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2019年11月の記事一覧
【寄り道】梶井基次郎『のんきな患者』に見る、昭和の結核患者の実態
曽祖父の論文と同時期に発表された小説で『のんきな患者』という梶井基次郎の小説がある。
吉田という主人公が重い肺結核を患い、療養生活を送る中で遭遇する様々な出来事を回想交じりに綴ったもの。貧しいため、これといった治療を受けることもなく、迷信の療法(メダカ5匹飲む、鼠の黒焼きなどを飲むetc)に、すがって生きていくしかない庶民の物悲しい姿が淡々と描かれている。死と隣り合わせに生きていながら、一見〈の