レジの列を変えると、なぜか最初に並んでいた列のほうが、早く進む現象って、アレはいったい何なんでしょうか?
先日、晩酌用のお酒を切らしてしまい、いつもはスーパーで安売りされているものを買っているのだが、なんだかスーパーまで歩くのが煩わしくて、徒歩2分くらいのところにある、コンビニまでお酒の買い出しにいったのですが、買物といってもお酒を数本とチータラだけだったので、商品選びには大して時間はかからず、スムーズに買物をすることができたのだが、最後の最後でレジでどハマりすることになった。
どちらのレジも並んでいるというほど混雑しておらず、とくに何も考えずにぼくは列に並んだわけなのだが、自分の並んでるほうのレジの進みが以上に遅く、気になって前方を確認してみると、男子高校生の集団がレジ前でたむろしていた。
なにやら店員の女の子と楽しげにおしゃべりしており、しばらく聞き耳をたてていると、
男子高校生「あー、当たるかな?」
女性店員「ほんとですね〜。当たるといいですね!!」
と、話し声が聞こえてくる。
列の後ろからカウンターを目視で観察していると、どうやら某アニメの『スピードくじ』のようなものを購入しており、箱の中から一〇数枚のくじを引いているところだった。
あーー、これはアカンわ……。
と、時間がかかることを瞬時に悟り、すぐ横の列の買物客の商品リストを、遠目から見る限り、『ウコン』と『タバコ」だったこともあり、明らかに向こうの列のほうが早く終わりそうだったので、そそくさと自分の持っていた買い物カゴを抱えて、もう一つのレジの列に並び直した。
ちなみに、この時点ではまだ、自分の後ろにはお客さんは並んでいない。
列を移動し、元いた列の進み具合を観察していたのだが、まあ予想通り、男子高校生とレジの女の子は、周りの迷惑も顧みず、楽しそうに談笑しながら、レジ対応をしていたのだが、スピードくじの枚数が枚数だけに、スピードくじを剥くのにも、当たった賞品を選ぶのにも時間がかかっており、そのうち後ろに並んでいたお客さんの表情が曇りはじめているのが、こちらまで伝わってきた。
「おいおい、おしゃべりしながら、やりなさんなよ……。後ろの人明らかにイラついてんじゃん……」
と、呑気に心の中で元いた列の心配しいたのだが、
「あれ? なんかおかしくね?」
と、なにやら不穏な空気を感じ、新しく並び直したほうの列の正前列に視線を向けてみると、冷や汗をかいた男性店員が、レジの周りであたふたしているのが見えた。
「ん? 何コレ? どゆこと?」
そう、レジの故障である……
見たところ前に並んでいたお客さんが、クシャクシャの万札をレジの支払い口に、無理やり突っ込んだようで、そのせいでおつりが出てこなくなったらしい。
そこから数分間は、強制的に待ちぼうけである……
再度、列を移動してもよかったのだが、男子高校生の集団の後ろには、すでに何人ものお客さんが並んでしまっており、たとえ今移動し直しても、どの道、時間がかかることに変わりはない。
ぼくは大人しく並んでいた。
そうこうしているうちに、向こうの列は進み出し、男子高校生の集団も去って、元いた自分の順番が回ってくる。後悔してももう後の祭りなのだが、ぼくはその光景を静かに見守った。
ここで気配りのできる、優秀な店員でもいれば、
「あ、申し訳ありません……。あちらのお客様が先にお並びでしたので……」
のような気の利いたセリフでも言ってくれるのだろうが、残念ならがここは高級レストランでもないので、見事にスルーである……。ぼくも敢えて自分から揉め事を起こしたくもない。
ただ、待てど暮らせど、列は進まない。
裏から店長でも出てくれば、モノの数秒で事態を収拾をつけてくれるのだろうが、それもない……。
そうこうしているうちに、こちらの列にならんでいたお客さんの顔色も、もちろん雲行きが怪しくなりだし、背後からのしかかってくるプレッシャーで、その店員も、さっきまで冷や汗で済んでいたものが、あぶら汗まで額に滲ませており、故障した機械と一人で格闘していた。見ているこちらのほうが、だんだんその店員が可哀想に思えてくる。
「おいおい、早く、店長助けてやれよ〜、居ないの?」
内心そんなことを思いながら待っていると、故障したレジがようやく復旧したのか、詰まってたお札を吸い込む音が鳴り響いた。
「よかったねー!!」
ぼくは伝わるわけもないが、心の中で、思わず、その店員の労をねぎらっていた。
ちなみにその時点で元いた列は、自分が居た順番より4人ほど進んでおり、完全に最初にいた列に並んでいたほうが、レジの進み具合が早かったのは言うまでもない……
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