見出し画像

ゾーンの入り方(小説の神様の降ろし方)


以前話していたスランプの抜け出し方の第二弾として、今回は『ゾーンの入り方』について語っていこうと思います。




1、はじめに

ゾーンの入り方というのは、スポーツでもゲームでもあることだとは思いますが、ここで説明するのは(タイトルにもある通り)、小説の執筆の際のゾーンの入り方について、説明していきたいと思います。

と、その前に、ゾーンに入るとは、どんな状態のことを指すのかについてお復習いしておこうと思いますが、世間に一般的には、ゲームに没頭している状態だったり、スポーツをしているときに、時間が止まっていると感じるほど、感覚が研ぎ済まれた状態だったり、その先(未来)に起こることが鮮明にイメージできたり、ランニングや登山などをしているときに、疲れをまったく感じない状態になったり、その時々で現れる症状は様々なのだろうが、皆さんはそのうちのどれかの感覚に襲われたことはあるだろうか?

かくいうぼくもその一人で、登山やランニングの際、仕事中などに妙にハイになったり、小説を執筆している最中にも、何度かその状態に入った経験がある。

パソコンを前にして、すぐにその状態に入ることもあれば、何時間か苦戦していて、ふとある瞬間に、その状態が降ってきて、頭の中で映像を想像する前に、文章を組み立てようとする前に、言葉が勝手に頭の中に浮かんできて、スラスラと筆が進む状態だ。執筆活動を経験したことのある人であれば、喉から手が出るほどほしい状態なのだろうが、いつでもその状態を再現できればいいものの、そう簡単にゾーンに入るなんてことはできない。

大抵は苦悶の表情を浮かべて、パソコンの画面に齧り付いて、浮かんで来ない言葉を、ああでもないこうでもないと考えていることがほとんどだし、執筆作業というモノは(とくに小説の執筆に関しては)、書きあぐねている時間のほうが、圧倒的に長いと言っても過言ではない。

そこでだ!!!

ぼくの分析により導き出した『ゾーンの入り方』の法則を、今回は皆さんにご説明していこうと思います。ゾーンの入り方にはパターンが存在する。まあ、そもそも書こうとという気持ちまで起こらないような、どスランプのときには、ゾーンの入り方以前に、そのスランプを抜ける必要があるのだが、もし『ゾーンの入り方』が判っていて、その状態を意図的に再現できるのだとしたら? どうだろうか? 執筆作業は捗るし、悩む時間は限りなく減らせるし、物書きにとって、こんな夢のようなテクニックはないだろう。

まあ、前置きはこのくらいにしておいて、『ゾーンの入り方』を説明していこうと思う。

まず、ゾーンに入るためには、そのための環境を整えなくてはならない。

環境が9割をしめると言っても過言ではない。



2、環境が9割


皆さんもぼくから言われる前に、すでに感覚的に判っていると思うが、パチンコ屋さんの中や、大勢が周りで喋っているような環境で、執筆活動が出来るだろうか? ぼくは無理です。なかにはファミレスやスタバで執筆したほうが、書きやすいという人もいるのかもしれないが、ぼくは歌詞のある音楽が流れていたり、テレビがついているだけでも、集中力が削がれてしまって、正直、執筆どころではない。家の中ですら猫に遊びの相手をせがまれたり、妻が話しかけてきたりで、気が散る要素が、そこら中に溢れているので、そんな中で小説の執筆をしようなど、不可能に等しい。

ということで、その9割の中身を解説していこうと思う。


・まとまった時間の確保

まず、ある程度の『まとまった時間』は確保しなくてはならない。あと30分後に予定があって、家を出なくちゃいけないってときに、執筆などできるはずもない。


・スマホやテレビなどの通信環境の排除

次に、邪魔なのが、テレビやスマホの存在だ。できればテレビの電源は消して作業に入ってほしいし、書きあぐねた状態でテレビを点けてしまう恐れがあるのであれば、端っから、テレビの電源を抜いておいたほうがいい。手間が増えればそれだけ、テレビを点けようなんて浅ましい考えは浮かばないし、それはインターネットに関しても同じことが言えるだろう。ただ、インターネットというのは、執筆の際に調べ物をするときに役立つので、なかなか回線を切ることは難しいと思うが、どうしても作業に集中できないというときは、ぼくの場合はルーターの電源を抜いてしまうこともある。

そしてスマホ(タブレットなども含む)に関しても、なるべく手の届くところに置いておかないほうがいい。どうしても近くにあると、触ってしまうし、一度、YouTubeやNetflixなどのアプリを起動させてしまったら、そこから沼に陥ることは、皆さんも実体験で経験済みだろう。

