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【歴史概要51】韓国併合・興中会・辛亥革命

①1904年の第1次日韓協約、1905年の第2次日韓協約、1907年の第3次日韓協約でそれぞれ財政と外交を監督する顧問の設置、外交権を日本に認め統監府を置くこと、韓国政府は統監府の完全な指導下に置かれる事が約束された。

②この流れで1910年に韓国は日本に併合された。韓国併合条約が強制されて完全な日本の植民地となった。漢城は京城と改められ、朝鮮総督府が置かれて初代総督に寺内正毅が任命された。

③韓国では反日義兵運動が展開されるが軍事力で鎮圧された。1909年に前統監の伊藤博文がハルビン駅(中国黒竜江省)で愛国青年安重根(アン・ジュングン)によって暗殺された。

④日本の朝鮮支配は過酷な武断政治であった。第1次世界大戦後の民族自決の精神(ウィルソン・レーニン)はアジアにはなかった。

⑤1919年の三・一運動(朝鮮各地で起こった日本からの独立運動)は厳しく弾圧された。朝鮮民衆は大日本帝国の資本主義の低賃金労働者とされた。そのプロセスで形成された日本人の差別意識が戦後現代の在日韓国・朝鮮人問題に連なっていく。

⑥日清戦争や義和団事件などで面目が潰された清朝政府は改めて改革の必要性を認識した。

戊戌の変法理念を採用して改革を推進した。

⑦1905年には科挙を廃止し時代に即した官僚の採用を試みた。1908年に憲法大綱を制定して立憲君主制の採用を決めて9年後の国会開設を約束した。1911年には責任内閣制度の採用が示されたが満州人の貴族が多数を占めていた。

⑧軍隊は近代化され新軍といわれる洋式軍隊が創設された。新軍の中で台頭したのが北洋軍閥であった。銀行や運輸・交通部門などを含めた強大な軍事集団であった。

袁世凱がその中心人物であった。

⑨日本などに留学して近代政治思想に目覚めた新しい知識人が成長していった。この流れで孫文率いる興中会をはじめとする多くの革命団体が形成された。1905年には東京で多くの革命団体が団結し中国同盟会が結成された。

⑩孫文は民族・民権・民主の三民主義を提唱した。それに基づく四代綱領として駆除韃虜・恢復中華・創立民国・平均地権が発表された。満州人を追放し漢民族の共和政国家を打ち立て平等な土地制度を実現する事を示した。

⑪1911年に清朝政府は鉄道の国有化令を発表した。借款の担保にするために民間資本の鉄道を国家が奪取する事を意味したため民族資本家たちの反発を招いた。

⑫1911年10月10日に湖南省武昌の革命家たちが決起した。その報は全土に広まり14省が清からの独立を宣言した。ここに辛亥革命が始まった。(第1革命)

⑬孫文はこのニュースをアメリカのボストン滞在中に知った。

その後ヨーロッパをめぐり革命へのサポートを要請しながら帰国した。臨時大総統に選出されて1912年1月1日に南京で中華民国の成立を宣言した。

⑭清朝側は北洋軍閥を擁する袁世凱を派遣して動きを抑えようとした。袁世凱は革命派と取引して「皇帝を退位させて共和政を実現するのと引き換えに自らを臨時大総統にする事」を要求した。

⑮革命派は拒否する実力がなかったので受諾した。この結果宣統帝(愛新覚羅溥儀)は退位し清王朝は滅亡した。また秦(BC221~)以来の皇帝専制体制の終焉でもあった。

⑯革命派は憲法に相当する臨時約法を示した。大総統権限を規制し基本的人権や主権在民などの理念を明文化した。しかし袁世凱はこれを無視し始めた。

⑰1912年末に行われた初選挙で中国同盟会を改組した国民党は第1党となったが袁世凱の弾圧によりリーダーの宋教仁が暗殺される事件が起きた。

⑱1913年に国民党は決起して第2革命を起こすが簡単に弾圧された。正式な大総統となった袁世凱は国民党を解散させた。孫文は国外に逃亡した。

⑲袁世凱は帝政の樹立を目論んだ。しかし革命派が第3革命で反発、諸外国もこれに反対した。そして失意のうちに袁世凱は1916年に亡くなった。

⑳1914年から第1次世界大戦が勃発したが、日本は山東省のドイツ権益の中心である青島を占領した。

1915年には袁世凱政府に21ヶ条の要求を突きつけた。これは日本が中国での権益拡大を目論んだものであった。中国民衆の激しい反対にあったが日本は強引にこれを認めさせた。

㉑この第1次世界大戦中の日本の横暴な態度がかつて日本をモデルとする近代化を考えた中国の知識人に影響を与え新しい啓蒙活動を始めた。これが文学革命である。

㉒中国共産党のパイオニア陳独秀や新文化運動の担い手胡適が有名である。彼らが刊行した『新青年』の指導のもとで民衆覚醒のため口語運動が展開された。

魯迅が『阿Q正伝』を発表したのもこの雑誌だった。

㉓この運動は第1次世界大戦後の1919年にパリ講和会議で中国の要求が認められなかったときに五・四運動となり広がった。

■参考文献
『30の戦いからよむ世界史 下』 関 眞興 日本経済新聞出版社

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