マガジンのカバー画像

スキが100を超えたもの

22
スキが100を超えたものだけ集めました。皆さんが読んでくれたこと、ほんとうに嬉しいです。(ほぼ100もいれちゃう)
運営しているクリエイター

#忘れられない恋物語

永遠なんてなくても

永遠なんてなくても

さよならを告げたのは、春風が吹くあたたかな夜だった。

つい先日、大好きなひとと離婚した。理由は"方向性の違い"ってやつ。我が家は解散、再結成は未定のまま。どんなバンドも、大体最後には方向性の違いで解散してしまう。昔から不思議でしょうがなかったこの言葉が、今となってはよくわかる。たくさん悩んで、たくさんぶつかって、その先に出た答えはやっぱり"方向性の違い"。

世界で一番、愛していたひとだった。二

もっとみる
生きてるうちに、好きと言え

生きてるうちに、好きと言え

夜中のコンビニ、スウェットですっぴん眼鏡も慣れたものだ。
びゅーびゅーと吹く風が、火照りを冷ますから、子犬のように身を寄せ合って歩く。
冬は君の手をポケットにお招きできるからいい、とバンプが歌っていたな、と思い出しながら、彼のポケットに手を突っ込む。
あたたかいおでんと一年ぶりに再会して、彼は「柚子胡椒をつけるとうまいんだよ、しってる?」と笑う。
安い缶チューハイに、暖かい部屋で食べると最高なアイ

もっとみる
初恋の待ち合わせはいつも踊り場で。【同和問題】

初恋の待ち合わせはいつも踊り場で。【同和問題】

私には、一度だけ告白をされた経験がある。
告白と言っても罪を告白する訳ではなく、いわゆる「ラブ」というやつだ。

小学生の頃引っ越してきた私は、転校生として小さな田舎町で過ごした。
娯楽といえば駄菓子屋でお菓子を買うくらいのレベル。

当然、みんなそれなりにグレた。
やることがないからだ。

同級生の一部は、普通に万引きしていたし、授業中はみんな机の下でゲームをしていた。
特にグレていたのが私のニ

もっとみる
サブカルクソ野郎がした、花束みたいな恋について。

サブカルクソ野郎がした、花束みたいな恋について。

「花束みたいな恋をした」の二人が履いている"ジャックパーセル"は、私にとっての"オニツカタイガー"だった。

「花束みたいな恋をした」は、坂本裕二脚本の、今をときめく麦役・菅田将暉と絹役・有村架純の恋愛映画だ。説明もいらないくらい流行したけれど、この映画には主人公二人だけが分かり合える固有名詞がたくさん出てくる。好きな映画監督、好きな作家、そしてお揃いのスニーカー。このスニーカーは、ジャックパーセ

もっとみる
痛くて夏い

痛くて夏い

海が見えた懐かしい坂を、自転車の二人乗りで駆け抜けたあの夏。

夏の終わりが近づく季節、もうセプテンバー。9月のはじまりはいつも、なんだかソワソワして、少し寂しくなる。夏にサヨナラはなかなか言えなくて、きらっきらに眩しい太陽と思い出が、胸をざわめかせる。

秋の風が吹く今日は、夏の残り香を探してさまよっている。花火ができなかった今年、まだ「若者のすべて」を聴けないままでいる。最後に花火をしたのはい

もっとみる