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サクセッションプランを考える重要性

サクセッションプランとは

そもそも「サクセッション」とはどういう意味か?
デジタル大辞典(小学館)によれば

  1. 連続。継続。

  2. 継承。継承者。

  3. ある生物群集に別の生物群集が侵入して、生物群集が入れ替わりながら、ほぼ安定な状態(極相)へ変化していくこと。

という意味となります。では「サクセッションプラン」とは何なのでしょうか?

サクセッションプランとは「後継者育成計画」のこと。組織上重要なポジションの後継者の見極め、配置・育成することを指します。
具体的には、客観的な人材査定、組織力分析、次代を担う人材の確保・育成、活性化、リテンション(定着)戦略までを含んでおり、人的資本経営の文脈においてもかなり注目されている考え方になります。

またもともとはCEOなどエグゼクティブ層の後継者の選定や育成を指す言葉で使われておりましたが、最近ではエグゼクティブ層のポジションだけにとどまらず、管理職や上級専門職など、その会社にとって必要不可欠なポジションの後任となるリーダーの育成・確保にまで対象者が広がってきているケースも多くなっております。

サクセッションプランの目的

サクセッションプランは、適切な後継者・管理職候補を計画的に確保・育成することによって、企業の存続リスクを軽減しながら持続的成長を図ることを目的としております。
また、サクセッションプランニングをすることによって、企業の業績や企業価値の向上、従業員やステークホルダーの満足度向上にもつながるとされています。
加えて、コーポレートガバナンスコード(企業統治指針)でも上場企業に対して強く要請されている項目になっており、その必要性はどんどん上がってきているのが現状です。
※「コーポレートガバナンス・コード」とは、日本企業のガバナンスの底上げを目的に、金融庁と東京証券取引所が共同で策定した文書のこと。

▼参考「株式会社東京証券取引所 コーポレートガバナンス・コード~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~ p17」
https://www.jpx.co.jp/news/1020/nlsgeu000000xbfx-att/code.pdf

サクセッションプランはどう組むのか?

このとき、「すぐ研修しよう!」「外部講師を呼ぼう!」と考えてしまうのは落とし穴にはまる要因となります。
少し話は変わりますが、とある企業調査では、外注した研修に対して「費用対効果がわからなかった」という回答をしたのが50%程度だった、というデータも出ており、安易に研修を取り入れることが、本質的な効果に繋がりづらい、ということが言われております。
なので、まず、計画を考えることからスタートしてみてください。この際、外部のコンサルタントを導入することはオススメです。
なぜならば、自社に合う人材を自社内で考えることは「言うは易く行うは難し」だからです。

「相対的に見て御社の魅力は・・・」と言ってもらえる外部の人材を計画の段階から導入することで、議論の質は大きく変わるはずです。

誰が組むものなのか?

「サクセッションプラン」は、特定の主要ポジションが対象となるため、人事ではなく経営幹部が主幹で行い、人事部はあくまでサポートを務めるもの、です。むしろ経営幹部の関心が薄ければ、「サクセッションプラン」の達成・運用は難しいといえます。

CHRO(Chief Human Resource Officer)という役割を聞いたことはございますでしょうか?日本語で「最高人事責任者」という意味です。人事部の責任者として、人材の採用や育成、人事管理に関する業務を統括する役割を担う「人事部長」と違い、CHROは、経営陣が策定した経営戦略に沿って人事戦略を粛々と策定・遂行する存在です。

過去から言われている「人口減少」に加えて、現代社会の目まぐるしいビジネス環境の変化や、近年は新型コロナウイルスの感染症拡大により、経営判断がさらに困難を極めています。そうした危機的な局面において、経営に関連する素養が備わった「CHRO」の存在は非常に重要な役割となっており、このサクセッションプランに関しても、CHROの存在は非常に重要なものになります。

計画の組み方

工程は以下のとおりです。

1.中長期経営戦略やビジョンを、改めて明確化にする
2.中長期観点で必要な組織体制の検討とポジションの設定
3.ポジションに対しての人材要件を熟慮する
4.候補者ごとに育成計画を立て実行する

それぞれ考えていきましょう。

中長期経営戦略やビジョンを、改めて明確化にする

「手段が目的化する」という言葉はよくビジネスの中で使われますが、まさに、「人を育てる」という手段が目的化してしまっては意味がありません。人を雇うのも、人を育てるのも、ビジョンを体現するためです。ビジョンとは「実現したい未来」。言うなれば、企業のみんなが共通で認識する「行き先」です。まずそこを明確にしてからスタートです。

中長期観点で必要な組織体制の検討とポジションの設定

また今ある短期業績・財務の観点から必要なポジションを検討しているだけでは、中長期観点で必要な人材はもちろん育ちません。
そのためにビジョンをまず考え、ビジョンを実現するための「組織」「組織戦略」が必要になってきます。
この中長期での「経営戦略」と「組織戦略」を一貫させ、次世代の育成という観点での「人事戦略」を考えていくのが筋です。

ポジションに対しての人材要件を熟慮し、選定する

役割、目標、責任・権限、必要知識・スキル・能力・行動などの側面から、人材要件を考えます。どのポジションの人材を育てたいか?でここは変わってくる部分のところです。要件定義を雑にやってしまうと、計画がファジーなものになってしまいます。今いる活躍像ではなく、あくまで、中長期の経営・組織戦略の観点から考える。これを誤らないようにしましょう。
エンゲージメントサーベイやタレントマネジメントシステムなど客観的な指標を図るものを導入するのも1つの手になります。

候補者ごとに育成計画を立て実行する

いつまでに、どうしたいか?何が出来ていたら進捗として○なのか?などのチェックポイントを予め決めておくことが大切です。
外部研修の実施や、戦略的ジョブローテーションなども施策の1つと言えるでしょう。
加えて、「タフアサインメント」という考え方があります
「タフアサインメント」とはマネジメント手法の一種で、「ストレッチアサインメント」とも言われています。本人の実力以上の仕事を”あえて”任せることで、通常の業務からは得られないような飛躍的な成長を促すという手法です。容易に達成できないチャレンジングな目標に取り組むことで、対象者の能力開花を狙います。

軌道修正の実施

最後に、長期的な取り組みのため、柔軟に変化・運用していく必要があります。長期的かつ計画的に育成を行う中で、時間の経過と合わせて前提条件(必要なポジション・コンピテンシーなど)が変化してしまうことは往々にしてあります。そのため「サクセッションプラン」を作成するだけではなく、常にチェックし、必要あれば修正。ときには育成対象を思い切って入れ替える必要も出てくる可能性があります。臨機応変さも大事なサクセッションプランの要素になります。

最後に

いかがだったでしょうか?今回はサクセッションプランについて解説しました。当社ではこういったお悩みなどもコンサルティングさせていただいた上で、貴社にカスタマイズした研修も実施しております。
お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

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