【小学校社会科ざっくり要点】見方・考え方を働かせるって?~6年生「大陸に学んだ国づくり」を事例に~
「見方・考え方を働かせる」って、どういうこと?
こう思っている方は、実は少なくないのかもしれません。
まして、
「『社会的事象の見方・考え方を働かせる』って、どういうこと?」
と、なると、もっと増えてしまうのかもしれません。
今回は、この「社会的事象の見方・考え方を働かせる」について、できる限り「ざっくり要点」を示したいと思っています。
(1)社会的事象の見方・考え方
そもそも、社会的事象の見方・考え方とは何でしょうか?
この通りなのですが…
「これでわかれば苦労しないです」
「つまりどういうことですか?」
という声が飛んできそう…というか、言われたことがあります笑
「ざっくり要点」なので、かみ砕いていきます。
(2)社会的事象の見方って?
ざっくり言うと…
①位置や空間的な広がり
⇒地理っぽい見方
②時期や時間の経過
⇒歴史っぽい見方
③事象や人々の相互関係
⇒公民っぽい見方
です。
でも、そもそも「社会」が、人々の集まりや集団生活を意味するので、
①「位置や空間的な広がり」や②「時期や時間の経過」の見方をした上で、③「事象や人々の相互関係」から社会的事象の捉えを深める、というイメージだと学びが深まりやすいかもしれません。
また、あくまで「社会的事象の見方・考え方」は小学校段階における視点や方法で、「~などに着目して捉え」とされています。
「5年生の日本の地理だから、位置や空間的な拡がりに絞る!」
「6年生の歴史だから、時期や時間の経過の見方しか使わない」
というよりは、それぞれの見方を総合的に働かせることが考えられます。
時には見方を焦点化することも大事ですが、あまりに絞りすぎると、かえって見えなくなってしまう部分もあることも、理由の1つといえそうです。
(3)社会的事象の考え方って?
小学校社会科の「考え方」は
比較する
分類する
総合する
関連付ける
とされています。
なので、平たく言えば、どれかしていれば、社会科の「考え方」で思考している、といえます。
社会科の授業で、子どもに考えてほしいと思ったときに「どんな考え方をするか」がある程度明確になっていると、授業の組み立てもブレにくくなるかと思います。
(4)6年生「大陸に学んだ国づくり」の「聖武天皇と大仏づくり」で見方・考え方を働かせる
では、この「見方・考え方」、授業では具体的にどのように働かせるのでしょうか。
例えば、6年生「大陸に学んだ国づくり」のうち、「聖武天皇と大仏づくり」の授業、「聖武天皇は、どんな思いで大仏を造ったのかな?」という問いの解決を事例に考えてみます。
※ちなみに、実際に相談を頂いた授業実践です。相談してくださった方に感謝です。
聖武天皇に限らず、「~の思い」を考える授業は、割と実践されているかと思います。
思いという言葉がシンプル、誰という対象がハッキリしている、というあたりから、子どもが考えやすい問いだと思われます。
ただ、
それって「見方・考え方」が働かせて考えることにつながるのかなぁ…?
というギモンを相談者さんは抱いていらっしゃいました。
自分はこの感覚、大事だと思います。
大きな理由の1つは、「どんな思いで?」は考えやすい問いではありますが、結論が明らかになることはない(確かめようがない)からです。
そのため、いかに見方・考え方を働かせて、教科書や資料の根拠を「理由付けて」いるかがポイントになるかと思います。
例えば…
◎→8世紀前半…平城京のにぎわい・苦しい農民の存在
→8世紀中頃…伝染病や飢饉、反乱などによる世の中の混乱
⇒前はにぎわっていた都が、大変なことになっている。
⇒これは、聖武天皇は「まずい」と思っているんじゃないかな
「②時期や時間の経過」を比較している
◎仏教、国分寺、東大寺、大仏、行基…
◎物資や農民をかきあつめた
⇒聖武天皇は、仏教の力を借りて、世の中の混乱を何とかしようと必死だったんだと思う
③「事象や人々の相互関係」を総合している
◎から⇒の部分がきちんと押さえられていれば、「見方・考え方を働かせている」と言っても大丈夫なように思います。
おそらく、同じような問いで違和感を感じたり、ふわっとしたりする授業は、◎の部分がぼんやりしている授業なのかなと思いました。
「思い」という結論は明記されてないですが、教科書や資料に示されている根拠となる部分を「見方」で浮き彫りにし、「考え方」で捉えていけば、ある程度「確かにそう思ってそうだよね」というまでにもっていくことは可能だと考えられます。
これを、さらに「大陸に学んだ国づくり」全体で捉えようとすれば、
・飛鳥時代から奈良時代について、年表にまとめる
⇒「②時期や時間の経過」を比較する
・聖徳太子と聖武天皇の政治を比べ、当時の国づくりをまとめる
⇒③「事象や人々の相互関係」を比較し、総合する
といった「見方・考え方」の働かせ方も想定されるかもしれません。
(5)終わりに
いかがでしたか?
「見方・考え方」は、言葉ではよく使われるものの、具体的な授業に落とし込もうとすると、迷うこともあるかと思います。
しかしながら、ここが明確になっていると、授業の組み立てがスッキリしますし、何より子どもの学びがクリアになっていくかと思います。
「ざっくり」をうたっているくせに、長くなってしまい申し訳なかったです笑
よかったら、他の記事もどうぞ
最後までお読みいただきありがとうございました☆
↓せっかくなので、ポチッとしてやって下さい笑
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?