そして、最後に雑音の排除をするべきだろう。


・雑音の排除

まあ、これに関しては、雑音があったほうが集中できるという人もいると思うので、一概に雑音を排除すべきだとは断定できないが、ぼくのように一つの物事にしか、集中できないタイプというのは、なるべく気になる雑音は排除しておくに限る。なんなら、耳栓をしてもいい。

ちなみにこれは、ぼくの経験談にもよるので、全員に当てはまることではないかもしれないが、左脳の作業をしているときに、左脳の作業を同時進行でするのは、避けた方がいいと思う。たとえば、ラジオを聴きながら、文章の執筆作業をするとか、歌詞のある音楽をかけながら、映画を流しながら文章を考えるとか、左脳と右脳の同時進行はできても、同じ作業領域の並行作業は、単純にパフォーマンスが落ちるので、不向きであると思われます。

まあ、希に人の話を聞きながら、レポートを書いたり、報告書をまとめたり、電話をしながら、メールを打ったり、パソコンで資料と作ったりできる、超人的な人もいるので、ぼくからすると人間業じゃないと思うが。

(同時進行じゃなくても、優先順位を決めて、つまみ食い的に並行作業をするのは得意なので、そういう意味でマルチタスクをすることはできなるが、完璧にマルチタスクをすることは、人間の脳には無理だと思う)



3、ルーティンワーク


・歯みがきやシャワーを浴びるなどのルーティンワークを持つ

かの有名なイチロー選手も球場に入る前に、ルーティンワークを設けていたのは有名な話だとは思うが、何でもいいのだが、執筆作業に入る前にルーティンワークを導入したほうがいいだろう。例えば、歯みがきでも、シャワーを浴びるでも、タバコを吸うでも、瞑想をするでもなんでもいいのだが、執筆作業に入る前に一連の予備動作を行うことで、それに対する心の準備をすることができ、徐々に集中力を高めていくことができる。


・自分なりのユニフォーム(仕事着)を用意しておく

そして、もう一つつけ加えておくと、部屋着のまま執筆作業をしてしまうと、それだけで集中力が途切れやすくなってしまい、結果的にダラダラ過ごしてしまう、なんてことにもなりやすいので、出来れば『自分なりのユニフォーム(仕事着のようなもの)』を用意しておくのも、一つの手だと思います。仕事着を着ることによって、それだけでも「今から仕事をするのだ」という気持ちになれるので、ゾーンに入りやすくなる。


・ルーティンワークの流れ

例、起床 → トイレ → シャワーを浴びる(洗顔) → 歯みがき → 仕事着に着替える → コーヒーで一服(タバコを吸う) → 執筆作業

といった流れで、執筆作業に入ると、徐々に集中力が高めることができるので、おすすめだ。



4、ハードルの設定


この章では、作業に移る前に自分なりの目標を設定することに関して、すこし説明していこうと思うが、目標設定には2種類の方法が存在する。

例えば、やる気が満ちあふれているであれば、すこし高めの目標やノルマを設定したところで、「よーし、やってやるよ!!」と、やる気が漲ってきて作業効率も上がると思うが、その逆に、モチベーションが低空飛行どころか、地面にめり込むほど、気分が落ち込んでいるときに、そんな高い目標を設定したところで、さらにやる気を失うだけのことで、そもそも目標設定の意味もなくなってしまう。

なので、ここでは、自分のやる気を測った上で、どの程度の目標を設定するのかを考えていく。

まず、やる気が漲っているときの場合はだ。


・やる気が漲っているときの目標設定

ちょいむずくらいの目標を設定する。

楽勝で終わりそうなくらいの目標だと、簡単すぎてやる気を失ってしまうけど、あまり目標が高すぎても、それもまた難しすぎてやる気を失ってしまうので、その中間くらいの、ちょっと頑張れば出来そうなくらいの目標を設定すると、集中力が向上して生産性も上がるので、自分のやる気や技量と相談して、ちょいむずくらいの目標を設定すると良い。


・やる気がまったくないときの目標設定

ストレートに身も蓋もないことを言ってしまうと、「やる気がないときに執筆などするな」と言ってしまえば、それまでなのだが、これはやる気はないけど、「〆切に追われてる」とか、「どうしてもいついつまでに原稿を仕上げないといけない」というときや、仕事でやっている場合は、やる気が有るだの無いだの言ってられないので、限りなく低い目標を設定する。

「もう、一行だけ。なんなら、一言だけ。それだけやったら、今日は止めよう」

といった感じで、モノの数秒や数分で終わるような目標を設定する。

一言書いて、終わりだと思えば、まあ、それくらいなら出来なくもないか? と思えてくるし、それで一言書いてみて、もうちょい行けそうなら、といあえず1行書いてみる。もう少し行けそうなら、さらに2行、3行……、と設定を伸ばしていけば、気づいたときには、原稿用紙一枚が埋まってる。なんてことにもなっていることもあるし、そうやって段々調子が上がってくれば、小説のワンシーンを書き上げてるなんてこともある。

