当に少ない」

つまり、真に強いプロフェッショナル経営者となると本当に少ないように感じます。私たち起業家・経営者がめざすべき理想像は“強い経営者”です。強さとは「勝つづけることのできる力をもっていること」、弱い経営者とは「一過性でしかない存在となっていること」なのだと思います。そして、勝ち続けためには正しさがなければなりません。

まとめ

《起業が確実に存続発展する3つのシップ》
Ship-1:不安定創造シップ:「常に不安定を創り出すことで安定を図る
➡不安定を周期的サイクルとして創り出す。不安定を常態化すれば安定する。不安定を創り出すところに起業家精神の核心がある。

Ship-2:野心&独裁シップ:「常に野心を忘れず独裁を貫く」

➡野心こそ最大の原動力となる。そして、起業家の特権は独裁力である。如何なく発揮してこそ起業は力強く成長する。

Ship-3:正対方向シップ:「常に大局観をもって方向性の正しさにこだわる」

➡起業は遠くを見つめ俯瞰するがよい。足元ばかり見ていると方向性を見失う。正しくは鷹揚にして王道を進むこと。

ここまで読んでいただき心より感謝申し上げます。今回記した内容は、私なりに養ってきた起業家精神(3つのシップ)の中身です。私は起業家に必要な要諦の一つと思っています。是非、参考にしていただき、咀嚼していただければ幸いです。

最後に、よろしければフォローしていただけるととても励みになります。さらにお役に立てるように、私自身のこれまでの教訓を率直に配信していきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

よろしかったらサポートしていただけると嬉しいです。いただいたサポートで、毎朝毎夕のウォーキング中に飲むコンビニコーヒーを買いたいと思います。