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応援がウザかった時のこと。

高校生の頃だったでしょうか、応援ソングブームのようなものがありました。多分、やまだかつてないテレビが発祥の地だったような気がしますが、その辺りは朧気な記憶。


自分は中学・高校とバスケットボール部に入っていました。

中高通して全く上手くなりませんでしたが、ムードメーカーというか、今で言うところのいじられキャラ。ここぞの場面に無理やり投入されることが多かったです。一瞬だけ雰囲気を変えますが、テクニックはありませんから、小手先ってやつですね。

中学は荒れた学校の残り火のような時で、1・2年生の頃は中庭に火の点いたテッシュや給食のフォークが飛んで来るのが日常。

入学式の時に教室で説明を受けていたら、廊下から盛大な音がして何かが階段を転げ落ちて行ったり。後で聞いた話では掃除箱に誰かを閉じ込めて落としていたらしいです。救急車が来た記憶は無いので、無事だったんでしょう、多分。

そんな感じなので、いじられキャラはそのままいじめられっ子になりそうなところですが、そこら辺は良い感じにあしらい上手だったようで、ヤンキー達からちょっかいがあっても、自分では雑に受け答えしていたのですが、それを面白いと思われていました。仲良くしているつもりはありませんでしたが、ちょくちょく話し掛けられる感じ。


中学までは猛烈に勉強が出来ませんでした。

ですが、首の皮一枚で第一希望の高校に合格。

ここでも適当なあしらい上手を発揮して、みんなが恐れる暴力教師に気に入られるナイスな状況へ突入。今なら大炎上になるであろう授業中の教師からのからかいがあっても、のらりくらり。右から左へ~♪の如く受け流し、または期待通りの返答をするようにして、上手いことご機嫌にしていました。

授業が盛り上がらないと他の先生達にも、良く当てられていたように思います。上手く「双方で傷付かない」ようにする術を持っていたのかもしれません。


そんな感じで、のらりくらりのクラゲな学生生活。

まだこの頃は音楽番組も全盛で、どこの局でも音楽番組がまだまだありました。

でも、どうしても好きになれなかったのが「応援ソング系」。

特に冒頭のやまだかつてないテレビで人気沸騰だった「負けないで」や「どんなときも」などの「大丈夫!!頑張って!!応援しているよ!!」といった楽曲が大嫌い。

単純に応援が雑音で仕方なかったのです。

そんな感じで歌詞がわからなくてもリズム重視で洋楽が好きでした。

「負けないで、ほらそこに、ゴールが近づいている~♪」とか、

「どんなときも、僕が僕らしくあるために~♪」やら、

当時の自分は本人が応援していることに酔っているように思っていました。ついでに言えば「押しつけがましい」辺りまで到達していたのかも。筋金入りの性格の曲がり方でしょうか。


友人とカラオケに行けば必ず元気にこれ系を歌う子がいて、他のみんなも実にノリノリで手拍子して、何なら涙目になっていたり。

それを横目にテキトーに受け流してその場にいた記憶が少しだけあります。恐らく「つまらん」と思って誘われてもカラオケに行かなくなっていたのかも。


そんなノリが良いのか悪いのかわからない自分も高卒で就職して、アルバイトとは違う社会の厳しさに揉まれ始めます。

最初の会社の地獄の環境で体調を崩しつつ、仕事とは何か、考え方・姿勢を叩きこまれます。時代ですね、時代。

その頃があって今があるので、自分的にはありがたいと思っています。

その会社を辞めてから流浪の転職人生に突入して、流れ流れて今の会社を起ち上げることになりました。


最初三人で始めた会社でしたが業況悪化や何やかやで、ひとりになってしまいます。

ひとりになってから、本当にどうしようも無くなって会社を畳もうとした時。多分、いま畳んだら次に何かしたくても始めることは出来ないだろう、だからもう少し頑張ってみろ!と身内にケツを叩かれました。

もう会社を畳む段取りに突入していて、肩の荷を下ろすのがすぐそこまで来ているのに、「マジか!!?」と目の前が正に真っ暗になりました。


そこから石にかじりつくように新しい取引先を開拓したりして、徐々に状況に変化が見え始めた頃、聴いていたラジオから「負けないで」がふいに流れました。

ポロっと涙が出たことを覚えています。

追い詰められていたところから少し安堵した気持ちがあって、

「負けないで、ほらそこに、ゴールが近づいている~♪」

この歌詞がドスっと刺さったんだと思います。

グサっじゃなくて、重い刺さり方。

そこから程なくルーティンとなるまで地獄の日々ではありましたが、業況が安定する仕事を受諾しました。

「負けないで」が刺さる頃は精神的におかしい時でもあったので、あまり記憶がありません。相当追い込まれていました。

ガチのどん底を味わったので、今は仕事に関しては多少のことでは動揺することもありません。


歌なんかで元気づけられることなんか無いし、応援されても何の足しにもならない。そんな風に思っていた高校時代。のらりくらりでテキトーにあしらうことで、色々な出来事を飄々と乗り越えていました。


本当にどうしようも無くなった時、歌というか音楽って沁みますね。

回りを見れるようになったというか、無理やり壁を作らない。

大人になったってことなんでしょうか。

中学、高校から20代なんて実にそういった意味では子供でした。

言い方を変えたら責任とか背負いこむものが大して無い、お気楽で幸せいっぱいな生き方をしていたんだと思います。

今も不意に「負けないで」「どんなときも」が流れると、胸がギュっとなります。

演歌まで染み入ります、これは歳か。。


でも、何故か大事マンブラザーズは今に至るに嫌いです。

押し付けの強さが・・・

良い話で終わりたかったけど、ここは譲れないってことで(笑)!


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