そもそも、小説を書きはじめるときに、丸々一本を仕上げようなんて思って書いている人なんていないし、毎日毎日少しずつ書いていって、ときには執筆を休むこともあるし(ぼくの場合は、まだ仕事としてやってるわけでもないので、大半は休んでいるけどwww)、何を隠そう、今、こうして書き上げている記事だって、やる気が地を這ってる状態から、タイトルだけ書こうと思って、ここまで書き上げているのだから、この方法も案外バカにしてはいけない。


・目標の設定はモチベーションのキャパ内にする。

ハッキリ言って、もし小説の執筆を、収入を得るための活動として行ってない場合は、本業の仕事の傍らで、執筆活動をしなくてはならない。これはぼくの経験則での決まり事なのだが、本業の仕事で全力を出し切ったあとに、小説の執筆なんて出来るはずがない。

これは、ぼくが身をもって体感したことだし、実際に責任者などの仕事をしている上で、精神的にも肉体的にも疲弊した状態で帰宅してから、小説の執筆などする気にもなれない。一刻も早く酒を飲んで仕事のことを忘れたいし、小説の執筆をするよりも何よりも、早く布団に入って眠りたいと思ってしまう。というか、無意識にそうなってしまう。

なので、小説の執筆とその先に小説家になりたいなども目標を持っているなら、少なくとも本業の仕事で使ってもいい本気度合いは、多く見積もっても6、7割程度に納めておくべきだと思う。特に責任者などの精神的に疲弊するような役職になどなってはいけない。

てきとうに片手間でできる仕事をするべきだし、そうじゃなければ、ゾーンの状態になど入ることはできない。

仕事をして帰ってきて、バタンキューで、おわりだ。(本業が小説家の場合は、思う存分全力を出してOKだ。というか、それくらい本気じゃないと、小説家などできないと思っている)



5、思いっきり休憩する。


・ご褒美

ていうか、ご褒美だ。

YouTubeを見てもイイし、Netflixをネットサーフィンしてもいい。趣味のランニングをしてもいいし、読書をしてもいい。料理が趣味なら料理をしてもいいし、キャンプでもなんでも、やりたいことをやればいいと思う。

というか、このご褒美のために、小説を書いていると言っても過言でない。


・集中力には限界がある

(集中力にはタイムリミットがある・生産性の一番高い時間帯に作業をする)

一日中執筆しているなんて、常人にはできることではない。

せいぜい人間の集中力など2、3時間が限度だ。

それ以上は、生産性が著しく落ちダラダラと作業をしてしまうことになるので、仕事を片付けるなら2、3時間に一気に集中して作業を行うと良い。

そして、もっと言うなら、その作業時間は自分にとって、一番集中しやすい時間に行うと、作業効率が上がって執筆作業が捗る。

朝方の方が集中力が高まる人もいるし、夜中の方が筆が進む人もいるだろうし、中間の午前中や昼ごろ、夕方のほうが集中できる人もいる。この辺は個人差があると思うので、ぼくはいついつに執筆をしなさいとは言えないが、兼業作家としてやってる人であれば、本業とのバランスも考えて、執筆の時間帯を設定すればいいと思う。

ちなみにぼくは、兼業作家として執筆活動をしていたときは(今も小説が本業ではないのでそうなのだが……)、仕事帰りに車の中でコンビニの駐車場で執筆するのが、一番作業効率がよかった。ネットもスマホの電波くらいしか繋がらないし、周囲の環境は静かだし、邪魔をする相手もいないし、執筆後は車を運転して帰らないと行けないから、アルコールの誘惑に負けることもないし、図らずも夜間のコンビニの駐車場で、車内で執筆をするのが、一番筆が乗った記憶がある。

しかも時間を30分書いてみて、書けなかったら撤退するっていう暗黙のルールを設けていたのと、上記の『ちょいむず』の目標設定として、文藝賞に応募するっていう目標も設定されていたので、それもあってそのころは兼業で活動していたが、過去一筆が乗っていた時期だったかもしれない。



6、最後に

まあ、結果的に、小説の神様は気まぐれなので、こういうときに『ゾーンに入りやすい』というだけで、実際に小説の神様が降臨してくれるかどうかは、そのときの神様の気分次第なんですけどね……www

ぼくなりの執筆のコツというか『ゾーンの入り方』や、その際の法則性のようなものを紹介させて頂きました。皆様もご自身の執筆にも参考になるところがあれば、ぜひ参考にしてみてください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?